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RESEARCH研究テーマ

デモクラシー

現代の政治は、人口減少や所得格差、社会の分断などの課題解決と、グローバル化やIT化への対応が求められている。グローバルな視点で民主政治、政党、市民社会を取り巻く動向を分析し、今後の日本政治のあり方を研究する。

あれから75年―宇田川潤四郎の家庭裁判所への想い―

朝ドラ「虎に翼」で、強烈な個性が目を引く多岐川幸四郎は、家庭裁判所創設に並々ならぬ情熱を注いだ。そこまでの情熱をかけて、何を守ろうとしていたのか。多岐川のモデルとなったのは、私の祖父、宇田川潤四郎(1907~1970)である。祖父が最も大切にしていた「個人の尊厳」の視点から、家裁発足当時と今を振り返る。

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あれから50年、いまに続く意義と課題

NIRA総研は今年、前身を含めて50周年を迎えた。この間、われわれを取り巻く社会経済は変貌した。これを機会に、1974年設立当時の主な出来事を振り返り、それらが日本や世界に与えたインパクトはどのようなものであったか、そして、現在を生きるわれわれにどのように引き継がれ、また課題となって残されているのか、考察する。

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ポピュリスト態度に関する基礎的分析

ポピュリストを志向する人はどのような性質や考えを持っているのだろうか。本稿の分析から、政治的有効性感覚や政治家への信頼度は低いが、逆に政治への関心は高いことがわかった。ポピュリスト志向とは政治的疎外の単なる言い換えではない。エリートに対して不信を強め、政治への効力感を減じつつも、一般の人びとを代弁してくれる新たなリーダーの出現に望みを託している点では政治関心を失ってはいない人びとである。

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政治不信と「ズルさ」の感覚

日本の政治不信にはどのような特徴があるのか。NIRA基本調査をもとに、政治不信の内包する「ズルさ」の感覚と、政治的有効感覚や政策選好との関連を明らかにした。「ズルさ」を感じやすい人ほど、政府への信頼が低く、低負担低福祉の社会を求めていた。その一方で、一定の高負担高福祉を求める意見もあった。その背景として「ズルさ」に敏感で、かつ階層意識が低い人ほど、格差是正を求めており、政府への不信と同時に期待も抱いていることが明らかとなった。

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アジアの「民主主義」第6章インドネシア

目覚ましい経済成長を遂げ、グローバルサウスの中でもインドと並び注目を浴びるインドネシア。庶民派を強調することで高い人気を維持してきたジョコ・ウィドド大統領だが、近年は、インドネシア政治において権威主義的特徴が表れ始め、欧米からは民主主義の後退が指摘されている。しかし、国内の政財界のエリート地図は変わらず、彼らが政治的な競争を通じて既得権益を獲得してきたことを考えれば、今後も先制主義の道を歩むことはないだろう。

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受益と負担をめぐる世代間の分断と政府への信頼

本稿は、政府への信頼の高まりが税など公共サービスのための負担の受けいれにつながるという関係が、高齢世代よりも現役世代において強いことを明らかにした。特に介護や年金の分野では、現役世代にとっては将来自分が負担に見合う給付を受けられるかという、「受益の不確実性」があるといえる。そのため、今すぐ負担するという意思決定をするためには、政府への信頼が重要になる。本稿の知見は、比較的若い世代における政府への信頼を高めることの重要性を示唆する。

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アジアの「民主主義」第5章タイ

東南アジアで唯一の非植民地国であるタイは、少数派を含め、全て「国王の子どもたち」として扱われ、大きな抵抗もなく国民国家が形成された。多様性が確保されたタイは、東南アジアにおける民主主義の優等生と評されるが、それは国王を中心として上から指導される民主主義であった。若者から絶大な支持を得て台頭した前進党は、国王や軍主導の政治から脱却し、新たな民主化を進めようとしている。転換点にあるタイ政治の動向を探る。

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アジアの「民主主義」第4章フィリピン

1946年の独立以降、フィリピンではエリートの支配と利益に利用される「エリート民主主義」が定着し、長年不平等を持続させてきた。それゆえ、自由と解放を希求する人びとが、既存のシステムの打破を訴える強権的なリーダーに惹かれるネジレがある。彼らを擁護する指導者としてドゥテルテやマルコスJrが圧倒的な支持を得たが、実際には個人の自由や人権を侵害する「非自由民主主義」を生じさせている。新自由主義的な包摂と排除の選別が動くフィリピンの政治と社会を探る。

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アジアの「民主主義」第3章パキスタン

イスラーム世界で2番目の人口規模のパキスタンは、近年ヒンドゥー至上主義を標榜するインドとの対立が深化し続ける一方、2010年代以降は対中国依存度が増加し、対外政策に変化が現れている。国内政治では、反汚職を掲げ、国民から圧倒的支持を得たイムラーン・ハーンが、軍部との関係悪化と他政党との対立により首相の座を追われる。国民の声よりも既得権益を優先する政治家が多いパキスタンで、ポピュリスト政党失脚後の政治と社会の行方を検討する。

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アジアの「民主主義」第2章シンガポール

1965年の独立後、短期間で驚異的な経済発展を遂げ、先進国の仲間入りを果たしたシンガポールは、初代首相のリー・クアンユーが築いた権威主義的統治が長年続いてきた。しかし、近年、政治意識が向上した国民からの圧力により、シンガポール政治に変化の兆しが表れている。多様化した民意を前に、不可逆的に民主化の道を歩みつつあるシンガポールは、次世代指導者の選定に苦慮しながらも、更なる政治的な変化が進むことが予想される。

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