研究報告書 2014.04.01 選べる広域連携自治体による戦略的パートナー選択の時代へ この記事は分で読めます シェア Tweet 熊坂義裕 前宮古市長・盛岡大学教授 鈴木力 燕市長 長友貴樹 調布市長 牧野光朗 飯田市長 大沢博 総務省準公営企業室長 岡田江平 経済産業省中東アフリカ課長(前地域経済産業政策課長) 栗田卓也 国土交通省大臣官房審議官(総合政策、土地・建設産業))兼大臣官房参事官(人事) 武田俊彦 消防庁審議官 中川雅之 日本大学教授 神田玲子 NIRA研究調査部長 分部政樹 NIRA研究コーディネーター 豊田奈穂 NIRA主任研究員 飯塚俊太郎 NIRA研究員 概要 地域は、人口減少、インフラの老朽化、雇用機会の減少の3つの課題に直面し、もはやすべての公共サービスを1つの市町村で提供することは困難となっている。従来型の提供体制の延長線上では、新たな課題に対応できないばかりか、地域の衰退を加速しかねない。 この事態を打開するため、複数の自治体が連携し、行政区域にとらわれない広域な範囲での供給を図る。しかも、サービスごとに連携するパートナーを戦略的に選択する「選べる広域連携」を実現する。 従前の広域連携の仕組みでは、連携するメリットが少ないこともあり本格的な動きにつながらない。そのため、自治体が連携のメリットを享受し、かつ、戦略的な施策の実施が可能となる新たな制度を提示する。 これは、待ったなしの対応が迫られる中で早急に実現すべき課題だ。 全文を読む INDEX エグゼクティブサマリー●地域が直面する課題 人口減少の進行により、地方では限界集落が急速に増加しつつある。また、高度成長期につくられた公共施設の老朽化は、施設の再編を急務なものにしている。さらに、首都圏以外の地域では雇用機会が減少している。これらの3つの課題に直面し、自治体では公共サービスの新たな供給体制への転換が求められている。●最適な供給範囲と行政区域の不一致 今後、地域の人口規模・密度が低下していく中、従来の行政区域に固執した供給体制では質の低下、コストの増加を招くことが予想される。事業体が行政区域にとらわれず公共サービス圏域を広域化できる仕組みが必要となっている。●CompetitionからCo-opetition(コーペティション)へ(注1) 自治体が単独で周辺の地域と競争するのではなく、地域同士がネットワークでつながることによって、これまでにない新たな価値を地域で創造することのできる関係を構築する。それは、自治体間の関係をCompetitionからCo-opetitionへ転換することを意味する。●「選べる広域連携」へ 広域連携の動きをさらに本格化させるためには、広域連携のメリットを自治体が享受できるようにするとともに、サービスによって連携する自治体を選べるなど自治体が実施しうる戦略の選択肢を広げる新たな制度を構築すべきだ。●6分野の方策を提示する 選べる広域連携に向け、「合意形成」「医療・福祉」「教育」「地域経済」「インフラ」「居住地」に関する6つの分野から実現すべき具体的な方策を提言する。 