研究報告書 2023.05.29 「コロナ禍の政策と行動から見る日本人の自由と平等観」についてのアンケート(速報) この記事は分で読めます シェア Tweet NIRA総合研究開発機構 ※本調査の個票データはこちら 概要 (公財)NIRA総合研究開発機構では、「コロナ禍の政策と行動から見る日本人の自由と平等観」についてのアンケートを実施した。本調査は、新型コロナウイルス感染拡大時の政策に対する評価や、政府の行動規制に対して異なる立場の意見を読んだ後の考え方の変化を捉えることを目的に実施したものである。パンデミック時の望ましい行動制限やコロナ禍で感じた不公平感から、日本人の自由と平等観を探る。 政府による行動制限として、最も多くの人が支持するのは「自粛要請」だということが明らかになった。その結果について、異なる立場の意見を読む前(熟慮前)と読んだ後(熟慮後)で自粛要請支持の割合を比較すると、熟慮後に支持する割合がさらに増え、50%となった。また、コロナ禍で「医療関係者など、エッセンシャルワーカーに多大な負担がいったこと」については6割強の人が「不公平だと感じる」と回答した。 なお本調査は2022年10月21日(金)~2022年10月24日(月)にかけて行われ、回収数は2,000件、うち有効回答数(トラップ設問をクリアした人)は1,770件であった。以下の速報結果は、トラップ設問(注1)をクリアした人のみを対象とし、「国勢調査(2020年)」の18歳以上の日本人を母集団とみなして、ウェイトによる補正を行った集計結果である(注2)。 速報を読む(2023年5月29日公表) INDEX Ⅰ調査結果 1.パンデミック時の行動制限 1.1.政府による行動制限 1.2.行動制限における考え方 2.コロナ政策への評価 2.1.望ましい行動制限別にみたコロナ政策への評価 3.日本のお手本となる国 4.マスク着用への期待 4.1.マスクをしていない人への対応 4.2.マスク着用への期待感 4.3.自分がノーマスクだった場合 5.持続化給付金の考え方 6.コロナ禍で感じた不公平感 7.個人情報提出への抵抗感 8.機関・組織への信頼 9.緊急時の政策決定権 Ⅱ調査概要 1.調査の趣旨・目的 2.調査名 3.主な調査項目 4.調査期間 5.調査方法 6.回収数 7.本報告書の集計方法 8.回答者の属性 9.研究体制 ポイント●パンデミック時の政府による行動制限は「自粛要請」が望ましいと考えている人が最も多く、半数近くとなった。●パンデミック時の行動制限における考え方は、経済よりも弱者保護を優先した方が良いと考える人が過半数であった。●「マスク着用要請」、「外国人の入国制限措置」、「ワクチンの確保と接種」、「全国民対象の10万円給付」は過半数の人が肯定的な評価をした。一方、「GoToキャンペーン」は否定的な評価をする人が肯定的な評価をする人の数を上回った。●日本のお手本となる国は、「特にない」との回答が最も多く33%。アメリカや中国がお手本になるとの回答は少なく、どちらも10%未満であった。●マスク着用要請が出ている時、義務ではなくても 65%の人が「ほぼすべての人」にマスク着用を期待することが分かった。●持続化給付金を給付する際は1件ずつの精査をするよりも迅速な対応の方が望ましいと考えている人が多く、47%を占めた。そして、70%の人が給付対象は売上減少などの条件を付けるべきだと考えている。●コロナ禍で起きた出来事で多くの人々が不公平だと感じているのは、「医療関係者など、エッセンシャルワーカーに多大な負担がいったこと」で63%であった。●コロナ禍での対応や情報発信について、「病院」や「保健所」は半数近くの人が信頼している一方、「SNS」や「国会」は信頼していない人が過半数であった。●緊急時における政策の決定権について、「(どちらかといえば、)今よりも地方自治体の権限を強めるべき」と考える人は54%を占め、「(どちらかといえば、)今よりも国の権限を強めるべき」と考える25%を上回った。 