企画に当たって

フィンテックベンチャーが活躍する環境を

柳川範之

NIRA総合研究開発機構理事/東京大学大学院経済学研究科教授

KEYWORDS

フィンテック、金融システムの根幹、貨幣の役割変容、フィンテックベンチャー、制度的基盤

急速に広まるフィンテック

 フィンテックという言葉が、この半年ぐらいで、急速に人々の話題に上るようになってきた。フィンテックは、金融(ファイナンス)と技術(テクノロジー)を合わせた造語であり、金融分野におけるIT(情報技術)やAI(人工知能)を活用した、新しいサービス提供の動きを指す。が、ややブームとも呼ぶべき状況で、何がフィンテックなのか、その定義自体もかなり曖昧になってきている傾向はある。

 とはいえ、これだけのブームが世界的に生じているのは、単なる「はやり」では片付けられないような、大きな動きが生じていると考えられているからだろう。そこで、そのポイントはどこにあるのか、そして、それを適切に取り込んでいくためには、何を考えていく必要があるのか等について、この分野に詳しい各方面の方々に語っていただいた。

金融システムの根幹を変える

 そもそも、技術の発展が、金融分野のサービスを大きく変化させてきたのは、いまに始まったことではない。たとえば、ATMの登場は、窓口業務を大幅に改善したし、インターネットによって可能になったネットバンキングや、ネット証券等のサービスも、広い意味ではフィンテックに分類できる動きだ。その点では、フィンテックはいまに始まったサービスではないともいえる。

 しかし、今回フィンテックというネーミングがなされ、いままで以上に多くの人がこの分野に注目しているのは、かなり本質的な変化が生じ始めているという意識があるからだ。そのなかには、銀行や証券会社等、既存の金融機関の業務を根幹から揺さぶるような変化の可能性や、貨幣の役割自体の変容、それらの変化に従って必要となる法律や政策の改革の必要性等が含まれる。

 ITなどを活用してさまざまな新しい金融サービスを提供するベンチャー事業者、いわゆるフィンテックベンチャーが多く現れてきているのが、現状のフィンテックの一面である。しかし、その裏側には、このような本質的な変化が現在の金融システムの根幹を変えていくのではないか、という認識が存在している。それが、現在フィンテックがこれだけ内外で注目されている1つの理由であろう。

 少し見方を変えていえば、フィンテックベンチャーが積極的に活動できるような環境を整えていくことが、変わっていく金融システムの新しい姿をより良いものにしていくうえで、1つのポイントになっていく。

フィンテックベンチャーの活躍が鍵

 この観点から高野真氏は日本のベンチャー企業が伸びてこない理由を挙げ、フィンテックベンチャーにも同様な問題点があると指摘する。そして、その解決策として、大企業である銀行がフィンテックベンチャーと積極的に融合する動きが重要だと説く。そして、そのための制度整備の重要性も指摘している。

 増島雅和氏も、日本のベンチャービジネスがなかなか盛り上がらない点を、問題視している。これは世界的にみても特異であり、フィンテックベンチャーを考えるうえで大きな問題だという意識があるからだろう。その要因として資金提供側のベンチャーキャピタルの問題点を指摘するとともに、最初から世界を相手にするグローバルスタートアップが方法論として確立しつつある点を指摘し、日本がこの点で後れを取っている点にも警告を発している。

 瀧俊雄氏もやはり、日本のベンチャー起業家がそもそも少ない点を問題視し、それが、フィンテックベンチャーが増えないことにつながっていると考えているようだ。そして、その裏側として、長期雇用制度を前提とした日本的雇用慣行が、ベンチャー企業に転職することを難しくしているとして、大企業とベンチャーを行き来するような人事システムを作り上げることの重要性を指摘している。

 この3者の主張の根底にあるのは、フィンテックビジネスを今後盛り上げていくうえで重要なのは、フィンテックベンチャーと呼ばれる新しい企業であり、ベンチャー企業がそもそも活躍しにくい日本においては、その点から改めていく必要があるという問題意識であろう。

制度整備とセキュリティーの後押し

 そして、発展をさせていくうえでの、制度的な整備の重要性を指摘しているのが、神田潤一氏である。フィンテックベンチャーが発展していくためには、新しい多様なアイデアをもった人たちが集まる必要があり、また試行錯誤を許容するような社会の実現が必要だと指摘する。そして、そのような制度設計を規制とバランスを取りながら考えていく必要性が述べられている。

 さらには、金融分野、とくにITを活用していく新しいサービスを提供するにあたっては、セキュリティー技術が大きなポイントとなる。しかし、齋藤ウィリアム浩幸氏は、セキュリティーは技術の問題だけではなく、人々の安全意識等も絡む問題であると指摘する。そして、高齢化社会になる日本において、高齢者でも安心して使えるセキュリティーシステムをつくっていくことで、世界的にも大きな活路を見いだせると主張している。

