2024.05.17論文NIRAワーキングペーパーNo.9勤労者世帯の負担と給付の国際比較―OECD tax-benefit model(TaxBEN)を用いたアプローチ関島梢恵家計はどれほどの税や社会保険料を負担し、手当などの給付を受けているのか。本稿では、OECDのシミュレーションモデルを用いて国際比較を行い、勤労世帯における負担と給付の特徴を整理した。日本は低中所得層の社会保険料の負担割合が高いことや、諸外国と比べて負担率の累進度が低く、高所得層ほど相対的に負担率が低くなることが確認された。また、現行の児童手当等に所得制限や所得上限があることで起きている負担率のジャンプを可視化した。詳細を見る
2024.05.14論文NIRAワーキングペーパーNo.8政治不信と「ズルさ」の感覚―ポストトゥルース時代の政策理解に向けて渡部春佳日本の政治不信にはどのような特徴があるのか。NIRA基本調査をもとに、政治不信の内包する「ズルさ」の感覚と、政治的有効感覚や政策選好との関連を明らかにした。「ズルさ」を感じやすい人ほど、政府への信頼が低く、低負担低福祉の社会を求めていた。その一方で、一定の高負担高福祉を求める意見もあった。その背景として「ズルさ」に敏感で、かつ階層意識が低い人ほど、格差是正を求めており、政府への不信と同時に期待も抱いていることが明らかとなった。詳細を見る
2024.05.10研究報告書アジアの「民主主義」第6章インドネシア―インドネシアの今とこれから本名純目覚ましい経済成長を遂げ、グローバルサウスの中でもインドと並び注目を浴びるインドネシア。庶民派を強調することで高い人気を維持してきたジョコ・ウィドド大統領だが、近年は、インドネシア政治において権威主義的特徴が表れ始め、欧米からは民主主義の後退が指摘されている。しかし、国内の政財界のエリート地図は変わらず、彼らが政治的な競争を通じて既得権益を獲得してきたことを考えれば、今後も先制主義の道を歩むことはないだろう。詳細を見る
2024.05.10データNIRA総研が個票データを提供している社会調査一覧NIRA総研NIRA総研では、これまでに実施した社会調査を研究、分析に利用してもらうことを目的に、個票データをウェブ上で公開している。多くの人がデータに基づく分析を行うことにより、多様な新しい知見を創出することが可能となる。民間人、実務家、研究者、そして学生など、多様な方々による知の創出を期待する。無料でダウンロード可能である。詳細を見る
2024.05.01論文NIRAワーキングペーパーNo.7受益と負担をめぐる世代間の分断と政府への信頼竹中勇貴本稿は、政府への信頼の高まりが税など公共サービスのための負担の受けいれにつながるという関係が、高齢世代よりも現役世代において強いことを明らかにした。特に介護や年金の分野では、現役世代にとっては将来自分が負担に見合う給付を受けられるかという、「受益の不確実性」があるといえる。そのため、今すぐ負担するという意思決定をするためには、政府への信頼が重要になる。本稿の知見は、比較的若い世代における政府への信頼を高めることの重要性を示唆する。詳細を見る
2024.04.26研究報告書第2回政治・経済・社会に関する意識調査(NIRA基本調査)(速報)NIRA総研NIRA総合研究開発機構は、昨年に続き第2回目の「政治・経済・社会に関する意識調査(NIRA基本調査)」を実施し、政治・経済・社会に関する人々の意識を調査した。政治家への信頼が極めて低いこと、5~10年後の世帯の家計状況や日本経済について悲観的な見通しを持っている人が多いこと、社会保障費は行政の人件費や公共事業費に比べて無駄と考えている人が少ないことなどが明らかになった。詳細を見る
2024.04.10わたしの構想No.71財政の長期推計、適切な財政運営のために翁百合 大田弘子 小黒一正 古川禎久 上田健介 フィリップ・ジョイス日本の国債残高は累増の一途をたどり、財政の長期的な持続可能性についての国民の不安も大きい。今後、人口の減少・高齢化が進む中、将来世代が安心して暮らすためには、財政の長期的な見通しを共有する必要があるのではないか。諸外国では「独立財政機関」が設置され、財政の信頼性確保に一定の役割を果たしている。日本には長期財政推計が必要か。それを財政の持続性確保に生かすにはどのような工夫が必要か。各界の専門家に聞いた。詳細を見る
2024.04.04研究報告書日独ワークショップ「デジタル・トランスフォーメーションの言説的・ 物質的側面:日本からの視点、日本への視点」NIRA総研 ドイツ日本研究所 ドイツ科学・イノベーションフォーラム東京 上智大学 ヨーロッパ応用科学大学本ワークショップでは、内外の研究者や実務家が集まり、日本に焦点を当て、ロボット、AI、アルゴリズム、データ、インフラについて議論を深めるとともに、これらが、政治、経済、社会文化、歴史とどのように関わっているか、デジタル変革の言説的かつ物質的側面について考察した。デジタル変革が社会に与える影響を多角的に理解することの重要性が浮き彫りになった。詳細を見る
2024.04.02研究報告書アジアの「民主主義」第5章タイ―タイの今とこれから外山文子東南アジアで唯一の非植民地国であるタイは、少数派を含め、全て「国王の子どもたち」として扱われ、大きな抵抗もなく国民国家が形成された。多様性が確保されたタイは、東南アジアにおける民主主義の優等生と評されるが、それは国王を中心として上から指導される民主主義であった。若者から絶大な支持を得て台頭した前進党は、国王や軍主導の政治から脱却し、新たな民主化を進めようとしている。転換点にあるタイ政治の動向を探る。詳細を見る
2024.03.28オピニオンペーパーNo.76人口減少下の日本経済と財政の長期展望―2060年の家計の姿を描く楡井誠 宇南山卓 片桐満 小枝淳子人口減少下における今後の日本経済・政府財政を展望し、財政が抱えるべきリスクと挑戦すべき課題について考察した。日本の財政は、このまま何もしなければ発散することは明らかであり、世論はともすれば悲観に傾きがちである。しかし、穏やかな金利環境を期待できれば、現在の財政の置かれた状況に対して、現実的な負担で対処していくことは十分可能である。全世代で均等に負担すれば、2060年度での現役世代の負担増は収入の3%台であり、財政は維持可能であることが明らかとなった。詳細を見る