研究報告書 2011.12.01 東日本大震災復旧・復興インデックス(2011年12月更新) この記事は分で読めます シェア Tweet 総合研究開発機構 東日本大震災の被災者の皆様に心からお見舞いを申し上げます。 早期に復旧、復興できるようお祈りします。 概要 多くの犠牲者を出した東日本大震災から9ヶ月が経った。NIRAは、復旧・復興の状況の全体像を把握することを目的に、 「東日本大震災復旧・復興インデックス」を作成し、9月8日に公表した。 その後3ヶ月が経過した現下の復旧・復興の進捗をみるために、最新のデータにもとづいて、本インデックスを更新した。 「東日本大震災復旧・復興インデックス」は、大震災で津波被害を受けた地域(被災37市町村・県)を対象地域とし、 当該地域の被災後の復旧・復興状況の推移を関連する指標を合成して作成している。 全文を読む Executive Summary (English) INDEX エグゼクティブサマリー復旧・復興インデックスとは復旧・復興インデックスは、「生活基盤の復旧状況」を示す指数、生産や流通など「人々の活動状況」を示す指数(いずれも震災前を100とする)の2つから成り立っている。「人々の活動状況」指数は、地域の状況を表す10系列を分析したもの(バージョンI)と地方空港乗降客数・取扱貨物量も含めたもの(バージョンII)の2つのバージョンを作成した。*復旧・復興インデックスの作成方法の詳細は、本報告書の「資料7(50~51ページ)」を参照。 図表1 「生活基盤の復旧状況」指数の動き 被災3県の生活基盤(応急仮設住宅の入居率、電力・ガス・鉄道など公共インフラや瓦礫撤去率、義援金支払額、コンビニ店舗数など)に関する復旧状況は、8月から足踏み状態となっている(岩手県と宮城県で約8割、福島県で約7割)。とくに、福島県は原発事故の終息がみえず、復旧活動に制約があるため、他県に比べ指数が低い水準となっている。被災3県の復旧状況が伸び悩んでいる要因は、鉄道、瓦礫撤去率、医療施設数が十分に回復していないことにある。(クリックすると拡大します) 図表2 「人々の活動状況」指数(バージョンII) 被災3県ともに、9月時点で指数上は全国水準を上回っている。大型小売店販売額、診療報酬支払額、公共工事請負金額、有効求人倍率の上昇が影響した。しかし、これらの動きは一時的なものと考えられ、必ずしも本格的な復興を表すとはいえない。実際、民間部門の活動は回復途上にあり、鉱工業生産、大口電力使用量が伸び悩んでいる。とくに、宮城県では鉄鋼業、化学工業、水産加工業などの工場が本格的な操業再開に至っていない。 (注)10月は暫定値 図表3 市町村別にみた「生活基盤の復旧状況」 被災37市町村の復旧状況は、前回公表時に比べ、緩やかに進捗している市町村がある一方、なかには足踏み状態にある市町村もある。復旧度が高い10の自治体を左図に示した。①全体的に着実に回復している市町村(岩手県岩泉町・宮城県岩沼市・宮城県名取市・宮城県塩竈市)、②瓦礫の処理が復旧の課題となっているものの、着実に回復している市町村(宮城県七ヶ浜町・宮城県利府町・宮城県多賀城市)、③課題を抱えながらも、ガス・電力・道路などの復旧が全体としての復旧度を底上げしている市町村(宮城県仙台市・岩手県宮古市・岩手県久慈市)。 目次東日本大震災復旧・復興インデックス資料1 東日本大震災復旧・復興インデックス 採用系列の一覧表資料2 「生活基盤の復旧状況」指数―グラフおよび数値― 資料3 「人々の活動状況」指数―グラフおよび数値―資料4 市町村別にみた「生活基盤の復旧状況」資料5 「人々の活動状況」指数に含まれる個別指標―グラフおよび数値― 資料6 9月8日公表分との指数の比較資料7 東日本大震災復旧・復興インデックスの加工方法について資料8 「人々の活動状況」指数 個別指標別バックデータ 図表図表1 「生活基盤の復旧状況」指数の動き図表2 「人々の活動状況」指数(バージョンⅠ)図表3 「人々の活動状況」指数(バージョンII)図表4 復旧が比較的着実に進む市町村図表5 個別指標の動向 復旧・復興インデックス検討チームメンバー市村英彦 東京大学大学院経済学研究科・公共政策大学院教授柳川範之 東京大学大学院経済学研究科教授/NIRA理事澤田康幸 東京大学大学院経済学研究科准教授米岡大輔 東京大学大学院医学系研究科(国際保健)修士課程和川央 岩手県復興局産業再生課主査浜岡誠 岩手県復興局企画課企画専門員神田玲子 前NIRA研究調査部長斉藤徹史 NIRA研究調査部主任研究員森直子 NIRA研究調査部研究コーディネーター・主任研究員 引用を行う際には、以下を参考に出典の明記をお願いいたします。(出典)総合研究開発機構(2011)「東日本大震災復旧・復興インデックス(2011年12月更新)」 シェア Tweet 関連公表物 東日本大震災復旧・復興インデックス(2013年7月更新)-データが語る被災3県の現状と課題Ⅳ- NIRA復旧・復興インデックス検討チーム 東日本大震災復旧・復興インデックス(2013年3月更新)-データが語る被災3県の現状と課題Ⅲ- NIRA復旧・復興インデックス検討チーム 東日本大震災復旧・復興インデックス(2012年6月更新)-データが語る被災3県の現状と課題Ⅱ- NIRA復旧・復興インデックス検討チーム ⓒ公益財団法人NIRA総合研究開発機構※本誌に関するご感想・ご意見をお寄せください。E-mail:info@nira.or.jp 研究の成果一覧へ