伊藤元重総合研究開発機構理事長 井堀利宏東京大学大学院経済学研究科教授 田近栄治一橋大学国際・公共政策大学院教授 中里透上智大学経済学部准教授 畑佐伸英総合研究開発機構リサーチフェロー 政策レビューNo.39 2009.06変化に対応する税制の構築概要 日本の消費税は、1997年に5%に引き上げられたのを最後に、税率が据え置かれてきた。この間、少子高齢化の進展を背景に社会保障費が急増した一方、税収は伸びず、わが国の財政状況は著しく悪化している。グローバル化の中、法人税の見直しも迫られている。地球温暖化対策では、炭素税が選択肢の一つになり得る。経済や社会の状況変化に柔軟に対応できる税制の構築が、本当の意味での国民の利益ではないだろうか。日本の税制をどう改革すべきか、議論する。 全文を読む ■問題提起 変化に対応する税制の構築 伊藤元重 総合研究開発機構理事長 ■視点・論点 1.税制改革と消費税のあり方 井堀利宏 東京大学大学院経済学研究科教授 2.日本のゆくえと税制 田近栄治 一橋大学国際・公共政策大学院教授 ■論点の背景 税収の動向と税制改革の注目点 中里透 上智大学経済学部准教授 ■政策研究の最前線 アジアとの共存共栄を目指して 畑佐伸英 総合研究開発機構リサーチフェロー 伊藤元重(いとう もとしげ) NIRA理事長。東京大学経済学部卒。米国ロチェスター大学Ph.D.。専攻は国際経済学、流通論。1993年東京大学経済学部教授、96年同大学大学院経済学研究科教授、2007年から同大学院経済学研究科長(経済学部長)。最新著『危機を超えて―すべてがわかる「世界の大不況」講義』(2009年)、講談社。 井堀利宏(いほり としひろ) 東京大学経済学部卒。ジョンズホプキンス大学Ph.D.。専門は財政学、公共経済学。東京都立大学経済学部助教授、大阪大学経済学部助教授、東京大学経済学部助教授、同教授を経て、1996年より現職。主要著書に『小さな政府の落とし穴』(2007年)、日本経済新聞出版社、『「歳出の無駄」の研究』(2008年)、日本経済新聞出版社ほか。 田近栄治(たぢか えいじ) 1973年一橋大学経済学部卒業、81年ミネソタ大学経済学博士。専門は財政学。最近の著作『日本の所得分配』(2006年)、東京大学出版会、『アジア投資からみた日本企業の課税』(2007年)、中央経済社、『次世代型医療制度改革』(近刊)、ミネルヴァ書房、ともに共編著など。 中里透(なかざと とおる) 1965年生まれ。88年東京大学経済学部卒業。日本開発銀行(現日本政策投資銀行)設備投資研究所、東京大学経済学部助手などを経て現職。専門はマクロ経済学・財政運営。論文に「財政収支と債券市場」(『日本経済研究』第58号、日本経済研究センター、2008年)など。 畑佐伸英(はたさ のぶひで) 2002年名古屋大学大学院国際開発研究科より博士(学術)取得。国連アジア太平洋経済社会委員会社会開発部インターン、早稲田大学アジア太平洋研究センター助手、アジア開発銀行研究所リサーチ・アソシエイト、首都大学東京都市教養学部研究員、総合研究開発機構国際研究交流部研究員などを経て、2007年11月より現職。 ⓒ公益財団法人NIRA総合研究開発機構※本誌に関するご感想・ご意見をお寄せください。E-mail:info@nira.or.jp