翁百合
NIRA総合研究開発機構理事/日本総合研究所理事長
浦島充佳
東京慈恵会医科大学教授
高橋泰
国際医療福祉大学大学院教授

概要 

 新型コロナウイルスの感染拡大は、全世界の経済・社会にきわめて大きな影響を与えている。この感染症はなぜこれほど深刻な問題を引き起こしているのか。日本の被害が他国と比べて少ないとみられるのはなぜか。ワクチン開発の可能性は高いのか。第2波以降への態勢整備には、医学的知見に基づいて議論することが不可欠である。そこで、NIRAでは、公衆衛生・医療制度の専門家である高橋泰先生、疫学の専門家である浦島充佳先生をお招きし、翁百合NIRA総研理事をモデレーターとして鼎談を行った。
 鼎談では、新型コロナウイルスの特性としてわかってきた重症化を引き起こす「サイトカイン・ストーム(免疫機構の暴走)」メカニズム、日本人特有の自然免疫やBCG接種が死者数の少なさに関係している可能性などさまざまな研究が進んでいること、治療薬・ワクチンの開発の現状評価、また年齢などのリスクに応じた出口戦略の重要性などが議論された。
 今後への備えとして、新しく得られてきた知見を踏まえた第1波への対応の検証とともに、感染状況を全国レベル・リアルタイムでデータ把握できるシステムの構築、地域ごとに軽症者と重症者を区別して受け入れる病床の体制整備が重要である。また日本の感染者のデータを分析し、研究成果を海外に発信していく必要がある。

INDEX

 中国から広まった新型コロナウイルスの感染拡大は、欧米諸国で甚大な被害を出し、現在は途上国に広がっている。一方、欧米と比べて落ち着いた状況にあるといわれる日本。果たしてそれはなぜなのだろうか。また、今回の感染拡大を乗り越えたとしても、秋以降に来るといわれている第2波、第3波にどう備えるべきなのだろうか。

 感染拡大防止の取組についての評価、そして、今後の医療体制のあり方などを議論いただくために、NIRAでは5月17日に、公衆衛生・医療制度の専門家である高橋泰先生、また、疫学の専門家である浦島充佳先生をお招きし、翁百合NIRA総研理事がモデレーターとなり、鼎談を行った。

鼎談時には、全員がマスクを着用し、換気等の新型コロナウイルス感染対策を講じています。

Part 1:なぜ日本では、新型コロナの被害が少ないのか?

新型コロナとインフルエンザの違い

 まず、新型コロナウイルスの特徴について、インフルエンザなどと比較して、解説していただければと思います。

高橋 最近いろいろな研究によって、新型コロナウイルスの特徴が明らかになってきました。新型コロナウイルスを、インフルエンザの感染・発症メカニズムと比較してみると、まだ仮説の段階のものが多いですが、次の4つの特徴にまとめられると考えられます。①毒性レベルの強弱(インフルエンザ:強、新型コロナ:弱)、②死亡原因(インフルエンザ:ウイルス自身、新型コロナ:サイトカイン・ストーム)、③治癒手段(インフルエンザ:獲得免疫、新型コロナ:自然免疫の関与が大きい)、④体内での滞在期間(インフルエンザ:1週間程度、新型コロナ:1カ月~数カ月)です。

 インフルエンザは、ウイルス自体の毒性が強いために、ウイルスに曝露してから症状が出現するまでの期間が短く、体を守る抗体がすぐに現れます。インフルエンザ肺炎が原因で死亡することもある。強い毒性をもつウイルスを撲滅しようとして、ウイルスに特異的な免疫機構である「獲得免疫」機能が働き、すぐに抗体が現れるのです。その抗体の働きで、1週間程度で症状は治まります。これに対して新型コロナは、まず曝露してから症状が出るまでの期間が数日から2週間と長い。最初のうちは、人体に生まれつき備わっている免疫機構である「自然免疫」によってウイルスに対応しようとします。ウイルスに感染してから獲得免疫による抗体ができるまで、2週間程度かかるのです。ということは、ウイルス自体の毒性は弱いということになります。PCR検査にしても、鼻咽頭から綿棒で検体を取る場合は、症状が出てから3週間程度は陽性になり、その後陰性になりますが、肺胞や便からの場合はその後も長期に亘り陽性を示すケースも少なくないようです。

 新型コロナはインフルエンザと違って毒性が圧倒的に弱いのですが、この点が問題なのです。ウイルス自身が原因で死に至るのではなく、全身に広がった時に「サイトカイン・ストーム」という、ウイルスとは別のメカニズムで一気に重症化することが、今、世界を混乱させている大きな原因でしょう。

 「サイトカイン・ストーム」は免疫反応が暴走することですね。わかりやすくご説明いただけますか?