図表図1-1-1 政府による望ましい行動制限-熟慮前後での比較-表1-1-2 熟慮前後での意見の変化図1-1-3 年齢別でみた望ましい行動制限図1-2-1 行動制限における考え方-熟慮前後での比較-表1-2-2 熟慮前後での意見の変化図1-2-3 年齢別でみた行動制限における考え方図2 コロナ政策への評価図2-1 望ましい行動制限別にみた、コロナ政策への評価図3 日本のお手本となる国図4-1 マスクをしていない人への対応図4-2-1 マスク着用への期待感図4-2-2 年代別にみた、マスク着用への期待感図4-3 マスク非着用時の感情図5-1 給付プロセス:迅速さか正確さか図5-2 給付対象:条件付きか一律か図6 コロナ禍で感じた不公平感図7 個人情報提出への抵抗感図8 機関・組織への信頼図9 緊急時の政策決定権 Ⅰ調査結果 1.パンデミック時の行動制限 1.1.政府による行動制限 Q3.コロナ禍感染症の拡大を防ぐために、日本では不要不急の外出や飲食店の営業などを自粛する「要請」が出されました。他方、海外では、営業などの行為を「禁止」し、違反時には罰金等を科す国もありました。パンデミックなどの緊急事態における、政府による行動制限について、あなたは以下のうちどれが最も望ましいと考えますか。(1つだけ)(1)行動を禁止する。違反した場合には罰金等を科す。(2)行動の自粛を要請する。違反した場合でも罰金等は科さない。(3)行動の禁止や自粛要請はしない。Q18.コロナ禍における行動規制について書かれた以下の3つの意見を読んで、続く質問(Q3と同じ質問)にお答えください。<意見A> 「自粛」だと、従わない人が出てしまい効果が薄まってしまう。個人の判断に任せられるより、はっきりと「禁止」してもらったほうがラク。不自由なのは皆同じであり、平等に共有すべき。社会全体の安心・安全なくして個人の自由はない。緊急事態下では、なおのこと、仕方ない。「ロックダウン」すべき。<意見B> ロックダウンすると経済活動が著しく制限され、生活が立ち行かなくなる人々も出てくる。狭い空間の中に閉じ込められるのは精神的ストレスが高く、運動不足や体力低下などにもつながる。大多数の市民は善良であり、市民の良心を活かすのが民主主義の根幹。強制的に市民の行動を束縛するのはその否定にほかならない。「自粛」に留めるべき。<意見C> 人々は愚かではないので、リスクを見極めながら行動し、自ずと最適解を見出してゆく。少数の政府の職員が社会全体の最適解を見出すのは不可能であり、人々のニーズや現実とミスマッチを起こすのが関の山。ましてや効果が確認されてもいないロックダウンを強制するのは政治的ジェスチャーにすぎない。そもそも「自粛」を「要請」するのは矛盾。「完全に自由」にすべき。 今回のアンケート調査では、政府による望ましい行動制限について2回聞いた。1回目はなにも情報を与えないまま回答、2回目は行動制限の度合いに応じた3つの立場の意見を読み、熟慮したうえで回答している。なお、便宜上Q3、Q18で(1)の選択者を「ロックダウン派」、(2)の選択者を「自粛派」、(3)の選択者を「自由派」と呼ぶ(以後同様)。 熟慮前後共に、もっとも回答割合が大きかったのは「自粛派」(図1-1-1)。「ロックダウン派」は熟慮前では自粛派とほぼ同程度の割合であったが、熟慮を経て「自粛派」へと変わった人が多い(表1-1-2)。「自由派」は人の動きはあるものの、回答割合にはほとんど変化がない。 図1-1-1 政府による望ましい行動制限-熟慮前後での比較- 表1-1-2 熟慮前後での意見の変化 また、年齢・年収別にみると、若年層ほど「自由派」が多く、高年齢層ほど「自粛派」が多くなる傾向にある。熟慮前後どちらもその傾向に変わりはない(図1-1-3)。 図1-1-3 年齢別でみた望ましい行動制限 1.2.行動制限における考え方 Q10.コロナ禍のようなパンデミックにおける行動制限について、あなたのお考えはAとBのどちらに近いでしょうか。(1つだけ)A:経済的な不安をもたらすことがあっても、社会全体で行動制限をし、重症化しやすい人々を最大限守るべきである。B:重症化しやすい人々を多少リスクにさらしても、社会全体での行動は制限せず、経済への影響を最小限にするべきである。Q20.