NIRA総合研究開発機構

最新の調査結果はこちら➡第2回政治・経済・社会に関する意識調査

概要

 (公財)NIRA総合研究開発機構では、「第1回政治・経済・社会に関する意識調査(NIRA基本調査)」を実施した。本調査は政治・経済・社会に関連する人々の意識を定点観測することを目的としている。
 調査は2023316日(木)~2023320日(月)にかけてオンラインで行われた。回収数は2,000件であり、うち有効回答数(トラップ設問をクリアした人)は1,805件だった(注1)。以下の速報結果は、トラップ設問をクリアした人のみを対象とし、「国勢調査(2020年)」の18歳以上の日本人を母集団とみなして、ウェイトによる補正を行った集計結果である(注2)

INDEX

ポイント

●組織などへの信頼に関して、「家族」、「自衛隊」、「裁判所」、「警察」、「お住まいの市町村」は70%以上の人が信頼している一方、「国会」、「政府」、「SNS(ツイッター・インスタグラムなど)」、「インターネットメディア(ニュースアプリ・サイトやブログなど)」は60%以上の人が信頼していないことがわかった。

●「自分は、政治に関心がある方である」に肯定的な回答は50%を下回る一方、「現在の政党は既得権益にとらわれており、より直接的に人々の意思を代表するリーダーが現れてほしい」、「たいていの政治家が気にしているのは、裕福で力のある人々の利益である」に肯定的な回答は70%を上回った。

●日本の経済状況の見通しについて、悲観視する人が多く、「暗い」または「どちらかといえば暗い」と回答した人は、近い将来(1~2年後)でも中長期的な将来(5~10年後)でも80%以上となった。

●社会の将来の心配事として、近い将来でも中長期的な将来でも、「食料やエネルギー価格の高騰」、「経済成長の鈍化による生活苦」、「自然災害や疫病の発生」、「近隣諸国での武力衝突」、「財政悪化で行政サービスを受けられなくなること」をあげる人が多かった。

●直近の「通常の1週間」の学習・自己啓発・訓練の時間はゼロの人の割合が最も高く、多くの人が自己研鑽に時間を投資できていないことがわかった。また、テレワーク利用者ほど自己研鑽の時間を確保できていることがわかった。

●国債発行は抑制するべきと考える人の割合は、財政赤字を心配する必要はないと考える人の割合を上回った。また、「個人所得税を引き上げるときには、高所得者の税率を引き上げるべき」と考えている人の割合は60%を超えた。

●「チャンスがあれば転職する方がよい」と回答した人の割合は、同じ企業に長く務める方がよい」と回答した人の割合を大きく上回った。特に若年層ほどこの傾向がみられた。

●公的サービスの水準向上のための追加負担の意思を聞いたところ、64%の人が支払う意思があることがわかった。その項目として回答が多かったのは、「医療サービス」、「緊急時・災害時の支援」、「子育て支援」、「年金制度」だった。一方、回答が少なかったのは、「防衛」、「生活支援」であり、最も低いのは「雇用支援」だった。

●国や自治体の支出について、現在のサービス水準を維持したまま、無駄をなくすことで最も支出を減らせると考えられている費用は「行政の人件費」であった。また、どの費用も1~2割程度無駄があると考えている人が最も多かった。

図表

図1-1-1 長期的党派性
図1-1-2 年齢階層別にみた長期的党派性
図1-1-3 投票傾向―長期的党派性と今後の比較-
図1-2 諸外国への親近感
図1-3 組織などへの信頼度
図1-4-1 政治的有効性感覚・ポピュリズム態度
図1-4-2 年齢階層別・投票別にみた政治的疎外意識
図2-1-1 世帯の家計状況の変化
図2-1-2 男女別、年齢階層別にみた世帯の家計状況の変化(新型コロナウイルスの感染拡大前との比較)
図2-1-3 世帯所得別にみた世帯の家計状況の変化(新型コロナウイルスの感染拡大前との比較)
図2-2-1 世帯の家計状況の見通し
図2-2-2 日本の経済状況の見通し
図2-2-3 男女別、年齢階層別にみた中長期(5~10年後)の日本の経済状況の見通し
図2-2-4 世帯所得別にみた中長期(5~10年後)の日本の経済状況の見通し
図2-3-1 個人の近い将来(1~2年後)の心配事
図2-3-2 個人の中長期的な将来(5~10年後)の心配事
図2-3-3 男女別、年齢階層別にみた個人の中長期的な将来(5~10年後)の最大の心配事
図2-4-1 社会の近い将来(1~2年後)の心配事
図2-4-2 社会の中長期的な将来(5~10年後)の心配事
図2-4-3 性別、年齢階層別にみた社会の中長期的な将来(5~10年後)の最大の心配事
図2-5-1 デジタル化や技術革新の影響に関する認識
図2-5-2 年齢階層別にみたデジタル化や技術革新の正の影響に関する認識
図2-6-1 直近の通常の1週間の生活時間
図2-6-2 テレワーク利用別に見た学習・自己研鑽・訓練の時間
図2-7 地域、ボランティア、副業、SDGs、グリーン・ジョブに関する活動状況
図2-8-1 環境に配慮した活動
図2-8-2 年齢階層別にみた環境に配慮した活動
図3-1-1 社会に対する考え方
図3-1-2 政策等に対する考え方
図3-1-3 年齢階層別にみた転職の是非
図3-1-4 現在の社会と理想の社会
表3-1-5 現在の社会と理想の社会
図3-2-1 公的サービスの対象
図3-2-2 世帯年収・年齢別、児童手当の対象
図3-2-3 公的サービスの水準
図3-2-4 公的サービスの満足度
図3-2-5 公的サービスの情報提供
図3-2-6 公的サービスの水準向上のため、追加で支払ってもよいと考えているもの
図3-2-7 公的サービスの水準を維持したままどれだけ無駄な支出を減らせるか
図3-3-1 受け入れられる下位10%の所得水準(税引き前)
図3-3-2 受け入れられる上位10%の所得水準(税引き前)
図3-3-3 受け入れられる下位10%の所得水準(税引き後)
図3-3-4 受け入れられる上位10%の所得水準(税引き後)
図3-3-5 生き方の選択と社会への参加
図3-3-6 中核層の割合
図3-3-7 年齢階層別にみたパーソナリティ
図3-3-8 人々の社会階層意識
図3-3-9 世帯年収別の社会階層意識

Ⅰ 調査結果

1.政治分野

1.1. 長期的党派性と投票予定政党

Q8. もし、この週末に選挙があるとしたら、あなたは、どの政党に投票したいと思いますか。

Q9. 多くの人が「長期的に見ると、自分は△△党寄りだ」とお考えのようです。短期的に他の政党へ投票することはもちろんあり得るとして、長い目で見ると、あなたは「何党寄り」でしょうか。

 Q9の自身の長期的党派性を尋ねる質問では、「自民党」と回答した人と「そのような政党はない」と答えた人がそれぞれ全体のおよそ30%ずつとなり、最も多かった(図1-1-1)