高橋 通常は、ウイルスが体内に侵入すると細胞からサイトカインというタンパク質が放出され、免疫機構が作動します。しかし、サイトカインが過剰に放出される「サイトカイン・ストーム」という現象が起こると、免疫機構が暴走し、重篤な肺炎を引き起こすのです。

 インフルエンザは、毒性の強いインフルエンザウイルス自身が猛威を振るって重症の肺炎を引き起こしますが、新型コロナ肺炎が重症化するのは、ウイルス自身の毒性が原因ではなく、ウイルスが誘発するサイトカイン・ストームによるという仮説があります。突然重症化するという臨床経過から見てサイトカイン・ストームのような事象が体内で起きていることは間違いないと思います。サイトカイン・ストームを起こすと、あっという間に重篤化して亡くなる。しかも、新型コロナは感染のスピードが速い。新型コロナになっても死亡するケースの比率は、日本ではインフルエンザよりかなり低いのですが、それでも日本の全人口をかけると5月17日までに全国で740人(インフルエンザの昨年の死亡者数3000人)を超える死者が出ました。また、感染者を隔離しないといけないため、一時的かつ集中的に一部の医療施設に大変な負荷がかかったと推察されます。そうして、パニックを呼んでしまったわけです。

図表1 新型コロナとインフルエンザの重篤化・死亡原因の違い

インフルエンザ毒性の強いインフルエンザが猛威を振るい、重篤な肺炎になり、死に至る

出所)高橋泰教授作成

新型コロナ重篤化する別のメカニズム(サイトカイン・ストーム)により、重篤化、死に至る

日本人にコロナ被害が少ない4つの理由

 インフルエンザと新型コロナウイルスには大きな違いがあることがわかりました。さて、日本における緊急事態宣言は当初5月6日が期限でしたが、8都道府県についてはいったん5月31日まで延長され、その後地域ごとに状況をみながら解除が始まりました。日本はPCR検査数が他国に比べて格段に少ないため、実際の感染者数は統計の数字よりも多いのではないかとも言われます。一方、日本の被害の実態は死亡者数でみるべきかもしれませんが、感染の状況をどのように評価していますか。

浦島 感染者数を過小評価している可能性はあります。実際の状況を把握するには死者数で見た方がよいでしょう。

 100万人当たりの死者数を各国で比較すると、イタリアやスペイン、イギリスは500人~600人、アメリカが271人。これに対して、日本は5.88人です(2020年5月17日時点。European Centre for Disease Prevention and Controlのデータによる)。死亡率で見ると日本は欧米の数10分の1から100分の1程度に過ぎず、罹患した場合の死亡確率も数分の1です。

 もちろん、死者数も過小評価されている可能性がないわけではありませんが、日本の医療においてコロナ感染が疑われる死者を検査していないとは考えにくい。他国と比較しても、死者数が数10分の1など極端に過小評価されているということはないと思います。

 日本の死亡率は、確かに欧米に比べて大変低く抑えられており、そのことについてさまざまな議論があるようです。日本で新型コロナの被害が少ない理由は何であると先生方はお考えでしょうか?

高橋 私は、日本が欧米と比較して死亡率が低いことに、4つの理由があると考えています。まず1番目は、日本人が新型コロナに対して強い「自然免疫」を持っているということ。欧米との死亡率100倍以上もの差は、さすがに生活習慣や医療体制だけでは説明できません。

浦島 通常、感染症に関する説明では、「獲得免疫」に注目が集まりがちで、自然免疫にはあまり注意が払われません。しかし、新型コロナに関しては、この自然免疫で抑え込んでいるケースが多いと考えられるのです。

 例えば、はしかにかかったりワクチンを打ったりすると体内に抗体ができる。はしかウイルスが体内に入っても、この抗体がウイルスをブロックしてくれる。こういう、ウイルスに特異的に働くタイプの免疫が、獲得免疫です。

 ところが人間の体には、悪い影響を及ぼしそうな病原体が入ってくると、取りあえず初期段階で叩いてくれる自然免疫のメカニズムも備わっています。そういうメカニズムがあるからこそ、人類の歴史がこれほど長く続いているのです。

 この自然免疫は、後天的に鍛えられるらしいということがわかってきました。特に最近注目されているのが、サイトカインの1つであるインターロイキン1β(IL-1β)で、IL-1βがたくさん出るとウイルスに対する有効な武器になる。このIL-1βを出すスイッチが、「入りやすい人」と「入りにくい人」がいるのです。自然免疫が鍛えられている人は、ウイルスが体内に侵入するとすぐにIL-1βのスイッチが入り、これが放出されるのですが、スイッチが入りにくい人では、悪いタイプのサイトカインが増えてサイトカイン・ストームが起こり、肺炎になってしまう。日本人は、どうやら自然免疫が鍛えられているらしい。それはBCG接種と関係があるのではないかという仮説が注目されています。これについては後述します。

高橋 そして、2番目の理由は、日本は高齢者の隔離レベルが高いということ。新型コロナは高齢者のリスクが圧倒的に高く、若者が重篤化して亡くなる確率と、高齢者が重篤化して亡くなる確率は、大きな開きがあります。日本の場合には、0~29歳の人と、70歳以上の高齢者では、重篤化して亡くなる確率は1,000倍もの差があります。高齢者に感染させないことが、死亡者数に大きく影響するわけです。

