伊藤元重総合研究開発機構理事長 樋口美雄慶應義塾大学商学部教授 阿部正浩獨協大学経済学部教授 神野真敏総合研究開発機構ジュニアリサーチフェロー 安井健悟立命館大学経済学部准教授 政策レビューNo.46 2010.03長期的視点での雇用政策を概要 世界同時不況は雇用にも深刻な影響を与え、昨年は完全失業率、有効求人倍率ともに悪化した。2008年末に派遣切りとなった人たちが身を寄せた「年越し派遣村」は、今も記憶に新しい。日本の雇用政策は、足元の厳しい状況への対応に迫られるが、同時に、産業構造の変化やグローバル化を踏まえ、労働市場や雇用慣行などの構造的な改革を進める視点も失ってはならないだろう。いま、雇用政策はどうあるべきか、議論する。 全文を読む ■問題提起 長期的視点での雇用政策を 伊藤元重 総合研究開発機構理事長 ■視点・論点 1.いま求められる日本の雇用戦略 樋口美雄 慶應義塾大学商学部教授 2.若年労働市場と雇用政策―求められる雇用創出への挑戦― 阿部正浩 獨協大学経済学部教授 3.年齢区分による生産性と若年雇用問題 神野真敏 総合研究開発機構ジュニアリサーチフェロー 4.雇用リスクへの対応を考える―実証研究のサーベイ― 安井健悟 立命館大学経済学部准教授 伊藤元重(いとう もとしげ) NIRA理事長。東京大学経済学部卒。米国ロチェスター大学Ph.D.。専攻は国際経済学、流通論。1993年東京大学経済学部教授、96年同大学大学院経済学研究科教授、現在に至る。最新編著『日本の医療は変えられる』NIRA編、(2009年12月)東洋経済新報社。 樋口美雄(ひぐち よしお) 慶應義塾大学博士課程修了。博士(商学)。専門は、労働経済学、計量経済学。慶應義塾大学商学部助教授を経て、1991年より現職。最近の著書に『日本経済の構造変化と景気回復』(2009年12月)(樋口美雄・財務省財務総合政策研究所編著)日本評論社。 阿部正浩(あべ まさひろ) 1966年生。福島県出身。慶應義塾大学商学部卒業、慶應義塾大学大学院商学研究科満期退学。博士(商学)。一橋大学経済学部経済研究所助教授を経て、現職。主な著書に『日本経済の環境変化と労働市場』(2005年)東洋経済新報社、『キャリアのみかた』(共編著、2010年)有斐閣がある。 神野真敏(じんの まさとし) 1972年生。愛知県出身。大阪外国語大学外国語学部卒業、名古屋大学大学院経済学研究科修了。博士(経済学)。名古屋大学大学院特別研究員を経て、現職。主な研究に、“Is it beneficial for households without children to subsidy the cost of rearing children to increase pension benefits?”(Economics Bulletin, 2008)などがある。 安井健悟(やすい けんご) 慶應義塾大学経済学部卒業、大阪大学大学院博士後期課程修了。博士(経済学)。一橋大学経済研究所専任講師等を経て現職。最近の主な論文に「教育が賃金にもたらす因果的な効果について―手法のサーヴェイと新たな推定」、『日本労働研究雑誌』(No.588、2009年)。専攻は労働経済学。 ⓒ公益財団法人NIRA総合研究開発機構※本誌に関するご感想・ご意見をお寄せください。E-mail:info@nira.or.jp