伊藤元重総合研究開発機構理事長 浜田宏一イェール大学経済学部教授 八田達夫政策研究大学院大学学長 脇田成首都大学東京教授 森直子総合研究開発機構リサーチフェロー 政策レビューNo.40 2009.07ケインズ政策再考概要 リーマンショックを契機に世界経済は激震に見舞われ、各国で積極的な財政支出政策がとられている。金融危機以前は「ケインズは死んだ」とすら言われ、ケインズ政策を過去のものと考える風潮もあったが、今回の世界的同時不況で復権した形だ。それでは、日本の現在の政策は有効に機能しているのだろうか。大恐慌以来といわれる危機的な事態だからこそ、政策のあるべき姿について本質的な議論が必要だ。日本のケインズ政策の課題を議論する。 全文を読む ■問題提起 ケインズ政策再考 伊藤元重 総合研究開発機構理事長 ■視点・論点 1.金融・財政のより調和の取れた政策運営を 浜田宏一 イェール大学経済学部教授 2.国債が将来世代に残す負担 八田達夫 政策研究大学院大学学長 ■論点の背景 トレンドとサイクルからみたマクロ経済「診断」と「治療」 脇田成 首都大学東京教授 ■政策研究の最前線 不況の中での自営業創業支援 森直子 総合研究開発機構リサーチフェロー 伊藤元重(いとう もとしげ) NIRA理事長。東京大学経済学部卒。米国ロチェスター大学Ph.D.。専攻は国際経済学、流通論。1993年東京大学経済学部教授、96年同大学大学院経済学研究科教授、2007年から同大学院経済学研究科長(経済学部長)。最新著『危機を超えて―すべてがわかる「世界の大不況」講義』(2009年)、講談社。 浜田宏一(はまだ こういち) 東京大学法学部、同経済学部卒。イェール大学Ph.D.(経済学)。専門は国際金融論。東京大学経済学部助教授、同教授を経て、1986年より現職。内閣府経済社会総合研究所長(2001~03年)、法と経済学会初代会長など歴任。著書に『エール大学の書斎から』(1993年)、NTT出版、『国際金融の政治経済学』(1982年)、創文社ほか。 八田達夫(はった たつお) 1943年生れ。国際基督教大学教養学部卒、Ph.D. in Economics(米ジョンズホプキンス大学)。米ブルッキングス研究所経済研究員、米オハイオ州立大学経済学部助教授、米ジョンズ・ホプキンス大学経済学部教授、大阪大学社会経済研究所教授、所長、東京大学空間情報科学研究センター教授、国際基督教大学教養学部教授を経て2007年4月より現職。規制改革会議委員(議長代理)など歴任。専門分野は公共経済学。著書に『年金改革論』(1999年)、(共著)、日本経済新聞出版社、編著書に『都心回帰の経済学』(2006年)、日本経済新聞出版社、『ミクロ経済学Ⅰ』(2008年)、東洋経済新報社などがある。 脇田成(わきた しげる) 1961年生まれ。東京大学経済学部卒業。東京大学助手等を経て、現在首都大学東京教授。博士(経済学)。マクロ経済学・労働経済学専攻。著書に『マクロ経済学のナビゲーター第2版』(2004)、日本評論社、『日本経済のパースペクティブ』(2008)、有斐閣など。ホームページはhttp://www.comp.tmu.ac.jp/wakitaweb/。 森直子(もり なおこ) 2004年東京大学大学院経済学研究科博士課程満期退学。社会経済生産性本部、海外経済協力基金開発援助研究所、国際協力銀行開発三部、政策研究大学院大学COEオーラル・政策研究プロジェクトを経て、2005年4月NIRA入職。国際研究交流部研究員を経て、2007年11月より現職。 ⓒ公益財団法人NIRA総合研究開発機構※本誌に関するご感想・ご意見をお寄せください。E-mail:info@nira.or.jp