 日本では、これまでにノロウイルスやインフルエンザウイルスの流行があったために、高齢者施設はウイルスに対する備えがしっかりしています。ウイルスの立場からすれば、現在の日本の高齢者施設は要塞といえるくらい入り込むのが大変だと思います。さらに、80歳以上の方にお話をうかがうと、コロナで死ぬことを非常に恐れている。コロナで死んだと報道されると、周囲に迷惑を掛けてしまうというんですね。だから、自主的に隔離的な生活を行い、人との接触を減らしている。高齢者施設の要塞化と、高齢者の自主的な隔離生活は、日本が欧米に比較して高齢者の死亡者数がとても少なくなっていることに大きく貢献していると考えています。

図表2 日本の年代別重篤化率・致死率

注)2020年5月5日時点。PCR陽性者数の重篤化率・致死率は「対感染者数比」、神戸市の推計重篤化率・推計致死率は「対人口比」を示す。
出所)厚生労働省、神戸市データより、高橋泰教授作成

 3番目は、生活習慣でしょう。日本人には、手洗いやマスクの習慣があり、室内では靴を脱ぎます。やたらハグやキスもしません。

高橋 4番目は、医療体制です。クラスター(小規模な感染者の集団)を見つけて感染源をたどる、クラスター対策班も有効だったと思いますし、日本では入院したらきちんと治療してもらえます。

浦島 日本と韓国は、人口当たりのベッド数が圧倒的に多いですからね。世界的には1万人当たり40くらいの国が多いのですが、日本では130もあります。ICU(集中治療室)は少ないですが。

 あともう1つ理由を挙げるとしたら、肥満度でしょうか。肥満度はBMI(体格指数)というスコアで表され、正常範囲は18.5~25です。日本人でBMIが30を超える人はめったにいませんが、アメリカ人では37%もいます。人口の18%以上が肥満の国とそうでない国を比較すると、新型コロナの死亡率に肥満度が大きく影響していることがわかります(図表3)。

 ただし、新型コロナの重篤化に作用しているのは、肥満そのものというより、高血圧のようです。しかも、血圧を下げる薬を飲んでいるかどうかは関係なく、高血圧であること自体がよくないらしい。人間の細胞表面には、ACE(アンジオテンシン変換酵素)という血圧を調整する仕組みがあります。ACEが増えると血圧が高くなり、ACE2が増えて血圧を下げようとする。ACE2は肺上皮や消化管の粘膜上皮のほか、血管の内皮、心筋表面にも出ており、今回の新型コロナは、このACE2に感染するんですね。

図表3 肥満度(BMI)と新型コロナの死亡率

注)BMI(Body Mass Index)は肥満度を表す指標。BMIが22になるときの体重が標準体重で、最も病気になりにくい状態であるとされ、WHO(世界保健機関)の基準では30以上を肥満とする。図表はBMI30以上の肥満者が人口の18%未満の国々(例:日本は4%)と18%以上の国々(例:アメリカは37%)とで、COVID-19による人口100万人当たりの死亡率を比較している。p < 0.0001は、有意な差があることを示し、中央値では9倍の差がある。
出所)WHOより、浦島充佳教授作成

 ここからは私の推論になるのですが、高血圧の人は血圧を下げるために体内でACE2の発現が増えているのではないでしょうか。糖尿病の人も肥満の人も高血圧気味ですから、ACE2が多い可能性がある。新型コロナはACE2を足掛かりとして細胞内に感染していきますから、高血圧、肥満がリスクになるのではないか。現時点ではまだデータがないため、はっきりしたことは言えないのですが。この仮説が正しいとすると、肥満の割合が高い国で新型コロナによる重篤化リスクが高まり、死亡率が上がる1つの要因になるでしょう。

Part 2:ワクチンを巡る国家間競争

BCG接種が自然免疫を高める?

 先ほど、日本人の自然免疫が高められているかもしれないというお話がありましたが、これがBCG接種による効果といわれていることですね?

浦島 はい。最近、注目されるようになってきたのが、結核菌を予防するワクチンであるBCGです。BCGを接種することで、自然免疫が鍛えられるのではないかという仮説が出されています。

 根拠の1つとなっているのが、2018年にオランダのラドバウド大学の研究チームが発表した論文です(注1)。オランダではこれまでにBCG接種が行われたことはありません。研究チームは、BCG接種するグループとBCG接種を行わないグループの2つに被験者をランダムに振り分けました。1カ月後、今度は被験者に黄熱病のワクチンを接種します。このワクチンは生ワクチンなので、被験者はウイルス血症(ウイルスが血流に侵入した状態)になる可能性が高くなります。被験者の血液を採取したところ、BCGを接種したグループは接種していないグループに比べて、ウイルス血症になった人の割合が4分の1から5分の1程度になっていました。被験者のサイトカインを調べたところ、インターロイキン1βが特に強く働いており、これによって黄熱病のウイルスが抑えられたと考えられます。

 現在、オランダでは医療従事者を対象に、BCG接種のランダム化比較試験を進めています(注2)。被験者を、BCG接種を行うグループとプラセボ(偽物の薬)を打つグループに分けて、新型コロナに感染する割合を調べるわけです。オランダ以外にオーストラリアの小児医療研究所や、ハーバード大学でもBCGの臨床試験が始まっています。