 長期的党派性を年齢階層別にみると、「自民党」と回答した人がどの年齢階層においても30%程度であった(図1-1-2)1839歳は「国民民主党」と「答えたくない」と回答した人の割合が、他の年齢階層と比べてやや高かった。60歳以上では、他の年齢階層に比べ、「立憲民主党」、「日本維新の会」、「共産党」と答えた人が多く、「れいわ新選組」、「そのような政党はない」、「答えたくない」と回答した割合が低かった。

 Q8の今週末と仮定したうえでの投票予定政党をみると、「自民党」と回答した人が27%で最も多く、次いで「日本維新の会」(18%)、「棄権」(16%)、「立憲民主党」(13%)であった(図1-1-3)。しかし、長期党派性と比較すると、投票予定政党として「日本維新の会」と回答した人の割合は8%ポイント高くなり、「立憲民主党」、「公明党」、「共産党」、「れいわ新選組」、「参政党」、「その他の政党」と回答した人はそれぞれ13%ポイント高かった(図1-1-3)。一方、「自民党」と回答した人の割合は、長期党派性の回答と比較すると4%ポイント低い結果となった。

1.2. 諸外国への親近感

Q10. 下にある5つの国について、あなたは親しみを感じますか、それとも感じませんか。それぞれの国について1つずつ選んでください。

(1)アメリカ
(2)韓国
(3)インド
(4)中国
(5)ロシア

 上記5つの国への親しみについてみると、アメリカが「親しみを感じる」(25%)または「どちらかと言うと親しみを感じる」(55%)と回答した人が計80%となり、最も多かった(図1-2)。次に「親しみを感じる」と回答した人が多かったのは、韓国(7%)、インド(5%)と続くが、「どちらかと言うと親しみを感じる」の回答を含める場合は、インドのほうが韓国よりも親近感を持たれている結果となった。

 中国やロシアに親しみを感じる回答者は少なく、「親しみを感じない」または「どちらかと言うと親しみを感じない」と答えた回答者がどちらも85%を超える。

1.3. 組織などへの信頼度と理由

Q11. あなたは、次にあげる日本の組織などをどの程度信頼しますか。「非常に信頼する」「やや信頼する」「あまり信頼しない」「全く信頼しない」のいずれかでお答え下さい。

(1)家族
(2)自衛隊
(3)裁判所
(4)警察
(5)お住まいの市区町村
(6)新聞・雑誌
(7)自治体や町内会
(8)国連
(9)テレビ
(10)政府
(11)国会
(12)市民社会
(13)インターネットメディア(ニュースアプリ・サイトやブログなど)
(14)SNS(ツイッターやインスタグラムなど)

 組織などへの信頼度に関しての設問では、「家族」を「非常に信頼する」と答えた人が最も多く(64%)、「やや信頼する」と回答した人と合わせると94%となった(図1-3)。次いで、「自衛隊」、「裁判所」、「警察」、「お住まいの市町村」も70%を超える人が「非常に信頼する」または「やや信頼する」と回答した。

 「全く信頼しない」または「あまり信頼しない」と回答した人が最も多かったものは、「SNS(ツイッター・インスタグラムなど)」(78%)、「国会」(70%)、「政府」(64%)、「インターネットメディア(ニュースアプリ・サイトやブログなど)」(61%)という結果となった。

1.4. 政治的有効性感覚・ポピュリズム態度

Q14. 次の意見について、あなたはどう思いますか。それぞれの項目について1つずつ、あてはまる番号を選択してください。

(1)今の政治家は、あまり私たちのことを考えていない
(2)国会議員は、おおざっぱに言って当選したらすぐ国民のことを考えなくなる
(3)自分には政府のすることに対して、それを左右する力はない
(4)政治とか政府とかは、あまりに複雑なので、自分には何をやっているのかよく理解できないことがある
(5)自分は、政治に関心がある方である
(6)現在の政党は既得権益にとらわれており、より直接的に人々の意思を代表するリーダーが現れてほしい
(7)たとえリーダーが物事を成し遂げるためにルールを曲げるとしても、強いリーダーを持つことは日本にとって有益である
(8)政治家ではなく、国民が最も重要な政策決定を行うべきである
(9)たいていの政治家が気にしているのは、裕福で力のある人々の利益である

 政治に対する意識を尋ねる質問では、「現在の政党は既得権益にとらわれており、より直接的に人々の意思を代表するリーダーが現れてほしい」、「国会議員は、おおざっぱに言って当選したらすぐ国民のことを考えなくなる」、「今の政治家は、あまり私たちのことを考えていない」という項目で「そう思う」または「どちらかと言えばそう思う」と回答した人は、いずれも80%近くとなり最も多かった(図1-4-1)

 次いで、「自分には政府のすることに対して、それを左右する力はない」、「たいていの政治家が気にしているのは、裕福で力のある人々の利益である」という項目で、71%となった。

 また、「自分は、政治に関心がある方である」、「たとえリーダーが物事を成し遂げるためにルールを曲げるとしても、強いリーダーを持つことは日本にとって有益である」という項目では、4446%にとどまった。

 リーダーシップを発揮し、直接的に人々の意思を代表する政治家の登場を求めながらも、そのリーダーが目的遂行のためにルールを曲げることに対しては肯定的とはいいがたい姿勢が見受けられる。また、政治家は国民である自分たちのことを考慮せず、多くの政治家が富裕層で特権を持つ人々の利益を優先すると考えていることがうかがえる。

 次に、昨年7月の参議院議員選挙の「比例代表」で「棄権」と回答した人と「投票した人」を年齢階層別に分け、政治的有効性感覚を見たところ、「自分には政府のすることに対して、それを左右する力はない」に「そう思う」または「どちらかと言えばそう思う」と回答した人たちは、すべての年齢階層において投票した人よりも棄権した人のほうが多く、政治的無力感(政治的疎外意識)がやや高い結果となった(図1-4-2)。年齢階層別でみると、「そう思う」または「どちらかと言えばそう思う」と回答した人の割合は、棄権したシニア層で最も多く80%となった。中でも、「そう思う」と回答した割合が最も多かったのは、棄権した4059歳が57%、次いで棄権した1839歳で44%だった。

2.経済分野

2.1. 世帯の家計状況の変化

Q15. あなたの世帯の家計状況は1年前、および2019年(新型コロナウイルスの感染拡大前)と比べて良くなっていますか、同じですか、それとも、悪くなっていますか。

(1)1年前
(2)2019年(新型コロナウイルスの感染拡大前)

 2019年、および1年前と比べた世帯の家計状況をみると、「同じ」と回答した人の割合はおよそ50%で最も割合が高かった。また、「悪くなっている」と回答した人はおよそ40%であった(図2-1-1)。なお、新型コロナ感染拡大前と現在との比較と、1年前と現在との比較では、結果にほとんど差が見られない。家計状況が変らない人と、悪化している人で2分されている可能性がある。

 新型コロナ感染拡大前との比較で、男女別にみると、男性の方が「良くなっている」の回答割合が若干高く、年齢階層別にみると、若年層の方が「良くなっている」の回答割合が高かった(2-1-2)。世帯所得別にみると、低所得世帯ほど「良くなっている」の回答割合が低く、「悪くなっている」の回答割合が高かった(2-1-3)