コロナ禍における行動規制について書かれた以下の2つの意見を読んで、続く質問(Q10と同じ質問)にお答えください。<意見A> 基礎疾患を持つ人、高齢者など、コロナに対して脆弱で重症化しやすい人たちに感染が広がらないようにすることは、人権の観点のみならず、社会的な負担がかたよらないようにするためにも重要である。高齢者施設での過去の流行では、コロナ療養病院に転院できない例が相次いだ。これは患者の生きる権利を脅かすとともに、施設のスタッフや介護・医療従事者に大きな負担となった。「弱者」でない人を含む行動制限は、社会インフラの機能維持と、介護・医療従事者に負担を押しつけないという社会的公平の観点から重要である。<意見B> コロナによる行動制限の中には、明確な法的根拠がないものも多かった。それなのに都道府県をまたいだ移動の自粛や、飲食店の営業時間によって協力金の額を変えるなど、細かい施策が次々打ち出された。こうしたやり方に不信感が強まるのはもっともで、当初のパニックが過ぎ去りワクチンがある程度普及したあとでは、経済活動の優先は当然である。そもそも特定の行動制限による流行の抑制効果を科学的に示すことは難しく、経済のどの部分を規制すべきかの根拠もはっきりしない。その意味で公正で合理的な行動制限の実施は不可能に近い。経済への深刻な影響を相殺するほどの説得力はない。 行動制限における考え方についても、識者の意見を提示する前(熟慮前)と、識者の意見を提示した後(熟慮後)と2回聞いている。重症化しやすい人々を守るべきか、経済活動を優先すべきかについては、前者の「弱者保護」を優先に考える人(どちらかといえばそのように考える人を含む、以下同)の方が多数である。ただし、熟慮後は、「経済活動」を優先すべきという回答が若干増えた(図1-2-1)。 また、熟慮前に「どちらともいえない」を選択した人のうち、約半数は弱者保護か経済活動優先のどちらかの立場へと意見を変えている(表1-2-2)。 図1-2-1 行動制限における考え方-熟慮前後での比較- A:経済的な不安をもたらすことがあっても、社会全体で行動制限をし、重症化しやすい人々を最大限守るべきである。B:重症化しやすい人々を多少リスクにさらしても、社会全体での行動は制限せず、経済への影響を最小限にするべきである。 表1-2-2 熟慮前後での意見の変化 年齢別でみると、高年齢層は、感染症においては、自身が弱者であることから、弱者の保護を優先する人が多いと思われる(図1-2-3)。 図1-2-3 年齢別でみた行動制限における考え方 A:経済的な不安をもたらすことがあっても、社会全体で行動制限をし、重症化しやすい人々を最大限守るべきである。B:重症化しやすい人々を多少リスクにさらしても、社会全体での行動は制限せず、経済への影響を最小限にするべきである。 2.コロナ政策への評価 Q1.コロナ禍において、日本で実施された以下の政策について、それぞれ5段階で評価してください。1は「全く評価しない」、5は「大いに評価する」を示すとした場合、1から5までの数字で当てはまるものをお答えください。(1つだけ) コロナ政策への評価は、おおむね評価していない人よりも評価している人の方が多かった(図2)。最も評価されているのは「マスク着用要請」で約7割の人(「大いに評価する」と「やや評価する」の合計、以下同)が評価している。唯一、評価しない人(「全く評価しない」と「あまり評価しない」の合計、以下同)の方が多かったのは「GoToキャンペーン(GoToトラベル・GoToイート)」。 図2 コロナ政策への評価 2.1.望ましい行動制限別にみたコロナ政策への評価 熟慮後の望ましい行動制限別(Q20、質問文は「1.2. 行動制限における考え方」に記載)に、コロナ政策への評価をみたところ、経済活動優先を望む人は、弱者保護を優先すべきという人よりも、政策への評価が比較的低い傾向にある(図2-1)。ただし、GoToキャンペーンのみ、経済活動を優先する人たちの方が評価している。 図2-1 望ましい行動制限別にみた、コロナ政策への評価 3.日本のお手本となる国 Q2.コロナ禍での政府対応について、日本のお手本となるような国・地域はどこだと思いますか。