 実は経済学の分野でも、BCG接種が新型コロナに与える影響について関心を呼んでいるのですが、これに否定的な研究も出ています。例えば、旧東ドイツ地区と旧西ドイツ地区を比較すると、旧東ドイツ地区の方が新型コロナ感染者の割合が少ない。旧東ドイツではBCG接種を行っていたのでこれが影響しているのではないかという意見が出ていたのです。ニューヨーク連邦準備銀行のエコノミストらは、東西ドイツの差は確かにそうなのだが、旧西ドイツで以前接種した人と接種していない人の感染率を比較してBCG接種は有意な差ではないと結論づけています(注3)

高橋 おそらくBCGの効果は感染率よりも死亡率のほうでより顕著に表れると思われるので、死者数をみないといけない。しかし死亡する人の率が低いので数10万人規模で比較試験を行わないと、BCGの効果を検証できないかもしれません。

 先生のご指摘は医療専門家のご意見を伺って分析をする必要性を示唆していて、興味深いです。

浦島 最近ロシアでは感染者数が急激に増加しており、アメリカに迫る勢いになってきています。ところが、人口100万人当たりの死亡率で見るとそれほど増えておらず、日本より少し多い程度です。ロシアは、旧ソ連時代からBCG接種を行っている国なんですね。他方、これまでBCG接種が行われていないイタリア、オランダ、ベルギー、アメリカでは、新型コロナによる死亡率が高い(図表4)。

図表4 BCG接種実施の有無と新型コロナの死亡率

注)現在BCGを実施していない国には、国のワクチンプログラムとして過去一度もBCG接種プログラムを実施していない国々:イタリア、オランダ、ベルギー、アメリカ、カナダ、レバノン(これらの国々では一部の人々にのみ接種が推奨されている)と、過去に実施していたがある時期より終了してしまった国々が含まれる。終了の理由は結核の発症率が低いことが主な理由で、ヨーロッパやアメリカなどの比較的乾燥した地域に多い。p < 0.0001は、有意な差があることを示し、中央値では18倍の差がある。
出所)The BCG world atlasWHO situation reportsより、浦島充佳教授作成

高橋 BCGと一口に言っても、菌の系統、いわゆる「株」の違いがあり、日本株、ソ連株、デンマーク株などがあります。

浦島 そうした株による違いも影響している可能性はあります。ただ、BCG接種の効果を測定するのは、一筋縄ではいきません。例えば、BCG接種を行っている国でも全員が接種を受けているとは限りませんし、国の制度では十分にカバーし切れていない移民の人たちがいる可能性もあります。

 また、BCG接種の仕方も時代によって大きく異なります。日本でもつい最近までは、乳児の頃にBCG接種をし、小学校に入ったらツベルクリン反応を見る。ツベルクリン反応が陰性ならもう1度BCG接種、陽性なら胸部X線写真を撮って結核の診断をするという手順を行っていました。ところが、2005年以降は、乳児の時にBCG接種を行った後、ツベルクリン反応検査を行っていません。BCGというのは要するに弱めた結核菌をハンコ注射するわけですが、乳児の1回限りの接種だと、自分の免疫力によって菌がいなくなってしまうこともあり得る。日本の若い世代は、BCG接種を行ってはいても、ツベルクリン反応で陰性になってしまう人が多いかもしれない。だとすると、BCGをやっていないのとほぼ同じことになってしまいます。

高橋 日本人の体質の差という点では、腸内細菌の影響の可能性も指摘されています。欧州では新型コロナが、腸内細菌の1つであるプレボテラ属の細菌に入り込むと、サイトカイン・ストームを起こして肺炎が重篤化するという報告があります。新型コロナの重篤化を抑えるには、アジスロマイシンという薬を使用して腸内細菌を整えるのが効果的という説もあり、世界中で研究が進められています。

 腸内細菌の多様性は、各国ごとの違いや1人ひとりの違いもあり、健康長寿の観点からも関心を呼んでいますね。

エビデンスのある治療薬・ワクチンはまだない

 新型コロナウイルス感染症対策専門家会議の見解では、「BCGにはエビデンスがない」ということでしたが。

浦島 「エビデンスがない」というと一般の人、医師でさえもBCGは全く効果がないと考えてしまいがちです。でも、エビデンスのある治療薬やワクチンがあるのかと言われたら、まだほとんど存在していないのです。今のところ(5月17日時点)、新型コロナに対してエビデンスがあるのは、5月に発表されたばかりのインターフェロン1βだけです。軽症の新型コロナ感染者に対するランダム化臨床試験を行った結果、インターフェロン1βはウイルスの消失が1番早いという結果が出ています。他の治療薬・ワクチンについては、ほぼすべて観察研究の段階です。「使ってみると効き目があるようだ」と言えても、ランダム化臨床試験を行って、患者が本当に治癒されたのか、副作用がないのかをクリアに証明できた試験はまだ1つもありません。