フィンテックベンチャーが伸展する条件について、5人の識者はどう考えているか
(※文字の大きさは、インタビューで識者が使用した頻度を示している。)

 いま起きている動きのポイントは、技術革新の進展によって、産業の垣根を越えるコストが大幅に低下している点にある。この点では、フィンテックベンチャーだけでなく、金融および他産業の既存企業にとって、大きなチャンスが到来しているといえる。金融分野では、システムの健全性や安全性が他産業以上に重要であるが、それを維持しながら、いかにいままでになかったより良いサービスを作り出せるかが、今後の日本の金融業および経済全体にとって重要な課題であろう。

識者に問う

わが国でフィンテックベンチャーが伸びていくための条件は何か。フィンテック発展のために今取り組むべき課題は何か。

オープンイノベーションがもたらす既存銀行とベンチャーの融合

高野真

株式会社アトミックスメディア代表取締役CEO/フォーブスジャパン編集長

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社内起業家、銀行API、オープンイノベーション、業務範囲規制の緩和、プルマーケット

 日本でベンチャー企業が伸びてこない理由は、次の3要素が不足しているからだ。リスクを積極的に取りに行こうとする投資家、失敗を許容するカルチャー、そして高い志をもった起業家だ。これはフィンテックベンチャーでも同じ事がいえる。

 一方、日本にある要素は、お金や人材、そしてアイデアといったものだが、これらはむしろ大企業にある。まずは大企業である銀行がベンチャーと戦うのでなく、取り込んでいくことが重要だ。銀行の業態を、きちんとフィンテックベンチャーと融合し、トランスフォームしていく動きが求められる。

 具体的には、銀行内部の人材をイントレプレナー、つまり社内起業家としてベンチャーに送り込むことが考えられる。銀行の人的リソースを開放して、ベンチャー企業を育てていくという発想だ。また、いまではまだ一部の銀行しか行なっていないことだが、銀行API(Application Programming Interface)を開放し、システム面でのオープンイノベーション戦略を推進していくことも重要となる。そして銀行のもつ資金力を生かすという点で、銀行がベンチャー企業に直接投資できるようにしていくことも必要となってくる。

 このように銀行がダイナミックかつ柔軟に動くためには制度の整備が欠かせない。銀行が新しい分野へ投資しやすいように、銀行の業務範囲規制を緩和すること、そしてAPI開放のためのガイドライン作りなどが求められる。その一方でベンチャー企業が、ECモールやP2Pレンディングを運営する際に、金融機関と同じような法律が適用されるよう整備することも重要だ。大手銀行とベンチャー企業が同じフィールドで業務をしていけるような、フェアな制度作りが必要となるだろう。

 フィンテックの発展は、マクロ経済にも変化をもたらすかもしれない。たとえば、これまで銀行や証券会社の社員が投資商品を売り込んでいた、いわゆるプッシュマーケットから、顧客がフィンテックのサービスを使い、自ら欲しいものを自分で選ぶプルマーケットへの移行だ。買い手が自ら選ぶ力をもったとき、「貯蓄から投資へ」の変化が本格化する可能性を秘めていると考えている。

識者が読者に推薦する1冊

Brett King〔2012〕"Bank 3.0:Why Banking is No Longer Somewhere You Go, But Something You Do" Marshall Cavendish International (Asia) Pte Ltd

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わが国でフィンテックベンチャーが伸びていくための条件は何か。フィンテック発展のために今取り組むべき課題は何か。

世界で戦えるスタートアップを創るために

増島雅和

森・濱田松本法律事務所パートナー弁護士

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ユニコーンベンチャー、ベンチャーキャピタル、人中心のグローバルチーム、Regulatory Sandbox

 日本のスタートアップ業界は、そのビジネス環境が世界の標準と大きくずれていることを理解しなければならない。日本はこれだけの経済規模がありながら、ユニコーンベンチャーと呼ばれる時価総額10億ドル以上のベンチャー企業が1つもなかった。最近になってようやく1社出てきたが、中国やインドにはすでに数多く存在し、韓国にも2社ある。

 この背景には、日本のベンチャーキャピタル(VC)の短期志向、そして投資がマイナスになることを何より恐れ、元本以上のエグジットであれば良しとする「銀行体質」と呼べる悪癖がある。いままでにない事業の将来性を評価することがVCの本来の使命だが、他の国での先例がないと日本のVCは投資評価をすることができない。こうした調達環境のもと、日本のスタートアップは、アメリカで提供されているサービスをまねて日本でローカルに展開するだけのビジネスになりがちだ。