(「特にない」以外複数回答可)(1)アメリカ:CDC(疾病予防管理センター)がガイドラインを決定するが、規制に関する権限は各州が持つ。(2)イギリス:初期は全国的なロックダウンなど重い規制を課し、段階的に解除。(3)スウェーデン:行動制限を課さず、感染症予防と経済維持の両面に配慮。(4)台湾:政府が、ITを活用して国民の行動を管理。(5)中国:政府による強制的な行動制限により、徹底的に封じ込めるゼロコロナ政策を実施。(6)ドイツ:平時より充実していた集中医療体制(ICU)を活用。ロックダウンと州の上乗せ規制による厳しい行動制約。(7)ニュージーランド:全国的なロックダウン、水際対策を実施。首相が国民に向けて積極的に対話。(8)ベトナム:諸外国よりも早いタイミングで全国的なロックダウン、入国制限を開始。政府による積極的なIT活用と情報発信。(9)特にない お手本となる国は「特にない」とする回答が最も多かった。選択された国の中では、ITを活用する「台湾」と、ロックダウンを行った「ニュージーランド」が24%と最多(図3)。一方、ゼロコロナ政策を実施した「中国」は2%と最も少ない結果となった。 図3 日本のお手本となる国 4.マスク着用への期待 4.1.マスクをしていない人への対応 Q5.感染症が広がっている時期を想像して答えてください。電車やバスなどの公共交通機関で、マスクをしていない人が隣にいた場合、あなたはどのような行動をしますか。(1つだけ)(1)マスクを着用すべきだと注意をする。(2)注意などはしないが、その人から距離をとる。(3)特になにもしない。(4)その他Q6.(Q5で(3)と回答した人のみ表示)前の質問で、あなたは特に何もしないとお答えになりましたが、マスクをしない人に対してどのように考えますか。(1つだけ)(1)マスクを着用すべきだと考える。(2)マスクは着用しなくてよいと考える。(3)その他 公共交通機関で隣の人がマスクをしていない場合、「注意などはしないが、その人から距離をとる」人が76%と最多(図4-1)。「マスクを着用すべきだと注意をする」人は11%。「特になにもしない人」でも、マスクをしない人に対して「マスクを着用すべき」と考えている人は3割近くいる。 図4-1 マスクをしていない人への対応 4.2.マスク着用への期待感 Q7.感染症が広がっている時期を想像して答えてください。日本では、電車やバスなど公共交通機関でのマスク着用は義務ではなく要請であり、着用していない場合の罰則や罰金もありません。あなたは、このような要請にどれくらいの人が従うことを期待していますか。(1つだけ) マスクの着用を(1)ほぼすべての人に期待する。(2)7割ほどの人に期待する。(3)5割ほどの人に期待する。(4)3割ほどの人に期待する。(5)ほぼ誰にも期待しない。(6)その他 マスク着用要請がある場合、「ほぼすべての人に着用の期待をする」人が過半数(図4-2-1)。義務ではなくても、多くの人が他人にマスクの着用を望んでいる。 図4-2-1 マスク着用への期待感 マスク着用への期待感を年代別にみると、高齢層になるほど多くの人にマスク着用を期待する(図4-2-2)。自身の重症化リスクが高いほど、その予防のため、他人への期待感が高くなる。 図4-2-2 年代別にみた、マスク着用への期待感 4.3.自分がノーマスクだった場合 Q9.感染症が広がっている時期を想像して答えてください。あなたが、コロナ禍でもしもマスクを着用せずにコンビニに入店したとき、コンビニの中が以下のそれぞれの状況であった場合、気まずい思いをしますか。(1つだけ) コンビニにおいて自身がマスクを着用していない場合、複数人の客が入っていた場合は87%、他に客がいない場合は70%の人が「気まずい思いをする」(図4-3)。他人のマスク着用を期待している(図4-2-1)のと同時に、自身のマスク着用を心掛けている。 図4-3 マスク非着用時の感情 5.持続化給付金の考え方 Q11.コロナ禍で売り上げが減少した企業を支えるため、2020年5月1日から「持続化給付金」の申請受付が開始されました(現在は受付終了)。