 ギリアド・サイエンシズ社の抗ウイルス薬「レムデシビル」は、アメリカと日本でスピード承認されましたが、どうみておられますか。

浦島 レムデシビルはアメリカがいち早く認可を出して、日本も追従した形です。(本鼎談後の(注4))5月22日にアメリカの医学雑誌であるNew England Journal of Medicineに「レムデシビルが比較群に対して4日早期に退院できる」とする報告がありました(注5)。しかし、レムデシビルは酸素を必要とする中等症肺炎患者には有効でしたが、人工呼吸器ないしはECMOを使う重症例に対しては全く効果がありませんでした。また、死亡率も比較両群で有意な差を認めていません。5月7日、論文発表前のアメリカの承認を受け、日本は、データを十分吟味しないまま、スピードを重視して特例承認しました。22日の論文をみると重症例には効いていませんが、加藤厚労相は「重症者で必要とされる方にしっかりと供給されるよう努力していく」と述べています。

ワクチン開発競争の中で日本がすべきこと

 ワクチンや治療薬の開発は、各国が非常に熱心に取り組んでいますが、現状をどうみておられますか。

浦島 是が非でも、治療薬とワクチンをアメリカが世界に先駆けて開発するとみています。語弊があるかもしれませんが、アカデミズムを軽視し、これまでのルールを壊してでも目標を達成しようという、国家としての意思の表れ、これはまさに戦争です。この戦争の勝者は、世界で最初にワクチンを開発した国だと思います。治療薬は死亡率を劇的には下げることはないでしょうが、ワクチンが開発されれば、発症率を下げるだけではなく、死亡率も下げる可能性があるわけです。

 病気そのものを予防できる、あるいは半分に減らすことができれば、死者の数も半分近く減らせるでしょう。最初にワクチンを開発した国が世界をけん引することができるわけです。

 アメリカは桁違いのお金を投資して、とにかく年内にワクチンを開発しようとしています。マンハッタン計画、つまり第2次世界大戦の原爆開発以来の予算規模になるそうです。

 大変な規模の予算を投入しているわけですが、ワクチン開発に成功した国は、どのように政治的にグローバルな優位性を確保することができるとみておられますか?

浦島 現在、アフリカの特定の国に入るには、黄熱病のワクチンを接種したという証明書、イエローパスポートが必要とされます。同様に、新型コロナについてもそういう免疫パスポートを作ろうという話が出ています。もし、免疫パスポートができるとしたら、ワクチンを最初に開発した国が格段の優位を築けるわけです。免疫パスポートが世界の主流になれば、ワクチンを打てない国は、社会経済的にかなりの不利益を被ることになります。

 ワクチン開発の状況を医師の立場からどのように見ていらっしゃいますか?

浦島 2003年にSARS(重症急性呼吸器症候群)が流行した時、一応アメリカと中国が共同でワクチンを開発しています。ワクチンが開発された時には、もうSARSは収まっていましたが。ですから、新型コロナのワクチン開発についても、中国とアメリカにはアドバンテージがあるでしょう。ワクチン開発では、中国がアメリカにサイバー攻撃を仕掛けているといううわさもあったりしますが、両者は今まさにデッドヒートを繰り広げているところでしょうね。

 そうした中で、日本の状況はいかがでしょう?大阪大学や製薬会社などさまざまな動きが報道されています。

浦島 覇権を競っている米中と違い、日本は「ワクチンが開発されたら幸運だった」というくらいのスタンスでしょうから、後れを取っているように見えます。日本では、新型コロナによる死者は、季節性のインフルエンザよりも少ないですからね。

高橋 日本人の自然免疫の仮説を説明しましたが、ワクチンは抗体があるかどうかという点が問題になります。

浦島 日本赤十字社によれば、1昨年前の血液ストックによる調査で陽性率は0.5%、今回500人調査した結果も陽性率は0.5%。新型コロナの流行前後で、陽性率が変わらないということは、献血に協力した日本人で新型コロナの抗体を持っている人はほとんどいないということになります。しかし、自然免疫があれば新型コロナにかからないのであれば、抗体の有無は医学的には意味がない、そう私は考えています。

 一方、抗体の有無を政治的に利用して、免疫パスポートを発行しようという動きが出てくると、日本は国際的なコミュニティーからはじかれてしまう可能性がある。抗体の有無には科学的な意味はないと主張しても、「日本は不思議の国」として扱われ、仲間に入れてもらえない。うまく日本のアドバンテージを示して、世界に認められる方策を探る必要があります。

 もう1つの私の懸念は、海外のジャーナルを見ていると、日本の研究者からの論文がほとんど発表されていないことです。日本は中国に次いで流行が始まっていたにもかかわらず、例えばダイアモンド・プリンセスの経験はインパクトファクターの高いトップ・ジャーナルにきちんと掲載されませんでした。日本が海外から十分に評価されていないのは、国際的な枠組みの中でアカデミアが発信できていないからだと思います。全国の患者さんのビッグデータをちゃんとサーベイできるシステムがないために、医師が経験した数人分の症例を日本語で発表するにとどまっているのです。詳細なデータが出て海外に論文を発表できれば、これから流行が起こる国の役に立ちます。リアルタイムのデータで自分たちがどういう状況にあるか見えることは、次に打ち出す方針を決めるうえでも大事です。

