伊藤元重総合研究開発機構理事長 竹森俊平慶應義塾大学経済学部教授 大橋英敏モルガン・スタンレーMUFG証券株式会社債券調査本部長 富田俊基中央大学法学部教授 小幡績慶應義塾大学大学院経営管理研究科准教授 政策レビューNo.48 2010.09財政再建への途概要 わが国の債務残高の対GDP比は、主要先進国の中で最悪の水準だ。長年、歳出が税収を上回る状況が続き、国債残高は累積の一途をたどっている。現在、日本の国債価格は低く抑えられているが、ひとたび市場の信認を失い、利回りが上昇すれば、利払い費の増大でやがて財政は破綻する。ギリシャ危機は他人事ではない。国債を巡る金融市場や金利の動向をどう読み解けばよいか。各国の財政危機の経験から得られる教訓を踏まえ、わが国の財政問題を議論する。 全文を読む ■問題提起 財政再建への途 伊藤元重 総合研究開発機構理事長 ■視点・論点 1.目覚まし時計は鳴らない―ギリシャ危機からの教訓― 竹森俊平 慶應義塾大学経済学部教授 2.国債市場構造から見た金利上昇の可能性 大橋英敏 モルガン・スタンレーMUFG証券株式会社債券調査本部長 3.財政再建に奇策なし 富田俊基 中央大学法学部教授 4.思考実験として、あえて今、財政危機後の対応を考える 小幡績 慶應義塾大学大学院経営管理研究科准教授 伊藤元重(いとう もとしげ) NIRA理事長。東京大学経済学部卒。米国ロチェスター大学Ph.D.。専攻は国際経済学、流通論。1993年東京大学経済学部教授、96年同大学大学院経済学研究科教授、現在に至る。最新編著は『東アジアの地域連携を強化する』(2010年9月)総合研究開発機構。 竹森俊平(たけもり しゅんぺい) 1956年東京生まれ。81年慶應義塾大学経済学部卒業、86年同大学院経済学研究科修了。同大学経済学部助手、89年、米国ロチェスター大学経済学博士。97年より現職。主な著書に、『世界経済の謎』(1999年12月)、東洋経済新報社、『経済論戦は甦る』(2007年2月)、日本経済新聞出版社、『世界デフレは三度来る』上下(2006年4月)、講談社、『資本主義は嫌いですか』(2008年9月)、日本経済新聞出版社、『経済危機は9つの顔を持つ』(2009年8月)、日経BP社、『中央銀行は闘う-資本主義を救えるか』(2010年6月)、日本経済新聞出版社などがある。 大橋英敏(おおはし ひでとし) モルガン・スタンレーMUFG証券株式会社債券調査本部長マネージング・ディレクター。経済学修士(大阪大学)。聖心女子大学講師も兼任。著書に『クレジット投資のすべて』(2006年)、金融財政事情研究会など。 富田俊基(とみた としき) 1947年生まれ、関西学院大学経済学部卒業、71年野村総合研究所入社、96年同社研究理事。2005年より現職。1990年京都大学経済学博士。財政制度等審議会委員、国際投資家懇談会委員などを務める。主な著書に『冷戦後の世界経済システム』(1996年)、東洋経済新報社、『日本国債の研究』(2001年)、東洋経済新報社、『国債の歴史』(2006年)、東洋経済新報社、第49回日経・経済図書文化賞受賞。 小幡績(おばた せき) 1992年東京大学経済学部卒業、大蔵省(現財務省)入省、99年退職。2001~03年一橋大学経済研究所専任講師。03年より現職。ハーバード大学経済学博士(Ph.D.)。著書に『ネット株の心理学』(2006年)、毎日コミュニケーションズ、『すべての経済はバブルに通じる』(2008年)、光文社など。 ⓒ公益財団法人NIRA総合研究開発機構※本誌に関するご感想・ご意見をお寄せください。E-mail:info@nira.or.jp