English version 研究報告書 2011.09.01 東日本大震災復旧・復興インデックス この記事は分で読めます シェア Tweet 総合研究開発機構 東日本大震災の被災者の皆様に心からお見舞いを申し上げます。 早期に復旧、復興できるようお祈りします。 概要 東日本大震災が発生して半年が経過し、その間、復旧・復興に向けた取組が関係者の努力によって進められてきた。しかし、そのような復旧・復興に向けた進捗の推移等がデータによって把握され、復旧・復興に活かされているとは必ずしもいえない。 そこでNIRAでは、データによる復旧・復興状況を把握する試みとして、東日本大震災復旧・復興インデックスを作成した。これが1つの契機となって、今後、データに基づいた議論が行われ、また政府においても災害時におけるデータ収集、公表のあり方について検討が進展することを期待する。 全文を読む Outline (English) INDEX エグゼクティブサマリー復旧・復興インデックスの作成 東日本大震災復旧・復興インデックスは、大震災で津波被害を受けた地域(被災37市町村(注1)・県)を対象地域とし、当該地域の被災後の復旧・復興状況の推移を関連する指標を合成して作成している。復旧・復興インデックスは、「生活基盤の復旧状況」を示す指数、生産や流通など「人々の活動状況」を示す指数(いずれも震災前を100とする)の二つから成り立っている。「人々の活動状況」指数は、地域の状況を表す9系列を分析したもの(バージョンI)と地方空港乗降客数・取扱貨物量も含めたもの(バージョンII)の2つのバージョンを作成した。*復旧・復興インデックスの作成方法の詳細は、本報告書の「資料6(42~43ページ)」を参照。 図表1 「生活基盤の復旧状況」指数の動き いずれの県も、生活基盤(電力・ガス・鉄道など公共インフラや瓦礫撤去率、義援金支払額、コンビニ店舗数など)はゆるやかに復旧し、8月時点で7割を超える程度の復旧度である。岩手県では被災度は大きかったが、復旧のスピードは速い。福島県は、原発事故の影響もあり、復旧がやや足踏み状態にある。(クリックすると拡大します) 図表2 「人々の活動状況」指数(バージョンII) 東北3県はいずれも震災による甚大な影響を受け、3月に大型小売店販売額、鉱工業生産、大口電力使用量が大きく落ち込んだことから、指数が大きく落ち込んだ。特に、宮城県は仙台空港の被災により貨物や旅客輸送が壊滅的な打撃を受けたため、震災によるショックが他県に比べて大きい。4月には、これらの系列が前月比でプラスに転じたことから、いずれの県でも動きは反転し、その後、5~6月はほぼ横ばいで推移している。 図表3 市町村別にみた「生活基盤の復旧状況」 復旧度が高い10の自治体を左図に示した。それら自治体は次の3類型に整理される:①全体的に着実に回復している市町村(岩手県の岩泉町・普代村・洋野町)、②瓦礫の処理が復旧の課題となっているものの着実に回復している市町村(岩手県の宮古市・久慈市、宮城県利府町)、③いくつかの課題を抱えながらも、ガス・電力・道路などの早期復旧が全体としての復旧を底上げしている市町村(宮城県の仙台市・名取市・岩沼市・塩竃市)。 公開されている市町村のデータは限られているが、今回、「生活基盤の復旧状況」指数に準じる形で、試行的に市町村毎の復旧度を算出した。復旧・復興インデックスに使用したデータの一覧は、本報告書の「資料1(10~17ページ)」を参照。 目次東日本大震災復旧・復興インデックス資料1 東日本大震災復旧・復興インデックス 採用系列の一覧表資料2 「生活基盤の復旧状況」指数―グラフおよび数値― 資料3 「人々の活動状況」指数―グラフおよび数値―資料4 市町村別にみた「生活基盤の復旧状況」資料5 「人々の活動状況」指数に含まれる個別指標―グラフおよび数値― 資料6 東日本大震災復旧・復興インデックスの加工方法について資料7 「人々の活動状況」指数 個別指標別バックデータ 図表図表1 「生活基盤の復旧状況」指数の動き図表2 「人々の活動状況」指数(バージョンⅠ)図表3 「人々の活動状況」指数(バージョンII)図表4 復旧の早かった市町村図表5 個別指標の動向 復旧・復興インデックス検討チームメンバー市村英彦 東京大学大学院経済学研究科・公共政策大学院教授柳川範之 東京大学大学院経済学研究科教授/NIRA理事澤田康幸 東京大学大学院経済学研究科教授神田玲子 前NIRA研究調査部長森直子 NIRA研究調査部研究コーディネーター・主任研究員斉藤徹史 NIRA研究調査部主任研究員米岡大輔 東京大学大学院医学研究系(国際保健)修士課程 引用を行う際には、以下を参考に出典の明記をお願いいたします。(出典)総合研究開発機構(2011)「東日本大震災復旧・復興インデックス」 脚注 1 被災 37 市町村とは、津波による倒壊した家屋等のがれきが発生した浸水区域(環境省が特定)を示す(岩手県 12 市町村、宮城県 15 市町村、福島県 10 市町村)。 ※本誌に関するご感想・ご意見をお寄せください。E-mail:info@nira.or.jp シェア Tweet 関連公表物 東日本大震災復旧・復興インデックス(2013年7月更新)-データが語る被災3県の現状と課題Ⅳ- NIRA復旧・復興インデックス検討チーム 東日本大震災復旧・復興インデックス(2013年3月更新)-データが語る被災3県の現状と課題Ⅲ- NIRA復旧・復興インデックス検討チーム 東日本大震災復旧・復興インデックス(2012年6月更新)-データが語る被災3県の現状と課題Ⅱ- NIRA復旧・復興インデックス検討チーム ⓒ公益財団法人NIRA総合研究開発機構※本誌に関するご感想・ご意見をお寄せください。E-mail:info@nira.or.jp 研究の成果一覧へ