2.2. 世帯の家計状況、日本の経済状況の見通し

Q16. あなたの世帯の将来の家計状況の見通し、および日本の将来の経済状況の見通しは、明るいですか、それとも暗いですか。近い将来(12年後)と中長期的な将来(510年後)について、お答えください。

(1)あなたの世帯の家計状況(12年後)
(2)あなたの世帯の家計状況(510年後)
(3)日本の経済状況(12年後)
(4)日本の経済状況(510年後)

 世帯の家計状況の見通しについて、近い将来(12年後)、中長期的な将来(510年後)のいずれでも、「明るい」または「どちらかといえば明るい」と回答した人の割合よりも、「暗い」または「どちらかといえば暗い」と回答した人の割合が高い結果となった(図2-2-1)

 日本の経済状況の見通しについても、悲観視する人が多く、「暗い」または「どちらかといえば暗い」と回答した割合が、近い将来でも中長期的な将来でも80%以上となった(図2-2-2)

 日本の経済状況の中長期的な将来の見通しを性別、年齢階層別にみると、どの層でも悲観的な見方をする人の割合が多くを占めたが、特に「暗い」と回答した割合が、女性よりも男性、シニア層より若年層で高い結果となった(図2-2-3)。また、世帯所得別でみると、年収1,000万円以上の世帯は他の世帯よりも、「どちらかといえば明るい」と回答した人の割合がやや高いが、その他の世帯所得間では大きな違いは見られなかった。

2.3. 個人の将来の心配事

Q17. あなたご自身にとっての心配事は何ですか。近い将来(12年後)と中長期的な将来(510年後)についてお答えください。また、最大の心配事を1つだけお答えください。

(1)近い将来(1~2年後)の心配事(いくつでも)
(2)近い将来(1~2年後)の最大の心配事(ひとつだけ)
(3)中長期的な将来(5~10年後)の心配事(いくつでも)
(4)中長期的な将来(5~10年後)の最大の心配事(ひとつだけ)

 個人の将来の心配事をみると、近い将来(12年後)の心配事として回答割合が高かった項目は、「年金の減額」(45%)、「病気を患うこと」(43%)、「生活費を賄えないこと」(33%)、「仕事や収入を失うこと」(27%)があげられる(図2-3-1)。最大の心配事として最も回答が多かったのは、「病気を患うこと」で、21%の人があげていた。

 中長期的な将来(510年後)の心配事をみると(図2-3-2)、全体的に心配に思う人の割合が近い将来と比べて増えている。特に、「病気を患うこと」を心配している人が多くなるのが特徴的である。

 個人の中長期的な将来の最大の心配事を男女別にみると、男性が心配している項目として最も回答が多かったのは「病気を患うこと」、次いで、「生活費を賄えないこと」だった。女性が心配している項目として最も回答が多かったのは「病気を患うこと」、次いで、「年金の減額」だった。また、男女間の違いとして、男性は女性よりも、「仕事や収入を失うこと」や「生活費を賄えないこと」を心配し、女性は男性よりも「家族の介護」を心配する傾向がみられた(図2-3-3)

 年齢階層別にみると、1839歳が心配している項目として最も回答が多かったのは「生活費を賄えないこと」であり、「仕事や収入を失うこと」、「子どもに十分な教育・保育を受けさせられないこと」が続いた。4059歳が心配している項目として最も回答が多かったのは「仕事や収入を失うこと」であり、「生活費を賄えないこと」、「病気を患うこと」が続いた。60歳以上が心配している項目として最も回答が多かったのは「病気を患うこと」であり、「年金の減額」、「生活費を賄えないこと」が続いた。また、年齢階層間の違いとして、若年層ほど「いずれも心配ない」の回答割合が高い。1839歳は子どもに十分な教育・保育を受けさせられないことへの心配が相対的に多く、4059歳は仕事や収入を失うこと、家族の介護への心配が相対的に多い。60歳以上は、病気を患うこと、年金が減額されること、適切な介護を受けられないことへの心配が相対的に多い。

2.4. 社会の将来の心配事

Q18. 社会に対する心配事は何ですか。近い将来(12年後)と中長期的な将来(510年後)についてお答えください。また、最大の心配事を1つだけお答えください。

(1)近い将来(1~2年後)の心配事(いくつでも)
(2)近い将来(1~2年後)の最大の心配事(ひとつだけ)
(3)中長期的な将来(5~10年後)の心配事(いくつでも)
(4)中長期的な将来(5~10年後)の最大の心配事(ひとつだけ)

 社会の将来の心配事をみると、近い将来(12年後)の心配事として回答割合が高かった項目は、食料やエネルギー価格の高騰(72%)、経済成長の鈍化による生活苦(54%)、自然災害や疫病の発生(48%)、近隣諸国での武力衝突(47%)、財政悪化で行政サービスを受けられなくなること(46%)があげられる(図2-4-1)。最大の心配事として最も回答が多かったのは、食料やエネルギー価格の高騰で、35%の人があげていた。

 中長期的な将来(510年後)の心配事については、近い将来と概ね同様の傾向がみられるが、最大の心配事は経済成長の鈍化による生活苦であった(図2-4-2)。また、財政悪化で行政サービスを受けられなくなることをあげている人の割合が、短期と比べて7%ポイント高い。

 社会の将来の長期的な最大の心配事を男女別にみると、男性は女性よりも近隣諸国での武力衝突を心配し、女性は男性よりも食料やエネルギー価格の高騰、自然災害や疫病の発生を心配する傾向がみられた(図2-4-3)。年齢階層別にみると、若年層ほど経済成長の鈍化による生活苦を心配し、シニア層ほど財政悪化で行政サービスを受けられなくなること、自然災害や疫病の発生を心配する傾向がみられた。

  図2-4-1 社会の近い将来(1~2年後)の心配事(クリックすると拡大します。)

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図2-4-2 社会の中長期的な将来(5~10年後)の心配事(クリックすると拡大します。)

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2.5. デジタル化や技術革新の影響に関する認識

Q19. デジタル化や技術革新によって、次のようなことが起こりそうだと思いますか。

 デジタル化や技術革新の影響に関する認識をみると、起こりそう(「とても起こりそう」と「起こりそう」の合計、以下同)な事項として回答の割合が高かった項目は、科学技術がもたらす負の影響に関する内容が並んだ(図2-5-1)。具体的には、「セキュリティ被害の増加」、「うその情報の増加」、「所得格差の拡大」、「生活が常に監視されること」、「コミュニケーションや人間関係の希薄化」である。特に「セキュリティ被害」、「うその情報の増加」、「所得格差の拡大」は、およそ90%の人が起こりそうだと考えている。また、「自分や家族の仕事がなくなる」と回答した人の割合は、「自分もやってみたいと思える新たな仕事が生まれる」と回答した人の割合よりも高い。

 一方、科学技術がもたらす正の影響に関する内容として、起こりそうと回答した人の割合が比較的高かったのは、「生活の利便性の向上」であった。「自分もやってみたいと思える新たな仕事が生まれる」ことや、「収入アップ」については、起こりそうと回答する人の割合は、相対的に低い結果となった。

 科学技術がもたらす正の影響に関する事項を年齢階層別にみると、若年層ほど起こりそうと回答した割合が高くなった(図2-5-2)

