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PAPERS研究の成果

OPINION PAPER NIRAオピニオンペーパー

日本が抱える重要課題について、変化の激しい今だからこそ求められる未来志向の政策提案を、
研究プロジェクトを率いる研究者が発信します。

ISSN 2436-2212

災害支援にソーシャルキャピタルは不可欠か―自己利益と社会貢献を組み合わせる

災害支援において、ソーシャルキャピタルは不可欠なのか。能登半島地震では、従来の寄付やボランティアに加え、ふるさと納税やクラウドファンディング、観光など、新たな形の民間支援が多様な広がりを見せた。調査によると、従来の寄付はソーシャルキャピタルの意識が高い人の方が積極的な傾向があるが、新しい支援ではそうした傾向が見られなかった。民間支援の活性化には、支援手段の多様化と、自己利益と社会貢献を両立するインセンティブ設計が鍵を握る。

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揺れ動くアジアの「民主主義」の行方―欧亜の共通点から見る課題

アジア諸国と軍事を含む様々な連携を強める日本にとって、政治的な不安定要因が国際的なインパクトを与えるアジアの政治動向を把握することは喫緊の課題である。「民主主義のゆらぎ」が世界各国で指摘されるなか、その「民主主義」がどのような形でアジア諸国の外交・安全保障政策に反映しているのか。「一大成長センター」であるアジアとヨーロッパとの比較を通して、3つの共通項である「既存の政治秩序の溶解」、「ポピュリズム政治の拡大」、そして「宗教の政治的役割」の観点から、アジアの現状を振り返る。

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高齢者世帯の所得・資産の実態と今後の政策課題―世代内・世代間格差を踏まえて

基礎年金の水準低下など高齢者は生活維持リスクを抱えるが、高齢者世帯は多様であり、高齢者の所得・資産格差の実態を踏まえた議論をする必要がある。世代間格差に目を向けると、高齢者と若年層では、同一収入であっても資産や可処分所得の違いが生活の余裕に差をもたらしている。さらに、後期高齢者医療制度を通じた現役世代から高齢世代への負担についても、所得・資産の両面から応能負担となっているのか、再検討の余地がある。

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人口減少下の日本経済と財政の長期展望―2060年の家計の姿を描く

人口減少下における今後の日本経済・政府財政を展望し、財政が抱えるべきリスクと挑戦すべき課題について考察した。日本の財政は、このまま何もしなければ発散することは明らかであり、世論はともすれば悲観に傾きがちである。しかし、穏やかな金利環境を期待できれば、現在の財政の置かれた状況に対して、現実的な負担で対処していくことは十分可能である。全世代で均等に負担すれば、2060年度での現役世代の負担増は収入の3%台であり、財政は維持可能であることが明らかとなった。

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大きく進捗したキャッシュレス決済―コード決済の普及で若年層の現金決済志向は低下

コロナ禍を経て、日本のキャッシュレス化が大きく進んだ。5年前の調査では、約5割だった決済額比率が、今や7割を超えている。その背景にあるのが、QRコードなどのコード決済等が、どの年齢層・所得層でも、そして全国に万遍なく普及したことだ。特に、若者層にコード決済等が広まった。また、課題だった低所得層にもクレジットカード決済が浸透し、低所得層のキャッシュレス化の遅れは解消されつつある。

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政治不信は民主主義をどう変えるのか―社会に潜むネガティブな感情をつかむ

日本では自由と平等では自由を選択する人が多い。自己と他者が等しく一定の社会規範を遵守することを前提にした自由であり、政府の公正さへの関心が強い。特に、社会的・経済的に不安定な立場にある人は政府への信頼が低く、直接的な強いリーダーシップを望む。このような政府への不信は、ポピュリズムの温床になり得る。人々にレファレンスポイントとなる情報を多く提供・発信し、日本の状況を相対化してゆくことが求められる。

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脱炭素社会実現に向けたグリーンジョブの推進―就業者実態調査から見る現状と課題

先進国では地球温暖化対策が進み、日本も脱炭素社会実現に注力している。しかし、労働時間の10%以上をグリーンジョブに充てている就業者の割合は16%と、同割合が高い欧州の国に比べると低く、改善の余地がある。グリーンジョブに従事する人は、賃金、仕事満足度が高いが、必要なスキルが高度なため訓練が欠かせない。政府には、グリーンジョブに求められる訓練メニューを明らかにし、就業者へのリスキルの機会とインセンティブの付与が求められる。

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地方分権改革の30年を振り返る―国と自治体の役割分担の再定義を

地方分権改革が始まってから30年になる。自治体の自主性、自立性が着実に大きくなっているという意見がある一方、コロナ禍などの緊急時対応やDXなどにおいてむしろ国の役割を強化すべきという主張や、個別法令や計画策定などを通じて、実質的に国のコントロールが残っていることを問題視する考えもある。議論の焦点は、国と自治体の役割分担をいかに再定義し、その上で両者の関係をより円滑なものにしていくかにあるだろう。

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日本人の価値観に合った政策展開を―コロナ政策から得る教訓

政策に対する評価は、人々の価値観の影響を受ける。緊急事態の時に、政策に従った行動を、国民が納得してとるには、日本人の価値観に合った政策を展開する必要がある。その前提となるのが、科学的な知見に基づいた世論の形成だ。それには、国民のデータリテラシーの向上が求められる。科学的な裏付けがなくても印象的な映像などは個人の価値観を変えうるため、複雑な情報を分かりやすく伝えるメディアや、専門家たちの意見を総合化する人材の役割も不可欠だ。

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失業なき労働移動を実現するために―政労使による議論を経て

グローバル時代にふさわしい活力ある雇用社会への転換が求められている。切り札となるのは「失業なき労働移動」だ。リスキリング教育を伴うことによって賃金を上げる方向で移動できるという視点を持ち、労働移動を積極的にとらえることが必要である。労働者が主体的に希望する仕事を選び、望む人が移動できる社会を目指す。これは政労使の共通の見解であり、産官学や地域の関係者も含めて、実現に向けた共通のビジョンを描くことが大切である。

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