迅速な決定ではありましたが、不正受給などの問題も発生しています。これについて、あなたのお考えはAとBのどちらに近いでしょうか。(1つだけ)A:不正が出る恐れもあるが、必要とする人がいるのだから、迅速な対応が望ましい。B:支給が遅くなったとしても、原資は税金なので1件ずつ精査してから支給すべきである。 持続化給付金の給付プロセスについて、「迅速さ」を「正確さ」よりも重視する人の方が多かった(図5-1)。 図5-1 給付プロセス:迅速さか正確さか A:不正が出る恐れもあるが、必要とする人がいるのだから、迅速な対応が望ましい。B:支給が遅くなったとしても、原資は税金なので1件ずつ精査してから支給すべきである。 また、給付対象については、売上減少などの「条件付き」で給付するべきとの回答が過半数を超えた(図5-2)。コロナ禍で実際に行われた持続化給付金の給付方法も売上減少などの条件を付しており、多くの人が選んだ意見と合致している。Q12.前の質問に出てきた「持続化給付金」は、感染症拡大により、売り上げが前年より50%以上減少した事業者にのみ支給されました。これについて、あなたのお考えは以下のA、B、Cのどれに近いでしょうか。(1つだけ) 図5-2 給付対象:条件付きか一律か A:条件を付けず、すべての事業者に給付金を支給すべきである。B:売り上げ減少などの条件を付け、条件に合う事業者のみに給付金を支給すべきである。C:そもそも給付金を支払う必要はない。 6.コロナ禍で感じた不公平感 Q13.コロナ禍で起きた以下の出来事について、あなたはどれくらい不公平だと感じましたか。1は「全く不公平だと感じない」、5は「とても不公平だと感じる」を示すとした場合、1から5までの数字で当てはまるものをお答えください。(1つだけ) コロナ禍で起きた出来事のうち、過半数の人が不公平(「とても不公平だと感じる」と「やや不公平だと感じる」の合計)だと感じたのは、「医療関係者など、エッセンシャルワーカーに多大な負担がいったこと」、「医療体制がひっ迫し、入院できない感染者が発生したこと」、「時短協力金が飲食店の規模によらず一律だったこと」、「マスクやトイレットペーパーの買い占めが行われたこと」の4つであった(図6)。 図6 コロナ禍で感じた不公平感(クリックすると拡大します。) 7.個人情報提出への抵抗感 Q14.パンデミック拡大防止やテロ対策として、政府から以下の情報の提出を求められた場合、これらの情報提供が全体利益の確保に適うとしても、提出に抵抗があるものをお選びください。(いくつでも)(1)指紋などの生物識別情報(2)身長、体重、既往歴などの健康生理情報(3)行動履歴、宿泊情報などの位置情報(4)銀行口座、保有資産額などの財産情報(5)メールや電話の記録や内容といった通信情報(6)電話番号、メールアドレスなどの連絡先情報(7)ウェブサイトの閲覧記録などのネットワーク利用情報(8)特になし 全体利益確保のため、という名目があっても、「財産情報」の提供には過半数(64%)が抵抗感を示した(図7)。一方で、「健康生理情報」の提出に抵抗感は低い(23%)。どちらもマイナンバーカードに登録できる個人情報ではあるが、抵抗感には差が生まれている。 図7 個人情報提出への抵抗感 8.機関・組織への信頼 Q15.コロナ禍での対応や情報の発信に関して、あなたが、以下の各組織や機関を、どの程度信頼しているかをお答えください。1は「全く信頼していない」、5は「大いに信頼している」を示すとした場合、1から5までの数字で当てはまるものをお答えください。(1つずつ) コロナ禍での対応や情報発信に関して、「首相官邸」や「国会」といった政府機関を半数近くの人が信頼していない(図8)。コロナ政策は相応に評価されているにもかかわらず(図2)、「SNS」とも同程度の水準である。一方、「病院」や「保健所」など、実際に感染者への対応に当たった組織は信頼している人が他の機関・組織と比べて多い。 図8 機関・組織への信頼 9.緊急時の政策決定権 Q16.今回のコロナ禍での政策において、国と地方の関係が大きく注目されました。