  図2-5-1 デジタル化や技術革新の影響に関する認識(クリックすると拡大します。)

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2.6. 生活時間

Q20. 直近の「通常の1週間」(注4※1)でどれくらいの時間、以下のことをしましたか。

(1)労働(残業、副業含む)※就業者のみ
(2)「(1)労働(残業、副業含む)」のうち、テレワークによる労働(注4※2)※就業者のみ
(3)家事・育児・介護
(4)学習・自己啓発・訓練(注4※3)
(5)新聞、テレビ、ネットニュースなど情報メディアとの接触

 直近の「通常の1週間」の生活時間をみると、図2-6-1の結果となった。「(1)労働(残業、副業含む)」と「(2)『(1)労働(残業、副業含む)』のうち、テレワークによる労働」は、就業者のみに聞いた設問である。

 就業者のうち、テレワークを少しでも利用した人の割合は22%であった。

 学習・自己啓発・訓練の時間はゼロの人の割合が最も高く45%、次いで、週14時間(1日に1530分)の人の割合が35%となり、多くの人が自己研鑽に時間を投資できていないことがわかる。情報メディアとの接触時間は、週529時間(1日に13時間前後)の人の割合が最も高く47%、次いで、週14時間(1日に1530分)の人の割合が35%であった。

 学習・自己啓発・訓練の時間をテレワーク利用別にみると、テレワーク利用者ほど自己研鑽の時間を確保できていることがわかる(図2-6-2)

2.7. 地域、ボランティア、副業、SDGs、グリーン・ジョブに関する活動状況

Q21. この1年間で以下の活動を何日ぐらいしましたか。行った活動の目的が、複数の活動に当てはまる場合は当てはまる活動それぞれについて、この1年間にしたものとしてお答えください。

(1)地域コミュニティとのかかわり(例:自治会の行事、学校行事、地域サークルなど)
(2)ボランティア活動
(3)副業
(5)持続可能な開発目標(Sustainable Development GoalsSDGs)に貢献する仕事(注5※1)
(6)グリーン・ジョブ(環境の質の保全や回復に貢献する仕事)(注5※2)

 地域、ボランティア、副業、SDGs、グリーン・ジョブに関する活動状況をみると、図2-7の結果となった。この1年間で行ったことがある人の割合が最も高い活動は、地域コミュニティとのかかわりで38%となった。ボランティア活動の同割合は16%、副業は18%であった。SDGsに貢献する仕事をしている人は16%、グリーン・ジョブに関する仕事をしている人は11%であった。

2.8. 環境に配慮した活動

Q22. 過去1か月で、以下のことをしましたか。

(1)値段が高くても、環境に配慮した商品を購入した
(2)電気自動車の利用や自宅での再エネ発電などを行った
(3)値段が高くても、フェアトレードに配慮した商品を購入した(注6※1)
(4)地球環境保護のための募金や寄付をした(ふるさと納税を除く)
(5)「地球環境保護」以外の目的で募金や寄付をした(ふるさと納税を除く)

 環境に配慮した活動についてみると、いずれの項目についても7090%が行っていないことがわかった(図2-8-1)。比較的、実施割合が高かったのは、環境に配慮した商品の購入であり22%、続いて、「地球環境保護」以外の目的での募金や寄付となった。

 年齢階層別にみると、若年層に比べてシニア層ほど、環境に配慮した活動の実施割合が高い傾向がみられる(図2-8-2)。ただし、「電気自動車の利用や自宅での再エネ発電などを行った」に関しては、1839歳の実施割合が他の年齢階層よりもやや高い結果となった。

3.社会分野

3.1. 社会に対する考え方

Q24. あなたは以下の意見について、どのように考えますか。

(1)努力をして働けば、豊かな暮らしができる
(2)貧しい状況にいる人は、日ごろの努力が足りていない
(3)チャンスが平等に与えられるなら、共創で貧富の差がついても仕方がない
(4)競争の自由を守るよりも、格差をなくしていくことの方が大切だ
(5)社会の秩序を維持するために自由を制限するよりも、個人の自由が守られることの方が重要だ
(6)大多数の市民は善良であり、市民の良心を生かすのが民主主義の根幹である
(7)一般論として、たいていの人は信頼できる
(8)戦争や内乱、自然災害など緊急事態の際には、通常は認められない非常措置を行う権限を、憲法で政府に認めるべきである
(9)今生きている人々の負担となっても、将来世代のことを考えて行動すべきである
(10)地球環境のことを考えれば、日本の人口は今よりも少ない方がよい

 社会に対する考え方について、賛成(「そう思う」と「どちらかといえばそう思う」の合計)が最も多かった意見は、「大多数の市民は善良であり、市民の良心を活かすのが民主主義の根幹である」(55%)、次いで、「今生きている人々の負担となっても、将来世代のことを考えて行動すべきである」(50%)、「戦争や内乱、自然災害など緊急事態の際には、通常では認められない非常措置を行う権限を、憲法で政府に認めるべきである」(49%)となった(図3-1-1)

 「努力をして働けば、豊かな暮らしができる」という意見については、賛否がそれぞれ30%程度に分かれた。一方、「貧しい状況にいる人は、日ごろの努力が足りていない」という意見については、反対(「そう思わない」と「どちらかといえばそう思わない」の合計)が40%程度となった。努力しても、貧しい状況から脱することが難しいという認識が一定程度浸透していることがうかがえる。

Q25. 以下の争点について、あなたのお考えはABのどちらに近いでしょうか。

(1)
A
:国の借金である国債は市場で安定的に取引されており、財政赤字を心配する必要はない
B:財政赤字は危機的水準であるので、国の借金である国債の発行は抑制すべきだ

(2)
A:個人所得税を引き上げるときには、高所得者の税率を引き上げるべきだ
B:個人所得税を引き上げるときには、所得の多い少ないにかかわらず、一律に税率を引き上げるべきだ

(3)
A:政策を決定する際は、政策当局者や専門家の間で十分な議論を重ねて決めるべきだ
B:政策を決定する際は、さまざまな人々の間で十分な議論を重ねて決めるべきだ

(4)
A
:働いている人は、チャンスがあれば、転職する方がよい
B:働いている人は、同じ企業に長く勤める方がよい

(5)
A
:国はすべての人に最低限の老後の生活保障を行うが、基本は各人の自助努力で備えるべきだ
B:国はすべての人が安心して暮らせる程度の老後の生活保障を行うべきだ

 財政赤字について、国債発行は抑制するべきと考える人(どちらかといえばそのように考えている人も含む。以下同)の割合(48%)は、財政赤字を心配する必要はないと考える人の割合(18%)を上回った(図3-1-2)。また、「個人所得税を引き上げるときには、高所得者の税率を引き上げるべき」と考えている人の割合は62%と過半数を超えた。前問の「今生きている人々の負担となっても、将来世代のことを考えて行動すべきである」と考えている人が過半数となった結果と合わせて考えると(図3-1-1)、将来世代のための負担は富裕層に任せたいとの考えが見受けられる。

