畑佐伸英
総合研究開発機構リサーチフェロー

概要

 本稿は、非関税障壁の1つである規格及び技術規制をとりあげ、これらがアジア域内で標準化されたときの経済効果に関する分析を行ったものである。分析手法としては、既存のGTAPモデルを用い、静学と動学両面からの政策シミュレーションを行っている。静学分析では、アジア域内の規格や技術を標準化することによって、日本、韓国、中国、ASEANのGDPは、それぞれ、0.10%、0.33%、0.41%、0.26%増加するという推計結果が出された。
 これは、金額では、日本では45億ドル、アジア全体では148億ドルにのぼる。標準化に向けた複数の各国間協調シナリオを想定した動学分析では、できるだけ早期に標準化を進めることが、アジアの各国にとってはより大きなマクロ経済的なメリットを享受することができることが明らかとなった。特に日中韓3国については、対ASEANとよりも、3国間で先に標準化を進める方が経済的利益が大きい。アジアでは、いまだ先進国と発展途上国との格差が大きいことから、各国の産業構造を考慮した標準化政策のあり方も検討に値する。

INDEX

目次

要旨
1.はじめに
 (1)非関税障壁としての強制規格・技術規制
 (2)規格化・標準化の目的とその経済的メリット
 (3)標準化と貿易
 (4)目的と構成
2.分析手法
 (1)モデルとデータベース
 (2)分析フレームワーク
 (3)GTAPによる分析アプローチ
3.政策分析とシミュレーション結果
 (1)静学分析
 (2)動学分析
 (3)まとめ
4.おわりに



図表

図表1 技術要求準拠に要する投資費用(国別売り上げ比、%)
図表2 技術要求準拠に要する投資費用(産業別売り上げ比、%)
図表3 貿易に関する技術的障害
図表4 国別産業別の追加費用(%)
図表5 GDP創出効果
図表6 マクロ経済効果
図表7 産業別の生産額の効果
図表8 政策シナリオ
図表9 GDPの変化率(%)
図表10 産業別産出額の変化率(%)
別表1 地域分類
別表2 産業分類
別表3 GDP成長率の予測(年率、%)
別表4 労働人口成長率の予測(年率、%)

引用を行う際には、以下を参考に出典の明記をお願いいたします。
(出典)畑佐伸英(2009)「アジア域内標準化の経済効果」NIRAモノグラフシリーズNo.29

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