研究報告書 2008.03.20 社会的包摂手法による地域の再生 この記事は分で読めます シェア Tweet 財団法人神戸都市問題研究所 概要 本報告は、『地域の再生・創造』と『市民社会』をテーマとし、2機関のシンクタンクに委託して実施した研究成果の1つである。 本研究では、「社会的包摂(Social Inclusion)アプローチ」を用いて、深刻化する地域の局地的衰退の再生方策を、神戸市を対象に検討した。 これまでどちらかというと積極的な参加や参画が見られなかった高齢者・障害者・無業者を含む多様かつ多数の地域住民を巻き込み「包摂」することにより、これまでとは異なる新たな多層・多重的なコミュニティへのインパクトが顕在化し、サステナブルな地域運営のあり方がみえてくる。こうした地域再生への新たなアプローチが示唆する萌芽を仔細に点検し、今後、急速な人口減少や多文化化の潮流のなかで深刻化が予見される局地的な地域衰退・荒廃に対して、再生のための政策提案を行う。 まず、衰退の実態を小地域単位で明らかにしたうえで、地域民同士、さらには行政・事業者との連携に着目し、先行する事例等による「現場」での動きを点検することから具体的な方策の検討を行った。その際、経済メカニズムを組み込みながら局地的問題の解決を試みる社会的企業を、社会的包摂アプローチを担う主体として着目し、社会的包摂アプローチを実現するエンジンとして位置づけている。特に高齢者・無業者・障害者などの職業スキル向上等により「福祉のクライアント層」を「主要な担い手」とする事業スキームの検討を行った。行政だけでなく地域住民や事業者等の参画を得て、地域サービス事業等を通じた高齢者・無業者や障害者などの地域住民の有業化・所得向上、生活の質の維持等を図る取り組みを提案し、社会的包摂手法による地域再生の方策について提言を取りまとめた。 全文を読む INDEX 目次序章要約第1章 社会的包摂による地域再生の経緯と背景 第1節 変わる都市・地域問題 第2節 モザイク化する都市・地域の空間構造 第3節 新たなガバナンスの構図を支えるNPO/社会的企業の台頭 第4節 社会的包摂アプローチによる地域再生と社会的企業の役割 第5節 「社会的包摂アプローチと社会的企業」英国での経験第2章 現状分析 第1節 地域の衰退減少の定量的把握 第2節 社会的ミッションを掲げて事業活動を行う団体を対象としたアンケート調査 第3節 地域住民を対象としたアンケート調査 第4節 自治体を対象としたアンケート調査 第5節 社会的ミッションを掲げて事業活動を行う団体を対象としたヒアリング調査 第6節 英国(スコットランド)の事例第3章 社会的包摂による地域の再生に向けた取り組み(提言) 第1節 社会的包摂による地域再生の方向性 第2節 社会的包摂による地域再生の方策(提言) 補論 英国における社会的企業への支援 研究体制●研究代表者加藤恵正 兵庫県立大学経済学部教授●研究担当者本荘雄一 財団法人神戸都市問題研究所常務理事・研究部長/神戸学院大学学際教育機構防災・社会貢献ユニット客員教授●研究分担者河合節二 野田北ふるさとネット野田北部まちづくり協議会事務局長中村順子 (特活)コミュニティ・サポートセンター神戸代表松本浩之 みなと観光バス株式会社代表取締役Alan Kay CBSネットワークディレクター森田博一 株式会社シティコード研究所代表/(特活)市民活動センター神戸副理事長片山昌俊 神戸市企画調整局総合計画課長上田剛弘 神戸市市民参画推進局地域力強化推進課長根来司 神戸市市民参画推進局地域力強化推進課主幹山本猛 神戸市市民参画推進局市民生活部勤労市民課長藤原徹 神戸市保健福祉局計画調整課主幹田中恵子 神戸市産業振興局主幹金川裕一 神戸市都市計画局地域支援室主幹中村直行 神戸市東灘区まちづくり支援課長三島功裕 神戸市北区まちづくり推進課長中嶋知之 神戸市長田区まちづくり推進課長笹井徹 財団法人神戸都市問題研究所主任研究員水谷明美 財団法人神戸都市問題研究所研究員●オブザーバー竹中ナミ 社会福祉法人プロップ・ステーション理事長(障害者を納税者とする「チャレンジド」支援)和仁屋浩次 総合研究開発機構研究員 引用を行う際には、以下を参考に出典の明記をお願いいたします。(出典)神戸都市問題研究所(2008)「社会的包摂手法による地域の再生」総合研究開発機構 シェア Tweet ⓒ公益財団法人NIRA総合研究開発機構※本誌に関するご感想・ご意見をお寄せください。E-mail:info@nira.or.jp 研究の成果一覧へ