 高橋先生と一緒に取り組んできた未来投資戦略でも、データ連携やデータ利活用をずっと提言してきました。新型コロナウイルス対応でも、やはりリアルタイムデータの連携と蓄積の重要性があらためて認識されたと感じます。また、日本の状況についての理解が海外で進んでいないというのはおっしゃるとおりで、データの蓄積と分析を進め、アカデミアからの発信をぜひ期待したいと思います。

Part 3:出口戦略をどうするか

新型コロナの特性を踏まえて

 PCR検査や感染者の隔離に関して、当初大きな混乱がありました。

高橋 新型コロナが、感染症予防法の1類感染症、2類感染症(病毒性、致死率による感染症の分類。1類が最も深刻な感染症)に指定されたことが大きかったと思います。実際には軽症の患者が多かったにもかかわらず、感染が確認された患者は隔離しなければなりません。韓国のように大量のPCR検査を行って、陽性者は全員隔離となったら、重症患者を治療できず、病院もパンクしてしまいます。今の法律のもとでは、日本の医療体制を守るために、PCR検査を抑制せざるをえなかったのだと思います。

 新型コロナは、インフルエンザとまったく特性が異なりますから、「2.5類」とでもいうべき新しい分類を設けて、指定感染症の枠からはずして、軽症であれば入院しなくても済むような新しい対処のプロトコルを用意するべきでしょう。

 必要なPCR検査が十分に行われなかったのではないかという疑問がある一方で、PCRの「全数検査」を行うことの医療体制への影響や、PCR検査は、「誰が陰性か」を判定するには完全なものではないこと、陽性者でも「偽陰性」(本当は陽性なのに陰性と判定されること)が出てしまう確率があるといった確率統計の問題が、もっとわかりやすく周知されているとよかったのではないかとも思います。

浦島 PCR検査の結果が陰性でも、新型コロナウイルスは肺の奥で増えることがあります。PCR検査の正確な偽陰性の確率はわかっていませんが、喉は陰性でも肺の奥でも増えているケースや潜伏期間中もあるので、一説には50%が偽陰性とも言われています。つまり、2回に1回は偽陰性となり、医療現場で働く医師の立場からすると、信頼性の低い検査ということです。患者の症状と医師の判断で補って診断しないといけない。

 PCR検査の正確性が十分に期待できないにもかかわらず、検査の結果、陽性なのに陰性という判定が出た人が安心して出歩き、感染を広げてしまうこともありますからね。

図表5 発症日による日本の感染症流行曲線

注)青の棒が発症日データを用いた推定感染者数、濃青の実線が推定された実効再生産数を示す。実効再生産数は、感染症に感染した1人の感染者が、(未感染者だけでない)集団に加わったとき、感染期間中に直接感染させる平均人数と定義される。グレーの棒グラフは海外からの輸入感染事例を示す。黒い線は緊急事態宣言が発出された4月7日。
出所)厚生労働省のホームページより、浦島充佳教授作成

年齢別、場所ごとの解除を進める

浦島 メディアなどの報道にも問題があります。PCR検査による感染者の報告が出ていますが、あれは報告日ベースになっており、疫学的には発症日ベースで見ないと意味がありません。発症日で見ると、3月末には感染者はピークを迎えており、緊急事態宣言の発令された4月7日以前には減り始めていました(図表5)。緊急事態宣言が出たから、減少が加速したわけではありません。

 結果的にはうまく感染は収まってきたわけですが、緊急事態宣言を発令するのが遅れたとみておられるということでしょうか?

浦島 いえ、緊急事態宣言を出した後ではなく、出す前から患者数が減り始めているので、結果論ではありますが、宣言は出さなくてもよかったのではないかと思います。こうした評価はどこかできちんとしていかなければならないと思います。また、3月に輸入感染症が増え、海外からの入国を止めました。空港でも徹底的なPCR検査を行った。このことが流行を減少に転じさせた最も大きな要因だと私はみています。もちろん、発令するより前に、感染者が増えているという報道を見て、各人が「今日は飲みに行かないようにしよう」という具合に行動を変えたことが効いているとも思います。ですから、緊急事態宣言の解除以上に国境封鎖の解除をより慎重に行う必要があります。

 日本は海外からの輸入感染防止策や、自主的な行動変容が疫学的には功を奏したとみておられるわけですね。ただ、経済の側面からみれば、緊急事態宣言により休業補償などの可能性が高くなるわけですから、同じ国民に外出の自粛を求めるのであっても、緊急事態宣言が発令されることは、休業を余儀なくされる企業にとっては大きな違いがあります。

高橋 私は、あの時点で、緊急事態宣言を発令したこと自体はしかたがなかったと思います。当初新型コロナもインフルエンザと同じように一挙に流行が来て大勢が感染し、抗体ができてピタッと流行が収束することを前提とした従来の感染症モデルをもとにして予測が行われ、死亡者を最大42万人と見積もりが出されたと思われます。その当時は新型コロナの実態がわからなかったので、あの時点でその数字をもとに対策を講じることは妥当だったと思います。ただ、今は、その当時と比べかなりウイルスの特徴もわかってきているので、予測モデルを見直す段階に来ています。ウイルスの毒性が弱く、自然免疫が効いていることを考慮したモデルを用いて推計した方が、より実態に合った推計ができるのではないかと考えています。