緊急時における政策の決定権について、今よりも国の決定権を強めるべきか、それとも地方自治体の決定権を強めるべきか、あなたはどちらが望ましいと考えますか。(1つだけ) 緊急時の政策決定権に関して、「地方自治体の決定権」を強めるべきとの意見が過半数(54%)となった(図9)。中央政府または国への信頼感が低いため、このような結果になったものと思われる。 図9 緊急時の政策決定権 Ⅱ調査概要 1.調査の趣旨・目的 「コロナ禍の政策と行動から見る日本人の自由と平等観」についてのアンケートは、新型コロナウイルス感染拡大時の政策に対する評価や、政府の行動規制に対して異なる立場の意見を読んだ後の考え方の変化を捉えることを目的に実施した。人々がどのような考え方を基に、政策を評価したのか分析できる調査設計にしている。 2.調査名 コロナ禍の政策と行動についてのアンケート 3.主な調査項目 ・コロナ政策への評価・望ましい政府の行動規制・マスク着用への期待感・弱者保護と経済活動の優先度合い・給付金の支給条件・コロナ禍で感じた不公平感・個人情報提出への抵抗感・組織や機関への信頼・国か地方自治体への決定権移譲・その他個人属性 4.調査期間 2022年10月21日(金)~2022年10月24日(月) 5.調査方法 1)実施方法:インターネット調査(注3)2)調査機関:株式会社インテージリサーチ3)調査対象者:調査会社に登録しているインターネット調査登録モニター 6.回収数 総数:2,000件うち有効回答数(トラップ設問をクリアした人)は1,770件 7.本報告書の集計方法 集計結果の代表性を保つために、本報告書では総務省「国勢調査(2020年)」を母集団とみなして、サンプリングバイアスを補正するために母集団ウェイトを作成した。具体的には、「国勢調査(2020年)」の18歳以上の日本人に限定した性別(男性、女性)、年齢階層(18~30代、40~50代、60~80代の3階層)、居住地域(北海道・東北、関東甲信、近畿・東海・北陸、中国・四国、九州・沖縄の5地域)、婚姻状態(未婚、既婚・離死別)、労働力状態(有職か無職か)よりウェイトを作成した。 本報告書の集計結果は、有効回答に上述した母集団ウェイトを用いて集計したものである。 8.回答者の属性 9.研究体制 宇野重規 東京大学社会科学研究所教授/NIRA総研理事重田園江 明治大学政治経済学部教授/NIRA総研上席研究員渡辺靖 慶應義塾大学環境情報学部教授/NIRA総研上席研究員神田玲子 NIRA総研理事・研究調査部長川本茉莉 NIRA総研主任研究員鈴木壮介 NIRA総研研究コーディネーター・研究員渡部春佳 NIRA総研研究コーディネーター・研究員 引用を行う際には、以下を参考に出典の明記をお願いいたします。(出典)NIRA総合研究開発機構(2023)「「コロナ禍の政策と行動から見る日本人の自由と平等観」についてのアンケート(速報)」 脚注 1 トラップ設問とは、質問文を注意深く読まず回答する回答者を検出するための設問である。本調査では、「この項目には、「2.おおよそ違うと思う」を選択してください」というトラップ設問を用意し、当該設問で「2.おおよそ違うと思う」を選択した人の回答を有効回答とした。 1 トラップ設問とは、質問文を注意深く読まず回答する回答者を検出するための設問である。本調査では、「この項目には、「2.おおよそ違うと思う」を選択してください」というトラップ設問を用意し、当該設問で「2.おおよそ違うと思う」を選択した人の回答を有効回答とした。 2 集計方法については「Ⅱ.調査概要」を参照のこと。 2 集計方法については「Ⅱ.調査概要」を参照のこと。 3 2020年の総務省『国勢調査』の結果に基づき、性別(2分類)、年齢(6分類)、地域(5分類)を人口構成比に応じて割り付けを実施した。 3 2020年の総務省『国勢調査』の結果に基づき、性別(2分類)、年齢(6分類)、地域(5分類)を人口構成比に応じて割り付けを実施した。 シェア Tweet ⓒ公益財団法人NIRA総合研究開発機構※本誌に関するご感想・ご意見をお寄せください。E-mail:info@nira.or.jp 研究の成果一覧へ