 他方、台湾や香港など、もともと自国マーケットが小さな国のベンチャーは、アジア全体をカバーする事業計画を描かないと資金が付かない。アイデアはアメリカの2番煎じでも、彼らは初めからアジア市場全体をカバーできるビジネスモデルとサービスを作り上げることで、大きなビジネスを狙う。

 世界に通用するグローバルスタートアップをつくる方法論は定着しつつある。国境や地域といった概念を捨てて人を中心として組織とサービスを作り上げるモデルだ。各国で類似するサービスを出している企業同士が、買収という形でコラボレーションを実践する例もある。M&Aを「買うか、買われるか」という視点で捉えるのではなく、ローカルな経営陣を集めてグローバルなチームを作って世界をめざすという意識だ。

 もっとも、最高のチームができたからといって、それが常に成功に直結するわけではない。成功は試行錯誤の末にしか生まれない。成功への鍵は「何回試せるか」にある。規制が厳しい金融分野では、トライ&エラーのもとで事業を創出することを前提とした規制・制度の枠組みが必要になる。現在注目を集めている「Regulatory Sandbox(規制の砂場)」と呼ばれる仕組みは、金融ビジネスの創出に試行錯誤を許容する、規制サイドのイノベーションといえる。

識者が読者に推薦する1冊

Masahiko Aoki〔2010〕"Corporations in Evolving Diversity: Cognition, Governance, and Institutions" Oxford University Press (青木昌彦〔2011〕『コーポレーションの進化多様性―集合認知・ガバナンス・制度(叢書 制度を考える)』谷口和弘(翻訳)NTT出版)

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わが国でフィンテックベンチャーが伸びていくための条件は何か。フィンテック発展のために今取り組むべき課題は何か。

「3年後に違う仕事をする」が当たり前の環境を

瀧俊雄

株式会社マネーフォワード取締役/Fintech研究所長

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ミレニアル世代、人材の還流欠如、リボルビングドア、労働市場の相場感

 自分の人生を自分でコントロールしたいと思う若い消費者が増えている。「ミレニアル世代」と呼ばれる25~35歳前後の若者は、流されて何かを買うのではなく、自分で情報を調べて選んでいる。堅実で、支出抑制に積極的な彼らは「利便性」や「低コスト」に加えて「中立性」をも貪欲に求める。たとえば、ネットやスマホなどを使い、食べログや価格.comのような中立的なサービスにアクセスし、より安いものを求めるといった消費行動の変化だ。

 こうした「中立性」を重視する世代に対し、大手ITベンダーや金融機関が新しい金融サービスを提供しても新鮮な感動は呼べなくなっている。サービスにグループ企業のソリューションが混ざっているとみられるからだ。しがらみにとらわれずに研ぎ澄まされたプロダクトを出し、改良を繰り返すフィンテックベンチャーは、「中立性」において他の企業より一枚上手だ。

 いまの日本でフィンテックベンチャーは多くみても100社であり、ベンチャー起業家が増えていない。その最大の要因は、長期雇用制度に起因した、人材の還流の欠如だ。大企業を辞めて起業したり、ベンチャー企業へ転職をすることが、あたかも高速道路を降りて、一般道で行くようなイメージで捉えられてしまう。収入の面でも、大企業で年収1,200万円だった人が、ベンチャーに移った途端500万円になってしまう。職責の大きさや挑戦の楽しさといったメリットを勘案しても、これは飛び出す側には問題だ。熱い志をもった人が飛び出しやすく、3年後に違う仕事をしていることが当たり前の、アメリカのような労働市場の形成が必要だろう。

 アメリカの政治の世界に「リボルビングドア」という言葉がある。大企業とベンチャーを行き来するような選択の自由度が高まれば、労働市場の相場感も自然とできてくる。実際、アメリカでは経営者市場がきちんと成立しており、2、3億円を調達できたベンチャー企業は、大企業から引き抜いた幹部人材に対し、1,500万円を超える給料を支払っている。めざすべきは、働きに見合った収入がきちんと得られるという社会だろう。

識者が読者に推薦する1冊

Paul Graham〔2004〕"Hackers & Painters: Big Ideas from the Computer Age" O’Reilly Media, Inc. (ポール・グレアム〔2005〕『ハッカーと画家―コンピュータ時代の創造者たち』川合史朗(翻訳)オーム社)

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わが国でフィンテックベンチャーが伸びていくための条件は何か。フィンテック発展のために今取り組むべき課題は何か。

エコシステムの構築でフィンテック発展の後押しを

神田潤一

金融庁総務企画局企画課企画官

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エコシステム、ロンドン、人材と文化、競争促進

 日本でフィンテックベンチャーが伸びていくためには、多種多様な企業や研究者が出会い、有機的に結び付くことができる「エコシステム(生態系)」の構築が必要だ。モデルケースとなるのが海外の取り組みだろう。とくにロンドンは、かつては保守的で既存の金融機関の論理が強いなど東京と似ていたが、ここ5、6年で変わってきた。