 労働者は転職をした方がよいかどうか、という設問では、「チャンスがあれば転職する方がよい」と回答した人の割合(39%)は、同じ企業に長く務める方がよい」と回答した人の割合(17%)を大きく上回った。終身雇用を選好する人が少なくなっていることがわかる。これを年齢階層別にみると、若い人ほど転職する方がよいと考えており、60歳以上では転職する方がよいと考える人が36%なのに対し、1830代では45%に上る(図3-1-3)

Q26. 現在の日本の社会は、以下のABのどちらに近いと思いますか。

Q27. あなたが理想とする日本の社会は、以下のABのどちらに近いと思いますか。

(1)
A
:働いた成果とあまり関係なく、貧富の差が少ない平等な社会
B:自由に競争し、成果に応じて分配される社会

(2)
A
:税負担は大きいが、福祉などの行政サービスが充実した社会
B:福祉などの行政サービスを必要最小限に絞り、税負担の少ない社会

(3)
A
:行政機関による多面的な規制を通じて、国民生活の安全や経済の安定を守る社会
B:規制を可能な限り排除し、民間の自由な活動と自己責任にゆだねる社会

(4)
A
:経済成長を重んじ、公共投資や公共事業を盛んに行う社会
B:財政規律を重んじ、国や地方自治体の借金を大きくしない社会

(5)
A
:国民一人一人が「個人の利益」を重視する社会
B:国民一人一人が「国民全体の利益」を重視する社会

 現在の日本社会に対する認識として、回答の割合が高かったのは、「自由に競争し、成果に応じて分配される社会」(41%)、「行政機関による多面的な規制を通じて、国民生活の安全や経済の安定を守る社会」(41%)、「税負担は大きいが、福祉などの行政サービスが充実した社会」(38%)だった(図3-1-4)。また、「個人の利益を重視する社会」(29%)が、「国民全体の利益を重視する社会」(25%)をやや上回った。「経済成長を重んじる社会」(28%)か「財政規律を重んじる社会」(30%)かについては認識が割れている。

 理想の日本社会について支持されている意見をみると、いずれの設問でも、現在の日本社会とほぼ同程度の回答割合となっており、一見すると、現実と理想のギャップが小さいように見える(図3-1-4)。そこで、現在の日本社会と、理想の日本社会とで回答が異なる人(例えば、現在の日本社会では「(どちらかといえば)Aに近い」と回答し、理想の日本社会では「どちらともいえない(中立)」や「(どちらかといえば)Bに近い」と回答した人)の割合を確認すると、どの設問でも30%程度いることがわかった(表3-1-5)。現在よりも理想がB側に寄る(現在では「Aに近い」と回答したが、理想では「中立」や「Bに近い」と回答した場合、もしくは現在では「中立」と回答したが、理想では「Bに近い」と回答した場合)割合と、現在よりも理想がA側に寄る(現在では「Bに近い」と回答したが、理想では「中立」や「Aに近い」と回答した場合、もしくは現在では「中立」と回答したが、理想では「Bに近い」と回答した場合)割合はどの設問においてもだいたい同水準だった。現実と理想が異なる人の割合が最も大きかったのは、(5)の設問(「個人の利益」重視か「国民全体の利益」重視か)であり、現在の日本社会を「個人の利益」重視、もしくは「どちらともいえない」と回答しているが、理想は「国民全体の利益」を重視する方へ寄った人で、19%に上った。

3.2. 公的サービスに対する考え方

Q28. 以下の公的サービスの給付について、あなたは、所得に関係なく全員を対象にすべきか、一定の所得条件を満たす人を対象にすべきか、どちらの考えに近いでしょうか。

(1)中学卒業までの児童1人につき、月額15,000円を支給する
(2)幼稚園、保育所、認定こども園などの利用料を無料にする
(3)高校の授業料を無料にする
(4)大学や専門学校などの授業料を無料にする
(5)中学卒業までの児童に対し、医療費の自己負担金を無料にする
(6)職業訓練、学び直しなどスキルアップのための支援金を給付する
(7)75歳以上の高齢者は、医療費の自己負担割合を1割から2割へ引き上げる
(8)75歳以上の高齢者は、医療費の自己負担割合を2割から3割へ引き上げる
(9)経済が甚大な打撃を受けた場合に、国民に一律の給付金(例えば、110万円)を支給する
(10)感染症に対するワクチン接種を無償提供する

 公的サービスの給付のあり方についてみると、「中学卒業までの児童1人につき、月額15,000円を支給する」(児童手当)では、全員を対象にすべきと回答した人と所得条件を満たす人を対象にすべきと回答した人はどちらも40%程度であった(図3-2-1)。これを世帯年収別、年齢階層別にみると、世帯年収が高いほど、また、若年層ほど全員を対象にすべきと考えている(図3-2-2)。

 教育費に関しては、幼児教育や保育から、高校、大学・専門学校と年齢が上がるにつれて所得条件を満たす人を対象にすべきとの傾向が見られる。全員を対象にすべきと考えている割合は、幼児教育では54%、高校では50%、大学・専門学校では32%と減っていく。中でも大学・専門学校に関しては、所得条件を満たす人を対象にすべきと回答した人の割合が47%と、全員を対象にすべきと回答した人の割合よりも多い。

 医療費の自己負担金についてみると、中学校までの児童と75歳以上の高齢者とでは人々の考えが大きく異なった。前者は全員を対象にするべきと考える人が多いのに対し、後者は所得条件を満たす人を対象にすべきと考える人が多い。

Q29. 以下の公的サービスについて、全国一律であるべきか、それとも地域の実情を反映して違いがあるべきか、あなたはどちらが望ましいと考えますか。

(1)医療サービス(保険料・サービスの質・費用など)
(2)介護・障碍者支援(保険料・サービスの質・障碍者手当など)
(3)子育て支援(育児休暇手当、保育サービス、児童手当など)
(4)学校教育(小中学校教育、高校教育など)
(5)雇用支援(求職支援、技能訓練支援、起業支援など)
(6)生活支援(失業給付、生活保護、公営賃貸住宅の提供など)
(7)公共安全(警察、消防など)
(8)緊急時・災害時の支援(災害救助、災害補償など)

 公的サービスの水準についてはどの項目も「全国一律のサービス」を望む人が65%以上となった(図3-2-3)。「生活支援」や「雇用支援」は、他のサービスと比較すると地域の実情を反映して違いがあるべきと回答した人が多いが、それでも20%程度である。

Q30. 以下の公的サービスについて、あなたはどのくらい満足していますか。

(1)医療サービス(保険料・サービスの質・費用など)
(2)介護・障碍者支援(保険料・サービスの質・障碍者手当など)
(3)年金制度
(4)子育て支援(育児休暇手当、保育サービス、児童手当など)
(5)学校教育(小中学校教育、高校教育など)
(6)雇用支援(求職支援、技能訓練支援、起業支援など)
(7)生活支援(失業給付、生活保護、公営賃貸住宅の提供など)
(8)公共安全(警察、消防など)
(9)緊急時・災害時の支援(災害救助、災害補償など)
(10)防衛(防御、警戒監視など)

 人々が最も満足している公的サービスは、「公共安全」で41%、次いで、「医療サービス」で35%の人が満足している(「とても満足している」と「やや満足している」の合計、以下同)と回答した(図3-2-4)。公共安全、医療、緊急時・災害時の支援などは満足している割合が比較的高いが、それでも半数以上は満足していない。

