鈴木宣弘
東京大学大学院農学生命科学研究科教授

概要

 我が国の農産物市場が閉鎖的だというのは間違いである。日本ほどグローバル化した食料市場はないといってもよい。我々の体のエネルギーの61%もが海外の食料に依存していることが何よりの証拠である。

INDEX

目次

1. 日本の食料市場の閉鎖性と農業過保護論の誤解
2. 貿易自由化の圧力-土地賦存条件の認識の誤り
3. 食料自給率とナショナル・セキュリティ-日本への食料優先供給論の誤り
4. 国土環境と国民の健康-農業は環境にマイナスか
5. 狭義の経済効率を超えた総合的判断基準の必要性
6. 国際化の波に我が国の農業は立ち向かえるか
7. バランスのとれた現実的な政策論議の必要性

図表

図1 主要国の農産物平均関税率
表1 日米欧の国内保護比較
表2 米,乳製品を除外した日本のPSE構成(2003年)
図2 様々な輸出補助金の形態と輸出補助金相当額(ESE)
図3 米国酪農の消費者負担型輸出補助金
図4 米国の穀物等の実質的輸出補助金(日本のコメ価格で例示)
表3 白糖市場価格白糖市場価格(米ドル/トン)
表4 日タイ、日韓EPAによる各国の得失EPAによる各国の得失とセンシティブ品目除外効果(百万ドル)
表5 我が国の食料に関連する窒素需給の変遷
表6 世界保健機関の1日当たり許容摂取量(ADI)に対する日本人の年齢別窒素摂取量
表7 コメ関税撤廃の経済厚生・自給率・環境指標への影響試算
表8 米国の上限関税案が適用された場合の日本のコメ需給への影響
表9 WTO合意により加工原料乳価が漸次下落していく場合の影響の仮想的試算
表10 オーストラリアからの主な輸入農産物
表11 日豪EPAによる国内生産の減少額の推計(農林水産省等による試算)
表12 日豪EPAが北海道経済に与える損失(億円、北海道庁による試算)
表13 日韓中FTAにおけるコメ関税削減と共通農業政策による妥協点

引用を行う際には、以下を参考に出典の明記をお願いいたします。
(出典)鈴木宣弘(2008)「グローバル化と食料・農業:総合的視点の重要性」NIRAモノグラフシリーズNo.20

ⓒ公益財団法人NIRA総合研究開発機構

※本誌に関するご感想・ご意見をお寄せください。E-mail:info@nira.or.jp

研究の成果一覧へ