 ロンドンが急速に変化した要因は、エコシステムを構築する際に、「人材」と「文化」を重要なポイントと考え、官民一体となって取り組んだことによる。

 ロンドンのエコシステムの仕掛け人の1人は、フィンテックベンチャー成功の鍵を握るのは技術が1%、残り99%は人材だ、という。実際に、カナリーワーフをはじめとするフィンテックの拠点では、金融、IT企業、大学の研究者、ベンチャー起業家などさまざまな人材が集積し、アイデアを切磋琢磨するような場となっている。

 また、フィンテックの拡大が既存の金融機関等の利害と対立した場合はどうするのかとの質問に対し、ロンドンで意見交換した政府幹部は迷わず「競争を促す政策を選ぶ」と断言していた。競争がイノベーションにつながる挑戦を促し、ユーザーの利便性を高め、自国の金融サービスの競争力の向上につながるとの信念が感じられる。

 日本政府も、こうした海外での取り組みを参考にしつつエコシステム構築に向け、しっかりとコミットしていく。一方で、こうした動きが金融業に与える影響等についての目配せも重要となる。

 5月には、銀行によるIT企業への出資の容易化、仮想通貨に関するマネーロンダリング・テロ資金供与対策等を盛り込んだ改正銀行法が成立した。金融審議会でも、決済業務にかかる横断的法制のあり方や、異業種グループから銀行業に参入する企業に対する規制のあり方などについての議論を継続することになるだろう。イノベーションを生む環境と、利用者保護・不正防止などのレギュレーションとのバランスを取りつつ、しっかりと取り組んでいきたい。

※一部内容を5月末時点の情報に更新しています。

識者が読者に推薦する1冊

日経コンピュータ(編)〔2015〕『FinTech革命―テクノロジーが溶かす金融の常識』日経BP社

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わが国でフィンテックベンチャーが伸びていくための条件は何か。フィンテック発展のために今取り組むべき課題は何か。

高齢化社会が日本のフィンテックにおけるチャンスだ

齋藤ウィリアム浩幸

株式会社インテカー代表取締役

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セキュリティー技術、安全・安心の問題、PROBLEMをOPPORTUNITYに

 フィンテックというと、「速く、安く、便利」な点に注目が集まるが、本質はそうではない。情報セキュリティーの分野に25年間関わってきた経験を振り返ると、いままでサイバーセキュリティー対策でやってきたことが、まさにフィンテックだと思っている。非接触型のSuicaにしても、クレジットカードにしても、これらは暗号技術の固まりである。セキュリティー技術こそが、フィンテックを皆が安心して使えるようになるための鍵だ。

 重要な点は、優れたセキュリティー技術を導入しても安全・安心の問題は解決しないということだ。たとえば、高齢者を狙った振り込め詐欺や不正送金を防ぐには、技術だけでは不十分だと思っている。メガバンクが、ランダムの番号が1分ごとに変わる「ワンタイムパスワード」という機械を配ってセキュリティーを強化している。しかし、あまり有効ではない。実際に、銀行員を装って番号を教えてほしいと電話すると、ほとんどの高齢者はだまされていると知らずに、パスワードとなる番号を読み上げてしまう。いくら技術が優れていても、セキュリティー対策にはならない。

 日本は、高齢者が多い社会であることを前提に、それにどう対応し、防ぐべきか、ということを考える必要がある。アメリカでよくいわれる「PROBLEM」を「OPPORTUNITY」に変えていくという発想だ。日本の高齢化とセキュリティーの問題を同時に解決することで、日本のフィンテックベンチャーの活路が見いだされるのではないか、と思っている。

 本来、日本には「安全・安心のDNA」がある。日本車にしても、イタリア車ほど格好よくはないけれど、1970年代、米国政府が課したマスキー法という排ガス規制をクリアし、安全・安心だから世界で買われている。「フィンテック=サイバーセキュリティー」を、高齢者でも安全・安心に使えるという保証を付けて、世界に売りに行く。この問題の解決策が日本で生まれれば、それは日本最大の輸出産業になりうる。

識者が読者に推薦する1冊

齋藤ウィリアム浩幸〔2016〕『ザ・チェンジ・メイカー―世界標準のチームリーダーになる49のレッスン』日本経済新聞出版社

引用を行う際には、以下を参考に出典の明記をお願いいたします。
(出典)NIRA総合研究開発機構(2016)「FinTechベンチャー発展の条件とは」わたしの構想No.24

ⓒ公益財団法人NIRA総合研究開発機構
編集:神田玲子、榊麻衣子、川本茉莉、原田和義、新井公夫
※本誌に関するご感想・ご意見をお寄せください。E-mail:info@nira.or.jp

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