 一方、最も満足していないのは「年金制度」で、64%の人が満足していない(「全く満足していない」と「あまり満足していない」の合計、以下同)と回答した。

Q31. 以下の公的サービスについて、あなたは十分な情報が提供されていると思いますか。

(1)医療サービス(保険料・サービスの質・費用など)
(2)介護・障碍者支援(保険料・サービスの質・障碍者手当など)
(3)年金制度
(4)子育て支援(育児休暇手当、保育サービス、児童手当など)
(5)学校教育(小中学校教育、高校教育など)
(6)雇用支援(求職支援、技能訓練支援、起業支援など)
(7)生活支援(失業給付、生活保護、公営賃貸住宅の提供など)
(8)公共安全(警察、消防など)
(9)緊急時・災害時の支援(災害救助、災害補償など)
(10)防衛(防御、警戒監視など)

 公的サービスの情報提供の満足度について、公共安全や緊急時・災害時の支援、医療支援については、相対的に満足している割合は高いが、それでも30%にも満たない(図3-2-5)。他の項目に関しては、満足している割合が10%から20%の間に留まっており、「とても満足している」人は2%と少ない。

 また、情報提供の不足が公的サービス自体の満足度(図3-2-4)の低下へとつながっている可能性がある。公共安全は前問の満足度も相対的に高く、情報提供に満足していない人が多い年金制度は前問の評価も低い。

Q32. 以下の公的給付や公共サービスについて、その水準や質を上げるために追加の税金や社会保険料を自ら支払ってもよいと思うものをお選びください。

(1)医療サービス(保険料・サービスの質・費用など)
(2)介護・障碍者支援(保険料・サービスの質・障碍者手当など)
(3)年金制度
(4)子育て支援(育児休暇手当、保育サービス、児童手当など)
(5)学校教育(小中学校教育、高校教育など)
(6)雇用支援(求職支援、技能訓練支援、起業支援など)
(7)生活支援(失業給付、生活保護、公営賃貸住宅の提供など)
(8)公共安全(警察、消防など)
(9)緊急時・災害時の支援(災害救助、災害補償など)
(10)防衛(防御、警戒監視など)
(11)該当するものはない

 公的サービスの水準向上のために追加の負担を支払ってもよいものを複数回答可能の形式で聞いたところ、36%の人が該当するものはないと回答し、残りの64%の人が1つ以上の公的サービスを選択した(図3-2-6)。

 支払ってもよいと考える項目として回答が多かったのは、「医療サービス」(34%)、「緊急時・災害時の支援」(26%)、「子育て支援」(23%)、「年金制度」(23%)だった。一方、回答が少なかったのは、「防衛」(18%)、「生活支援」(12%)であり、最も低いのは「雇用支援」(9%)だった。

 また、最も優先度の高い項目についても、複数回答可能な形式の回答傾向と大きな違いはみられないが、最も優先度の高い項目として、「医療サービス」(16%)の次に、「子育て支援」(11%)、「年金制度」(9%)が続き、「緊急時・災害時の支援」(8%)が複数回答可能な形式と比べて、順位が下がるのが特徴的である。

Q33. 国や自治体の支出について、現在のサービス水準を維持したまま、無駄をなくすことでどれくらい支出を減らせると思いますか。以下のそれぞれについてお答えください。

(1)社会保障費
(2)公共事業費
(3)防衛費
(4)教育費
(5)地方への交付金
(6)行政の人件費

 国や自治体の支出について、現在のサービス水準を維持したまま、無駄をなくすことでどれくらい支出を減らせるかの考えを聞いたところ、最も減らせると考えられているのは「行政の人件費」で、7割程度以上減らせると考える人が18%いる(図3-2-7)。また、どの項目でも12割程度無駄があると思っている割合が最も多く、30%以上の人が選択している。

 一方、無駄はないと思っている人が多いのは「教育費」で28%に上る。その次に無駄はないと思っている人が多いのは「防衛費」で22%だった。防衛費は7割程度以上無駄があると思っている割合が2番目に多いにもかかわらず、無駄はないと思っている人も多く、人々の認識が割れている。

3.3. 人々の社会意識

 日本の所得格差をどの程度まで受け入れるかについてお伺いします。現在の日本が100世帯の村であるとして、以下の質問にお答えください。

Q34. 下の図は、税・保険料を引かれる前の、村の世帯所得分布を表しています。あなたは、(1)所得の低い順に並べて10番目の世帯と(2)所得の高い順に並べて10番目の世帯が、それぞれいくら程度の所得ならば、受け入れられますか。2人以上の世帯の所得で考えてください。

Q35. 下の図は、税・保険料を引かれた後の、村の世帯所得分布を表しています。あなたは、(1)所得の低い順に並べて10番目の世帯と(2)所得の高い順に並べて10番目の世帯が、それぞれいくら程度の所得ならば、受け入れられますか。2人以上の世帯の所得で考えてください。

 まず、税引き前の粗所得について、現在の中央値が550万円(2人以上世帯)であり、所得を下から数えて10%の区切りが250万円、上から数えて10%の区切りが1,200万円であることを示した上で、下位10%と上位10%にあたる世帯が、それぞれいくら程度ならば受け入れられるかを回答してもらった。

 下位10%の世帯については、30%程度の人が現在の水準(250万円)を含む所得の範囲を選び、40%の人が現在の水準よりも高い所得の範囲を答えた(図3-3-1)。一方、上位10%の世帯については、70%近くの人が現在の水準(1,200万円)より低い金額を答えた(図3-3-2)。税引き前の粗所得は、下位層の所得増加および上位層の所得減少による格差縮小を望む人が多いといえる。

 次に税引き後の手取り所得について、現在の中央値が450万円(2人以上世帯)であり、所得を低い方から数えて10%の区切りが200万円、高い方から数えて10%の区切りが900万円であることを示した上で、下位10%と上位10%にあたる世帯が、それぞれいくら程度ならば受け入れられるかを回答してもらった。

 結果は、下位10%、上位10%の世帯ともに、現在の水準(下位:200万円、上位:900万円)以上の金額を答える人が半数以上にのぼった(図3-3-3、図3-3-4)。上位10%層の所得減少を望む人が70%弱いた税引き前の結果とは異なり、税引き後では上位10%層の手取り所得を現状よりも下げるべきと考える人は50%弱と、高所得層の減少による格差縮小を望む人が相対的に少なくなった。課税によって引かれる額が回答者の想定よりも多いといったことが理由として考えられる。

Q36. あなたは以下についてどのくらいあてはまりますか。

(1)人生で難しい問題に直面しても、自分なりに積極的に解決していく
(2)社会をよりよくするため、私は社会における問題に関与したい
(3)将来の国や地域の担い手として積極的に政策決定に参加したい
(4)政策や制度については専門家の間で議論して決定するのが良いと思う
(5)子どもや若者が対象となる政策や制度については子どもや若者の意見を聴くようにすべきだと思う

