伊藤元重
総合研究開発機構理事長

松本恒雄
一橋大学教授/消費者委員会初代委員長

坂東俊矢
京都産業大学法務研究科教授

坂田進
前内閣官房消費者行政一元化準備室企画官

稲見裕介
総合研究開発機構ジュニアリサーチフェロー

 政策レビューNo.44  2009.11

新しい消費者行政へ

概要

 2009年9月1日、消費者庁が新たに発足した。家庭用器具や食品による死亡事故、食品の偽装表示など、国民の生命にかかわる重大情報が国民へ迅速に伝わらなかったのは、「縦割り行政」の弊害によるとの反省が背景にある。消費者庁の発足により、消費者行政の一元化や対応窓口の一本化が期待されている。本号では、消費者庁に期待される「消費者目線の施策」はどうあるべきか、その役割と課題について議論する。

■問題提起
 新しい消費者行政へ
 伊藤元重 総合研究開発機構理事長

■視点・論点
 1.消費者庁発足の意義と今後の課題
 松本恒雄 一橋大学教授/消費者委員会初代委員長

 2.消費者庁に期待される「消費者目線」の施策の展開
 坂東俊矢 京都産業大学法務研究科教授

■論点の背景
 消費者・生活者の視点に立つ行政への転換―消費者庁と消費者委員会の設立
 坂田進 前内閣官房消費者行政一元化準備室企画官

■政策研究の最前線
 監督カレッジの役割とその可能性
 稲見裕介 総合研究開発機構ジュニアリサーチフェロー

伊藤元重(いとう もとしげ)
NIRA理事長。東京大学経済学部卒。米国ロチェスター大学Ph.D.。専攻は国際経済学、流通論。1993年東京大学経済学部教授、96年同大学大学院経済学研究科教授、現在に至る。最新著『危機を超えて―すべてがわかる「世界の大不況」講義』(2009年)、講談社。

松本恒雄(まつもと つねお)
1974年京都大学法学部卒。広島大学、大阪市立大学を経て、91年から一橋大学教授、2009年から一橋大学法科大学院長。専門は、民法、消費者法、IT法。消費者行政推進会議委員、消費者委員会初代委員長。

坂東俊矢(ばんどう としや)
2004年から現職。専攻は、民法・消費者法・消費者政策。適格消費者団体であるNPO消費者支援機構関西(KC’s)常任理事、京都府消費者審議会会長代理、弁護士として、多方面から消費者問題と法の適用にかかわる。

坂田進(さかた すすむ)
1990年経済企画庁入庁。国民生活局、調整局、内閣安全保障室などを経て、2001年欧州連合日本政府代表部一等書記官。その後、内閣府国民生活局に戻り、独立行政法人国民生活センター企画調整課長を経て、内閣官房にて消費者行政の一元化の作業に携わる。

稲見裕介(いなみ ゆうすけ)
2003年3月、早稲田大学社会科学部卒業。2009年3月、京都大学大学院経済学研究科博士課程単位取得退学。2009年4月より現職。

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