論文NIRAモノグラフシリーズNo.27 2008.03.01 東アジア地域秩序の変容にどう関与するか この記事は分で読めます シェア Tweet 白石隆 政策研究大学院大学副学長/NIRA客員研究員 概要 中国の経済的台頭は、東アジア地域秩序にどのような変化をもたらしそうか。東南アジアの国々は中国の台頭にどう対応しているのか。日本はどう対応すればよいのか。 中国の台頭にともなって、中国中心の地域秩序が形成されつつあるわけではない。東南アジアの多くの国では、経済的相互依存の拡大とともに、中国との貿易拡大に応じて日本、米国、アセアン諸国との貿易も拡大している。また政治的には現在、マルティの地域協力はアセアン中心に進んでおり、それを踏まえた上で、各国はそれぞれの戦略によってバランスをとろうとしている。 東アジア地域秩序「進化」のために日本がなにをなすべきか。その一つは日米同盟堅持である。世界政治の構造は現在、米国一極システムから米欧中印の4極システムに移行しつつある。このシステムで日本はおそらく一極を構成することはない。しかし、日本はミドル・パワーとしてアジアにおいて決定的な役割をはたすことができる。 もう一つは経済協力・経済連携である。今日の世界は完全なアナキーではなく、相互依存が進展し、さまざまなかたちで世界的、地域的なガヴァナンスのしくみが形成されている。中国周辺の国々は経済的相互依存が進展すればするほど、中国への経済的依存を恐れることなく、中国との貿易を拡大することができる。また中国自身、その発展のためには、これからますます相互依存のネットワークに組み込まれていかざるを得ない。 日米同盟堅持と相互依存の推進、これこそ地域秩序「進化」の鍵である。 全文を読む INDEX 目次1. 貿易の動向2. マルティの関与3. バイの動向 (1)インドネシア (2)タイ (3)ミャンマー4. まとめ 図表表1 世界経済長期予測(国・地域GDP)表2 東アジアの都市人口増加予測、2000-2030年表3 メコン流域諸国の主要貿易相手表4 インドネシアの主要貿易相手 引用を行う際には、以下を参考に出典の明記をお願いいたします。(出典)白石隆(2008)「東アジア地域秩序の変容にどう関与するか」NIRAモノグラフシリーズNo.27 シェア Tweet ⓒ公益財団法人NIRA総合研究開発機構※本誌に関するご感想・ご意見をお寄せください。E-mail:info@nira.or.jp 研究の成果一覧へ