2023.09.29 財政金融政策 研究報告書 キャッシュレス決済実態調査2023(速報) NIRA総研 政府は近年、キャッシュレス決済の推進に取り組んでいる。その進展状況を正確に把握するべくアンケート調査を実施したところ、個人の消費におけるキャッシュレス決済比率は70.6%に達したことがわかった。5年前に行った同調査の結果と比べると、18.9%ポイントの増加だ。この結果は、従来の統計に含まれない銀行口座間送金なども考慮している。現状をしっかりと分析し、キャッシュレスに関わる今後の課題を見極めて議論することが重要だ。 詳細を見る
2023.06.09 財政金融政策 わたしの構想 No.66 トラスのイギリスに何を学ぶか 谷口将紀 ビル・エモット 伊藤さゆり 池本大輔 成廣孝 高安健将 2022年秋、英国首相に就任したリズ・トラス氏は、就任直後に出した「成長計画2022」で、市場の洗礼を浴びる。国債利回りは上昇し、ポンドは対ドルで一時、史上最安値をつけた。トラス首相は、金融市場の混乱の責任を取る形で、在任わずか49日で退陣した。トラスはどこで失敗したのか。トラスの失敗から、日本は何を学ぶべきか。英国政治・経済の専門家に聞いた。 詳細を見る
2023.05.16 社会保障制度財政金融政策 NIRAオピニオン No.65 子育て世帯の負担と給付の公正性は確保されているか 翁百合 日本の少子化に歯止めがかからない。世帯単位で、日本の税や社会保険料の負担率を諸外国と比較すると、子どもがいる世帯への支援が薄く、低所得層の負担率が相対的に高いという課題が見えてきた。安心して子育てのできる環境を実現するには、負担と給付の公平性を確保する必要がある。低所得の子どもがいる世帯への支援を強化し、応能負担を強めるとともに、働き方に中立な社会保険制度を設計するべきだ。 詳細を見る
2023.04.28 財政金融政策 研究報告書 第1回政治・経済・社会に関する意識調査(NIRA基本調査)(速報) NIRA総研 政治・経済・社会に関する人々の意識を定点観測し、何を望み、何を必要としているかを理解することは、人々に受け入れられる経済社会のビジョンを描く上で重要である。第1回NIRA基本結果では、日本の経済状況の見通しを悲観視する人が80%を超え、公共サービスに満足している人は半数を下回った。しかし、政治に関心がある人は半数を下回るなど、将来への不安や不満が政治的な関心や行動につながっていないことが明らかとなった。 詳細を見る
2022.10.25 財政金融政策 政策共創の場 No.1 日本の財政に関する専門家たちの意見 鈴木壮介 前田裕之 専門家に聞きたいことについてアンケートを取ってみると、日本の財政を巡る質問を聞きたいとの声が多く上がってきた。毎年の財政収支を黒字にすべきか、積みあがった債務残高を削減すべきか、政策の優先課題は何か、債券市場の現状と先行きをどうみるか―などである。しかしこれらの論点について、大学やシンクタンクの研究者ら専門家の意見は分かれているのが現状だ。本稿では財政への懸念の度合いに応じた3つの立場から各質問に回答していく。 詳細を見る
2022.06.28 財政金融政策 NIRAオピニオン No.63 各国の債務はコロナ禍でどう変化したか 翁百合 コロナ禍で世界各国の債務が拡大している。欧米でインフレが進み、金融引き締めへと転ずる中、債務が大きくなった民間企業や政府には利払い負担の増加、また、金融機関等には保有する債券の価格下落の影響が、今後広範に生じることが懸念される。金利上昇が実体経済やグローバルな金融システムに与える影響を考慮することが重要だ。とりわけ日本は政府債務が突出し、コロナ禍で非製造業を中心に企業債務が増加しているなど、留意が必要である。 詳細を見る
2022.04.26 社会保障制度財政金融政策 論文 NIRAワーキングペーパーNo.4 財政赤字と国債発行をめぐる熟慮・熟議型調査 川本茉莉 経済・社会に関するテーマについての調査のうち、本稿では「財政赤字と国債発行」に関して報告する。調査の結果、政府債務に対し危機意識を持っている人は少なくないが、それは反対の立場の意見を読むことにより揺らぎやすいものであることが分かった。また、財政赤字を心配していない人と危機的と感じている人では、専門家の論考のうち参考とする論点が異なっていた。さらに自由記述回答から、専門家の論考が人々の考えに影響を与えていることが分かった。 詳細を見る
2022.02.10 地球的課題財政金融政策 わたしの構想 No.58 「長期思考」は未来を変える 宇野重規 ローマン・クルツナリック 松本紹圭 西條辰義 小林慶一郎 野村進 人類は、今を考える「短期思考」と、将来世代を視野に入れる「長期思考」をうまく使って繁栄してきた。しかし、現代世界を覆うのは極端な短期思考といわざるを得ない。累積する財政赤字の将来世代への影響や、日々排出する温室効果ガスが地球に与える破壊的な影響について、想像すらつかなくなっている。長期思考で、社会はどう変わるのか。長期思考にシフトするには、何が必要なのか。長期思考の重要性を唱える識者に聞いた。 詳細を見る
2019.01.31 財政金融政策 NIRAオピニオン No.41 財政と金融の協調 宮尾龍蔵 財政政策と金融政策には、金融政策が財政政策を支配するスキームと財政政策が金融政策を支配するスキームがある。前者は適切で、後者は大惨事に至る。前者から後者に移行する境界点がある事を前提に、金融の積極緩和のメリットとデメリットをシミュレーションで示した。現在の財政と金融の協調は「財政規律を遵守する政府」と「物価安定を目指す独立した中央政府」を基礎に成立し適切な政策枠組だが、枠組が変更されれば状況が一変するリスクがある。 詳細を見る
2018.05.30 財政金融政策 NIRAオピニオン No.38 金融政策はジレンマを乗り越えられるか 宮尾龍蔵 新谷元嗣 現在の金融政策運営は2%物価安定目標の道半ばであり、さらなる緩和による副作用への懸念を強める一方で、急な緩和正常化は景気回復の遅れに繋がるというジレンマに陥っている。しかしこの状況下でも、経済の実力が高まれば緩和のメリット(景気刺激効果)が強まり、副作用は相対的に和らぐことになる。均衡利子率の推計を通じて、日本経済の実力は高まっており、金融緩和のメリットが今後増大することが予測される。 詳細を見る