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PAPERS研究の成果

OPINION PAPER NIRAオピニオンペーパー

日本が抱える重要課題について、変化の激しい今だからこそ求められる未来志向の政策提案を、
研究プロジェクトを率いる研究者が発信します。

ISSN 2436-2212

キャッシュレス社会に向けて何をすべきか

NIRAのアンケート調査により、キャッシュレス化の実態が明らかになった。日本はいまだに現金嗜好が根強く、特に所得の低い層ほど傾向が強くなる。また、地域、年齢、雇用形態など様々な要因でキャッシュレス決済の普及状況は異なる。キャッシュレス決済を利用しやすい社会を実現するために、民間による高付加価値のサービスの提供と、政府の多面的できめ細かい政策を推進する必要がある。

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財政と金融の協調

財政政策と金融政策には、金融政策が財政政策を支配するスキームと財政政策が金融政策を支配するスキームがある。前者は適切で、後者は大惨事に至る。前者から後者に移行する境界点がある事を前提に、金融の積極緩和のメリットとデメリットをシミュレーションで示した。現在の財政と金融の協調は「財政規律を遵守する政府」と「物価安定を目指す独立した中央政府」を基礎に成立し適切な政策枠組だが、枠組が変更されれば状況が一変するリスクがある。

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ポピュリズムを招く新しい「政治的疎外」の時代

欧米諸国では、グローバル化や技術革新により仕事を失い、社会から取り残されてしまった人々が、政治への不信感を強め、社会を変えてくれそうなカリスマ的リーダーを待望したことで、ポピュリズムが生まれている。日本は今のところポピュリズムとは無縁のように見える。しかし少子高齢化や巨額の公的債務残高などを抱える課題先進国であり、与党も野党も有効な政策を打ち出せていないことを考えれば、いつポピュリズムに火がついてもおかしくはない。

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日本の「ユニコーン」不足はバッドニュースか?

日本にはユニコーン企業が少ないと言われている。これはスタートアップのエコシステムが発展していないことを示しているのだろうか。たしかに、アメリカと比べるとベンチャーキャピタルの投資規模は小さい。しかし、日本には2つの小型株市場があるため、ユニコーンになる前に上場する環境が整備されていると言える。一方で、大規模な株式公開も目指せる体制にもある。スタートアップエコシステムは大きく進歩しているのだ。

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金融政策はジレンマを乗り越えられるか

現在の金融政策運営は2%物価安定目標の道半ばであり、さらなる緩和による副作用への懸念を強める一方で、急な緩和正常化は景気回復の遅れに繋がるというジレンマに陥っている。しかしこの状況下でも、経済の実力が高まれば緩和のメリット(景気刺激効果)が強まり、副作用は相対的に和らぐことになる。均衡利子率の推計を通じて、日本経済の実力は高まっており、金融緩和のメリットが今後増大することが予測される。

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中核層が活躍できる社会の構築

経済社会のグローバル化が進む中で、戦後日本の中核を支えてきたエリートのような、国や地域を自分が支えるという意識は人々の中で弱まり、グローバルに活躍する人たちは日本の地域と結びつかなくなってきている。また、地域コミュニティでも、かつて地域を支えていたような人材を輩出することが困難となっている。現在の日本社会が抱える課題と、それに対してどのように対応していくべきなのか。NIRA総研の牛尾治朗会長と宇野重規理事が対談した。

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ローカル・コモンズの可能性

地方における人口減少などにより、日本各地で空き地や空き家が増加する中、「ローカル・コモンズ」の概念を現代的に応用し、地域資源をコミュニティが共同管理する動きがみられている。さらなる展開として、IT技術を用いれば、「ウェブ×人」のプラットフォームをつくり、ローカルな信頼関係のネットワークを、コミュニティを超えたネットワークと結び付けることも可能である。そこに、現代的なローカル・コモンズの可能性が見いだせるのではないか。

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オープンバンキング時代の銀行業

競争環境の変化に直面する伝統的金融業は、オープンAPIを活用し、画期的な金融サービスを提供する第三者企業との連携を模索している−「オープンバンキング」だ。主要国の政府が積極的に後押しする中、日本でも制度改正や政策的な対応が進む。この潮流を踏まえ、金融機関は、自社の持つ機能やデータを基にしたプラットフォームを構築し、第三者企業とともに真に顧客のためになるサービスや商品を生み出すエコシステムを形成することが求められる。

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人口変動が突きつける日本の将来

人口のボリュームゾーンである団塊世代、団塊ジュニア世代の高齢化と同時に、現役世代はどんどん減少していく。深刻さを増していく少子高齢化は、社会保障に大きな影響を与えている。この影響を可視化するべく、今後20年にわたる社会保障給付費の推計を行ったところ、医療費と介護費が大きく増え、特に介護費が足元の2倍以上になることが明らかになった。いま突きつけられている現実的な将来像に目を向けて、確実に政策を推し進めることが急務である。

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ICTの進展と金融政策運営

ICTの利活用は日本経済の成長力強化には不可欠だが、多くの労働や仕事が新技術に代替される可能性がある。代替性が高まれば、経済が拡大しても、企業が労働所得への分配を抑制し、消費や物価の回復に勢いがつきにくくなる恐れもある。ICTによって経済成長がもたらされるという認識のもと、物価上昇率2%は引続き目指すべき目標だ。今後の金融政策運営は、緩和長期化による効果と副作用をより注視し、現行の枠組みを柔軟かつ粘り強く継続していくべきである。

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