目次巻頭 市長委員の見解 Ⅰ部 第1章 地域の現場に吹く風 第2章 人口規模の減少と供給範囲 第3章 自治体の広域連携が地域を救う Ⅱ部 第1章 広域連携と合意形成 第2章 医療・福祉を軸としたまちづくり -2025年を目指して- 第3章 地域の人づくり -教育行政- 第4章 稼げる地域づくり -地域産業の振興- 第5章 連携による公共施設の再編 第6章 居住地の移動という選択肢 参考 広域連携制度の現状と課題 図表図表Ⅰ-1-1 市町村の規模別人口の変化図表Ⅰ-1-2 地域別の有業者の推移図表Ⅰ-2-1 1人当たりの歳出額と人口規模図表Ⅰ-2-2 1人当たりの歳出額と人口密度図表Ⅰ-2-3 市町村の1人当たり歳出額に関する実証分析図表Ⅰ-2-4 最小効率規模以下の市町村の分布(相対度数)図表Ⅰ-2-5 歳出総額の増加率(相対度数)図表Ⅰ-2-6 生活関連サービス別カバー圏域人口図表Ⅰ-2-7 生活関連サービスの供給単位(当該市町村に立地する確率が50%及び80%を超える人口規模)図表Ⅰ-3-1 異なる様相を見せる地域図表Ⅱ-1-1 利用者の分布図表Ⅱ-1-2 圏域6市の利用実態図表Ⅱ-2-1 医療・介護サービスの全体像図表Ⅱ-2-2 在宅看取り率のプロット(市区町村別)図表Ⅱ-3-1 年次別推移図表Ⅱ-3-2 合併市町村と被合併市町村学校数の比較図表Ⅱ-3-3 トレンド反映型:小学校図表Ⅱ-3-4 トレンド反映型:中学校図表Ⅱ-3-5 学校規模維持型:小学校図表Ⅱ-3-6 学校規模維持型:中学校図表Ⅱ-4-1 企業誘致の担当平均人数と課題(市町村規模別)図表Ⅱ-4-2 企業誘致活動における課題(%)図表Ⅱ-5-1 モデルの設定図表Ⅱ-5-2 公共施設の共同利用・移転と地域に住む価値の変化図表Ⅱ-5-3 公共施設の共同利用・移転の有無による付値地代の変化図表Ⅱ-5-4 施設補助・密度補助が公共施設の「共同利用」に及ぼす影響図表Ⅱ-5-5 施設補助・密度補助が「移転」に及ぼす影響図表Ⅱ-5-6 モデルの設定図表Ⅱ-5-7 α施設、β施設の平均費用曲線図表Ⅱ-5-8 3市の人口推移図表Ⅱ-5-9 3市が独立して公共施設管理を実施した場合の付値地代図表Ⅱ-5-10 独立管理方式、協定による共同管理方式の場合の付値地代図表Ⅱ-6-1 がけ崩れ移転促進事業の概要図表Ⅱ-6-2 がけ崩れ危険住宅移転促進事業(2006~2013 年度)図表Ⅱ-6-3 危険回避の状況図表Ⅱ-6-4 生活満足度と移転の関係図表Ⅱ-6-5 補助額の分布 研究体制熊坂義裕 前宮古市長・盛岡大学教授 鈴木力 燕市長 長友貴樹 調布市長 牧野光朗 飯田市長 大沢博 総務省準公営企業室長 岡田江平 経済産業省中東アフリカ課長(前地域経済産業政策課長)栗田卓也 国土交通省大臣官房審議官(総合政策、土地・建設産業) 兼大臣官房参事官(人事)武田俊彦 消防庁審議官 中川雅之 日本大学教授(NIRA)神田玲子 研究調査部長 分部政樹 研究コーディネーター 豊田奈穂 主任研究員 飯塚俊太郎 研究員 引用を行う際には、以下を参考に出典の明記をお願いいたします。(出典)熊坂義裕・鈴木力・長友貴樹・牧野光朗・大沢博・岡田江平・栗田卓也・武田俊彦・中川雅之・神田玲子・分部政樹・豊田奈穂・飯塚俊太郎(2014)「選べる広域連携-自治体による戦略的パートナー選択の時代へ-」総合研究開発機構 脚注 * 本研究会の活動は所属とは無関係であり、個人の見解を示すものである。 * 本研究会の活動は所属とは無関係であり、個人の見解を示すものである。 1 Co-opetitionとは、Cooperation(連携)とCompetition(競争)を合わせた造語で、「競争のための連携」を意味する。 1 Co-opetitionとは、Cooperation(連携)とCompetition(競争)を合わせた造語で、「競争のための連携」を意味する。 シェア Tweet ⓒ公益財団法人NIRA総合研究開発機構※本誌に関するご感想・ご意見をお寄せください。E-mail:info@nira.or.jp 研究の成果一覧へ