青木玲子
一橋大学経済研究所教授

概要

 いま、日本は大震災や電力問題等の困難に直面し、これからの日本の在り方が大きく問われている。幅広く長期的な視野から社会経済を俯瞰した上で、制度を設計し直すためには、全国民の意思集約にあたり、その影響を受ける次世代の利害等を考慮することが必要である。
 本稿では、次世代へのコミットメントを強めるために、選挙制度のあり方を見直すことを提案する。それは、ポール・ドメイン氏(The Population Council, Distinguished Scholar)が提唱する子どものいる有権者に子どもの分の票を与えるという方法である。これにより、子どもをもつ親世代の投票数が増し、次世代へのコミットメントが可能となる。

INDEX

目次

1. 今こそ必要な次世代への投資
2. 次世代への投資を妨げる「ただ乗り」
3. 現行の選挙制度では「ただ乗り」を是正できない
4. 次世代に「投票権」を
5. 選挙制度改革は歴史の必然
6. 次世代に発言権を与えることは現世代の便益ともなる
7. おわりに



図表

図表1 次世代投資の「ただ乗り」
図表2 OECD加盟国における家庭支援のための移転支出(1989−1999平均)
図表3 国政選挙における2大政党の重要課題
図表4 2つの年齢層が全有権者及び全人口に占める割合
図表5 ドメイン投票方式による投票数の構成変化

引用を行う際には、以下を参考に出典の明記をお願いいたします。
(出典)青木玲子(2011)「次世代へのコミットメントに国民的合意を―世代間資源配分の公平を目指す選挙制度の改革―」NIRAモノグラフシリーズNo.33

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