 「人生で難しい問題に直面しても、自分なりに積極的に解決していく」、「子供や若者が対象となる政策や制度については子どもや若者の意見を聴くようにすべきだと思う」について、あてはまると回答(「よくあてはまる」と「ややあてはまる」の合計、以下同)した人は、半分を占める(図3-3-5)。一方で、「社会における問題に関与したい」や「政策決定に参加したい」とする人は20%強と少ない。「政策や制度については専門家の間で議論して決定するのが良いと思う」について、あてはまると回答しなかった人は70%弱と、社会問題や政策決定に参加はしたくないけれど、専門家には任せてよいかわからない、あるいは専門家に任せるべきではないと思っている人が多い。

 またNIRA総研では、自らの生き方を主体的に選択肢、かつ、積極的に社会を支えるという自負と責任感を持った人々を「中核層」と定義している。本調査では、Q36の(1)、(2)について、両方とも「よくあてはまる」または「ややあてはまる」と答えた人を中核層とした(注7)。今回の調査では、中核層が21%を占めた(図3-3-6)。

Q37. あなたは以下についてどのくらいあてはまりますか。

(1)活発で外向的だと思う
(2)他人に不満を持ち、もめごとを起こしやすいと思う
(3)しっかりしていて、自分に厳しいと思う
(4)心配性で、うろたえやすいと思う
(5)新しいことが好きで、変わった考えを持つと思う
(6)ひかえめで、おとなしいと思う
(7)人に気をつかう、やさしい人間だと思う
(8)だらしなく、うっかりしていると思う
(9)冷静で、気分が安定していると思う
(10)発想力に欠けた、平凡な人間だと思う

 本調査では心理学で用いられている「Big Five」とよばれるパーソナリティの理論に基づいて測定結果の比較を行った。Big Fiveはパーソナリティを外向性、協調性、勤勉性、神経症傾向、開放性の5つの因子で構成したパーソナリティ理論である(Goldberg, 1990(注8)。外向性は質問の(1)と(6)、協調性は(2)と(7)、勤勉性は(3)と(8)、神経症傾向は(4)と(9)、開放性は(5)と(10)の回答から尺度を算出している。

 年齢階層別にみると、60歳以上の人々は神経症傾向が明確に低く情緒が安定している(図3-3-7)。一方で、1839歳の人々は勤勉性が他の年代と比較すると若干低い。

Q38. 仮に現在の日本の社会全体を、以下の5つの層に分けるとすれば、あなた自身は、どれに入ると思いますか。

(1)上
(2)中の上
(3)中の中
(4)中の下
(5)下

 人々の社会階層意識は、「中の中」と「中の下」で70%程度を占めた(図3-3-8)。「上」と回答した人は1%と極めて少ない。世帯年収別に社会階層意識の分布をみると、世帯年収が上がるにつれて上位の階層を選ぶ割合が大きくなる(図3-3-9)。また、どの世帯年収で見ても、「中の上」から「中の下」までのいずれかを選択する人が80%を超え、国民意識としての総中流はいまだに続いているといえる。

参考文献


Goldberg, L. R. (1990). An alternative "description of personality": the big-five factor structure. Journal of personality and social psychology, 59(6), 1216.
Gosling, S. D., Rentfrow, P. J., & Swann Jr, W. B. (2003). A very brief measure of the Big-Five personality domains. Journal of Research in personality, 37(6), 504-528.
小塩真司・阿部晋吾・カトローニ ピノ.(2012).日本語版Ten Item Personality Inventory TIPI-J)作成の試み.パーソナリティ研究21, 40-52.

Ⅱ 調査概要

1.調査の趣旨・目的

 本調査は政治・経済・社会に関連する人々の意識を定点観測することを目的にしている。NIRA総研がオリジナルで設計した質問に加え、国勢調査や各種大規模社会調査と同様の質問も取り入れ、比較可能性の高い調査設計を目指している。

2.調査名

1回政治・経済・社会に関する意識調査(NIRA基本調査)

3.主な調査項目

・基本的属性
・2022年参院選比例区投票政党・投票予定政党
・長期的党派性
・親しみを感じる国/親しみを感じない国
・日本の組織等に対する信頼
・政治的有効性感覚・政治関心・ポピュリズム態度
・個人情報提出への抵抗感
・組織や機関への信頼
・国か地方自治体への決定権移譲
・世帯の家計状況の変化
・世帯の家計状況、日本の経済状況の見通し
・個人の将来の心配事、社会の将来の心配事
・デジタル化や技術革新の影響に関する認識
・生活時間
・地域、ボランティア、副業、SDGs、グリーン・ジョブに関する活動状況
・環境に配慮した活動
・社会、政策に対する考え方
・現在の社会と理想の社会
・公的サービスに対する考え方、満足度
・公的サービスに対する追加的な支払い意思
・公費支出の無駄に対する認識
・人々の社会認識
・パーソナリティ
・社会階層意識
・その他個人属性等

4.調査期間

2023年316日(木)~2023320日(月)

5.調査方法

1)実施方法:インターネット調査(注9)
2)調査機関:楽天インサイト株式会社
3)調査対象者:調査会社に登録しているインターネット調査登録モニター

6.回収数

総数:2,000
うち有効回答数(トラップ設問をクリアした人)は1,805(注10)

7.本報告書の集計方法

 集計結果の代表性を保つために、本報告書では総務省「国勢調査(2020年)」を母集団とみなして、サンプリングバイアスを補正するために母集団ウェイトを作成した。具体的には、「国勢調査(2020年)」の18歳以上の日本人に限定した性別(男性、女性)、年齢階層(1839歳、4059歳、60歳以上の3階層)、居住地域(東日本、京浜、中日本、阪神、西日本の5地域)、労働力状態(有職か無職か)、および20227月参議院選での比例区投票政党(棄権を含めた4カテゴリー)の分布をもとに、レイキング法によりウェイトを作成した。本報告書の集計結果は、上述した母集団ウェイトを用いて集計したものである。

8.回答者の属性

9.研究体制

谷口将紀  NIRA総研理事長/東京大学大学院法学政治学研究科教授
神田玲子  NIRA総研理事・研究調査部長
川本茉莉  NIRA総研主任研究員
井上敦   NIRA総研研究コーディネーター・研究員
宇田川淑恵 NIRA総研研究コーディネーター・研究員
大森翔子  NIRA総研研究コーディネーター・研究員(当時)
関島梢恵  NIRA総研研究コーディネーター・研究員
鈴木壮介  NIRA総研研究コーディネーター・研究員

引用を行う際には、以下を参考に出典の明記をお願いいたします。
(出典)NIRA総合研究開発機構(2023)「第1回政治・経済・社会に関する意識調査(NIRA基本調査)(速報)」