浦島 推計値は、5月17日時点で国内の死者が約740人という現実にも、全く合致していません。予測と結果があまりにも乖離している。今のままだと、誰も政府の言うことを信用しなくなり、第2波が来た時に対応できなくなってしまいます。

 日本の対応と比較的似ている国として、欧米では都市封鎖(ロックダウン)をする国が多かったのですが、スウェーデンはロックダウンをしなかったことが知られています。スウェーデンの死亡率は北欧諸国の中では多いといった指摘をする人がいる一方で、強制的措置をとらなかったことを評価する人も多いです。

浦島 僕はあれが正解だったと思いますね。一時、スウェーデンの死亡者数が急速に増加したので批判がでましたが、スペイン、イタリア、フランスと比較すると、人口当たりの死者の増加数は最近ではほとんど同じ水準にまでなっています。その一方でGDPの落ち込みは、イタリアがマイナス4.7%、スペインがマイナス5.2%、フランスがマイナス5.8%なのに対し、スウェーデンはマイナス0.3%です。ロックダウンをしなくても、人口当たりの死者の増加数は同程度になっているのに、GDPの落ち込みが少ない。

高橋 ロックダウンは確実に下がるけれど、あまりにも被害が大き過ぎて、病気の特徴に見合っていないと思います。もちろん、出口戦略をどうするかにも、関係してきます。先ほど説明したように、0~29歳の人と、70歳以上の高齢者では、重篤化して亡くなる確率は1000倍以上も違います(図表2)。ロックダウンを解除すると街中の感染率は確実に上がるし、高齢者施設での死亡率は高まります。そこで、私は年齢別に、解除を進めるべきだと考えています。世代別リスクを考えた出口戦略です。特に、高齢者の隔離的な現在の状況をあと数か月、維持していくことが医療崩壊を起こさないことに対して有効だと思っています。

 MIT(マサチューセッツ工科大学)のアセモグル教授という経済学者は、年齢別のリスクの違いを考慮したマルチリスクSIR(Susceptible-Infectious Recovered)モデルをもとに、ロックダウンを行う場合も年齢別に行えば、死亡率の低下と経済のダメージ縮小を両立できる、という分析結果を発表していました(注6)。高橋先生の出口戦Zと少し類似した考え方といえるかもしれません。

高橋 リスクの低い人たちから、制限を解除していけばいいんですよ。ポイントは、新型コロナは全体の感染者数を減らすことよりも、重症化しやすい人を守ることです。

浦島 これまでの国内データを元に、何がきっかけで患者数が増大したか、死亡数を減らす要因は何かなどファクトをしっかり検証する。また、国外のロックダウンの効果も十分検証する。そして、リオープンしてもよい場所と、してはいけない場所を仕分けしておく。感染拡大はさせないが、社会経済をスピーディーに再生させることができる最適点を見出すことが重要だと思います。

高橋 予想される感染リスク別に球場やライブハウスなどの場所を階層化し、年齢階級によって大きく感染リスクが異なることを考慮し、(場所:感染リスクレベル)×(年齢階級)というようなマトリクスを作って、開放の順番を判断すべきでしょう。この点から考えると、甲子園やインターハイなどの若者のスポーツは積極的にやらせても問題はないと思います。

浦島 その土地ごとの流行状況で、例えば今ほとんど流行がない仙台や広島の野外スタジアムから少しずつ試験的に再開していって、そこでクラスターがなければ、どんどん広げていくというのはありかな、と思いますね。

第2波、第3波への備え

 一方で、医療提供体制が整っていない地域で高齢者が多いところは、気をつけないと怖いですね。

高橋 過疎地は高齢化率がすごく高いので、今は流行していなくても注意が必要です。村全体に高齢者を中心に感染が広がり、その一部の人が亡くなる可能性は十分にありうる。

浦島 地方はPCR検査を控えすぎてしまうところもあったようです。PCR検査は万能ではないことはきちんと理解を広めつつ、PCR検査で見える化してあげることがとても大事だと思います。特に、検査で陽性になることは悪いことというマインドを変えて、適切に検査を受けてもらう雰囲気をつくらなければなりません。診断もせずに家にこもってしまうことにもなりうる。

 また、高橋先生がおっしゃるように、2.5類の考え方を使い、病院に入院するのは中等症以上、酸素吸入器が必要な人に限る。軽症者はホテルなどに隔離する、というように患者のトリアージ(治療優先順位の判定)システムを確立しておくことも必要です。

 日本も、第2波に備えて、各地域で重症の患者さんはしっかり収容できるベッドを確保して、軽症の人も収容できるスペースを確保したうえで、大規模な検査システムをつくる必要があります。

 アメリカでは、インシデント・コマンドシステムという仕組みが各地域にあり、収容可能な病床数や、マスク・防護服などの医療資材などをリアルタイムで把握できる仕組みがあります。さらに各地域のシステムを集約し、国が全体を管理していて、資材が足りなくなれば適宜配られる。医療関係者はマスクの心配なんかせず、患者さんだけ診ていればいいわけです。

高橋 新型コロナが今後、変異などにより毒性が高まりこれまで以上に猛威を振るうようになる可能性もあります。同時に、自然免疫によってさらに抑え込める可能性もある。この2つの出口戦略をまず立案し、どちらに動いても対応できるような「総合的な対策」を立案する必要があると思っています。それに合わせて、医療体制を整備することに尽きるでしょう。

 お2人のご見解の共通点をまとめると、まず新しく得られてきた知見を踏まえ第1波への対応を検証するとともに、感染状況のデータを地域、国レベルでリアルタイムで把握できるシステムを作り、地域ごとに軽症者と重症者を区別して受け入れられる病床の体制を整えること。第2波、第3波に備えるためにもこうした対応を進めつつ、日本の感染のデータをしっかり分析し、さらなるエビデンスを研究で積み上げて、次の対応に生かしていく、ということでしょうか。この間、オンライン診療が解禁され、感染リスクを防ぎながら、他の病気の患者を支える医療提供体制も進化してきました。受診抑制が起こりましたが、必要な医療を継続するためには、これをしっかり定着させていくことも大事だと考えています。今日は貴重なお話をありがとうございました。

翁百合(おきな ゆり)

翁百合(おきな ゆり)

NIRA総合研究開発機構理事、日本総合研究所理事長。京都大学博士(経済学)。未来投資会議・構造改革徹底推進会合「健康・医療・介護」会合会長、金融審議会委員、産業構造審議会委員等を務める。

浦島充佳(うらしま みつよし)

東京慈恵会医科大学教授。医学博士。米国ハーバード大学公衆衛生大学院にて疫学、危機管理、生物統計学を学ぶ(Master of Public Health)。小児科専門医として診療に携わる傍ら、感染症疫学や疫学デザイン、分子免疫学などを研究し、学術誌で数多くの論文を報告する。

高橋泰(たかはし たい)

国際医療福祉大学大学院教授。医学博士(医療情報)。東京大学大学院医学系研究科修了。人口推移に応じた医療介護提携体制の整備、データを活用した病院経営管理などを研究。未来投資会議・構造改革徹底推進会合「健康・医療・介護」会合副会長を務める。

引用を行う際には、以下を参考に出典の明記をお願いいたします。
(出典)浦島充佳・高橋泰・翁百合(2020)「エビデンスからみた新型コロナへの対応第2波に備え医療態勢をどう整備すべきか-」NIRAオピニオンペーパーNo.48

脚注
1 Arts RJW, Moorlag SJCFM, Novakovic B, et al.(2018)BCG Vaccination Protects against Experimental Viral Infection in Humans through the Induction of Cytokines Associated with Trained Immunity,” Cell Host Microbe. 2018;23 (1): 89-100.e5. doi:10.1016/j.chom.2017.12.010 1 Arts RJW, Moorlag SJCFM, Novakovic B, et al.(2018)BCG Vaccination Protects against Experimental Viral Infection in Humans through the Induction of Cytokines Associated with Trained Immunity,” Cell Host Microbe. 2018;23 (1): 89-100.e5. doi:10.1016/j.chom.2017.12.010
2 Jop de Vrieze(2020)Can a century-old TB vaccine steel the immune system against the new coronavirus?doi:10.1126/science.abb8297 2 Jop de Vrieze(2020)Can a century-old TB vaccine steel the immune system against the new coronavirus?doi:10.1126/science.abb8297
3 Richard Bluhm and Maxim Pinkovskiy(2020)“Does the BCG Vaccine Protect Against Coronavirus? Applying an Economist’s Toolkit to a Medical Question,” Federal Reserve Bank of New York Liberty Street Economics, May 11, 2020 3 Richard Bluhm and Maxim Pinkovskiy(2020)“Does the BCG Vaccine Protect Against Coronavirus? Applying an Economist’s Toolkit to a Medical Question,” Federal Reserve Bank of New York Liberty Street Economics, May 11, 2020
4 当該箇所については、鼎談が実施された時点では明らかとなっていなかったが、本稿が公表される時点で入手可能な情報に基づき修正を行った。 4 当該箇所については、鼎談が実施された時点では明らかとなっていなかったが、本稿が公表される時点で入手可能な情報に基づき修正を行った。
5 Beigel JH, et al.(2020)“Remdesivir for the Treatment of Covid-19 — Preliminary Report.” May 22, 2020 DOI: 10.1056/NEJMoa2007764 5 Beigel JH, et al.(2020)“Remdesivir for the Treatment of Covid-19 — Preliminary Report.” May 22, 2020 DOI: 10.1056/NEJMoa2007764
6 Daron Acemoglu, Victor Chernozhukov, Iván Werning, Michael D. Whinston (2020)“A Multi-Risk SIR Model with Optimally Targeted Lockdown,” NBER Working Paper No. 27102 6 Daron Acemoglu, Victor Chernozhukov, Iván Werning, Michael D. Whinston (2020)“A Multi-Risk SIR Model with Optimally Targeted Lockdown,” NBER Working Paper No. 27102

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