脚注
1 トラップ設問とは、質問文を注意深く読まず回答する回答者を検出するための設問である。本調査では、「この項目には、「4.どちらかと言えばそう思わない」を選択してください」というトラップ設問を用意し、当該設問で「4.どちらかと言えばそう思わない」を選択した人の回答を有効回答とした。 1 トラップ設問とは、質問文を注意深く読まず回答する回答者を検出するための設問である。本調査では、「この項目には、「4.どちらかと言えばそう思わない」を選択してください」というトラップ設問を用意し、当該設問で「4.どちらかと言えばそう思わない」を選択した人の回答を有効回答とした。
2 ウェイトの作成方法については、「Ⅱ.調査概要」を参照のこと。本文の図表中の構成比(%)は小数第1位を四捨五入しているため、内訳の合計が100%にならない場合がある。また、本文中の数値の記載と一致しない場合がある。 2 ウェイトの作成方法については、「Ⅱ.調査概要」を参照のこと。本文の図表中の構成比(%)は小数第1位を四捨五入しているため、内訳の合計が100%にならない場合がある。また、本文中の数値の記載と一致しない場合がある。
3 本調査では、政治的有効性感覚に関連する質問項目を14、政治への関心を尋ねる項目を5、ポピュリズム態度に関する項目を69に設定した。 3 本調査では、政治的有効性感覚に関連する質問項目を14、政治への関心を尋ねる項目を5、ポピュリズム態度に関する項目を69に設定した。
4 ※1「通常の1週間」とは、休暇や休日、祝日、病気などによって生活時間が大きく変わらなかった1週間のことを指す。※2ここでの「テレワーク」とはインターネットやメールなどのICT(情報通信技術)を利用した、場所などにとらわれない柔軟な働き方としている。在宅勤務、モバイル勤務、施設利用型勤務などが該当する。ただし、移動交通機関内や外回り、顧客先などでのICT利用は含まない。※3仕事・学業として行うものを除き、知識・教養を高めることや、仕事に役立てる(技術・資格取得を含む)ことなどを目的とした時間を回答いただいた。学生が授業・予習・復習として行うものや社会人の職場研修は除く。クラブ活動や部活動は含める。 4 ※1「通常の1週間」とは、休暇や休日、祝日、病気などによって生活時間が大きく変わらなかった1週間のことを指す。※2ここでの「テレワーク」とはインターネットやメールなどのICT(情報通信技術)を利用した、場所などにとらわれない柔軟な働き方としている。在宅勤務、モバイル勤務、施設利用型勤務などが該当する。ただし、移動交通機関内や外回り、顧客先などでのICT利用は含まない。※3仕事・学業として行うものを除き、知識・教養を高めることや、仕事に役立てる(技術・資格取得を含む)ことなどを目的とした時間を回答いただいた。学生が授業・予習・復習として行うものや社会人の職場研修は除く。クラブ活動や部活動は含める。
5 ※1SDGsは、国連加盟193か国が「『誰一人取り残さない』社会の実現を目指し、経済・社会・環境をめぐる広範な課題に総合的に取り組むもの」として、2016年~2030年の15年間で達成するために掲げた17目標である。※2ここでの「グリーン・ジョブ」とは、「環境に有益な、あるいは天然資源を保全するような商品・サービスを提供する仕事」および「生産プロセスを環境にやさしくしたり、天然資源の使用量を少なくすることに関係する仕事」を指す。例えば、「環境関連の法令順守(コンプライアンス)、教育・訓練、社会の認識の向上」、「リサイクル・再利用、温室効果ガスの削減、公害の削減・除去」、「天然資源の保護」、「エネルギー効率の向上」、「再生可能資源からのエネルギー生成」に関わる仕事が含まれる。 5 ※1SDGsは、国連加盟193か国が「『誰一人取り残さない』社会の実現を目指し、経済・社会・環境をめぐる広範な課題に総合的に取り組むもの」として、2016年~2030年の15年間で達成するために掲げた17目標である。※2ここでの「グリーン・ジョブ」とは、「環境に有益な、あるいは天然資源を保全するような商品・サービスを提供する仕事」および「生産プロセスを環境にやさしくしたり、天然資源の使用量を少なくすることに関係する仕事」を指す。例えば、「環境関連の法令順守(コンプライアンス)、教育・訓練、社会の認識の向上」、「リサイクル・再利用、温室効果ガスの削減、公害の削減・除去」、「天然資源の保護」、「エネルギー効率の向上」、「再生可能資源からのエネルギー生成」に関わる仕事が含まれる。
6 ※1フェアトレード(Fairtrade、公正な貿易)とは、経済的、社会的に立場の弱い生産者に対して、中間業者を通さずに直接買い取ることで適正価格を保証したり、通常の国際市場価格よりも高めに設定した価格で継続的に農作物や手工芸品などを取引することで、発展途上国の自立を促す事が目的とされている。 6 ※1フェアトレード(Fairtrade、公正な貿易)とは、経済的、社会的に立場の弱い生産者に対して、中間業者を通さずに直接買い取ることで適正価格を保証したり、通常の国際市場価格よりも高めに設定した価格で継続的に農作物や手工芸品などを取引することで、発展途上国の自立を促す事が目的とされている。
7 NIRA総研が20213月に実施した「第3回中核層調査」では、同じ質問に対し、「強く/まあ/少しそう思う、どちらでもない、少し/おおよそ/全く違うと思う」の7点尺度で聞いており、両方の質問に「強く/まあ/少しそう思う」と答えた人を中核層としている。 7 NIRA総研が20213月に実施した「第3回中核層調査」では、同じ質問に対し、「強く/まあ/少しそう思う、どちらでもない、少し/おおよそ/全く違うと思う」の7点尺度で聞いており、両方の質問に「強く/まあ/少しそう思う」と答えた人を中核層としている。
8 本調査では、Big Five10項目の設問で測定するTen Item Personality Inventory(TIPI)(Gosling et al., 2003)の日本語版であるTIPI-J(小塩ら, 2012)を用いた(各因子に対して2項目の設問からなる)。いずれの尺度も、各項目につき、7件法で回答を求めている。各因子のスコアは、Gosling et al.(2003)に基づき、必要な項目について反転処理をしたうえで、各因子に対応する項目の回答結果を加算して、加算した項目数で割ることで算出した。いずれの因子も、値が大きいほど、その傾向が強くなることを意味している。 8 本調査では、Big Five10項目の設問で測定するTen Item Personality Inventory(TIPI)(Gosling et al., 2003)の日本語版であるTIPI-J(小塩ら, 2012)を用いた(各因子に対して2項目の設問からなる)。いずれの尺度も、各項目につき、7件法で回答を求めている。各因子のスコアは、Gosling et al.(2003)に基づき、必要な項目について反転処理をしたうえで、各因子に対応する項目の回答結果を加算して、加算した項目数で割ることで算出した。いずれの因子も、値が大きいほど、その傾向が強くなることを意味している。
9 2020年の総務省「国勢調査」の結果に基づき、性別(2分類)、年齢(6分類)、地域(5分類)について、人口構成比に応じて割り付け(合計60セル)を実施した。 9 2020年の総務省「国勢調査」の結果に基づき、性別(2分類)、年齢(6分類)、地域(5分類)について、人口構成比に応じて割り付け(合計60セル)を実施した。
10 トラップ設問とは、質問文を注意深く読まず回答する回答者を検出するための設問である。本調査では、「この項目には、「4.どちらかと言えばそう思わない」を選択してください」というトラップ設問を用意し、当該設問で「4.どちらかと言えばそう思わない」を選択した人の回答を有効回答とした。 10 トラップ設問とは、質問文を注意深く読まず回答する回答者を検出するための設問である。本調査では、「この項目には、「4.どちらかと言えばそう思わない」を選択してください」というトラップ設問を用意し、当該設問で「4.どちらかと言えばそう思わない」を選択した人の回答を有効回答とした。

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