伊藤元重総合研究開発機構理事長 西條辰義大阪大学サステイナビリティサイエンス研究機構教授 若林雅代・杉山大志(財)電力中央研究所社会経済研究所 小川順子(財)日本エネルギー経済研究所地球環境ユニット研究員 平井照水総合研究開発機構リサーチフェロー 政策レビューNo.23 2008.02有効な温暖化対策とは概要 洞爺湖サミットでは、地球環境問題が最大のテーマとなる。ポスト京都議定書の仕組みをどう構築し、米国や中国など温暖化ガスを大量に排出する国にどう参加を促していくのか注目される。京都議定書で決めた、現実的ではない排出量削減の目標をどうするのか。目標を確実に実現していくには何が有効なのか。先進国と途上国間の排出の格差の問題をどう解消すべきか。温暖化ガス排出抑制の問題は、地球上のすべての経済活動に関わる問題である。より望ましい対策を取る上での課題と展望について、議論する。 全文を読む ■問題提起 有効な温暖化対策とは 伊藤元重 総合研究開発機構理事長 ■視点・論点 1.温暖化対策のパースペクティブ 西條辰義 大阪大学サステイナビリティサイエンス研究機構教授 2.排出権取引制度は温暖化防止につながるか? 若林雅代・杉山大志 (財)電力中央研究所社会経済研究所 ■論点の背景 地球温暖化問題の特徴~その複雑性と将来枠組みの視点~ 小川順子 (財)日本エネルギー経済研究所地球環境ユニット研究員 ■政策研究の最前線 政策からみる国のかたち―予防外交と人間の安全保障― 平井照水 総合研究開発機構リサーチフェロー 伊藤元重(いとう もとしげ) 現東京大学大学院経済学研究科研究科長(経済学部長)。2006年2月より総合研究開発機構理事長。07年11月から財団法人総合研究開発機構理事長。専攻は国際経済学、流通論。著書に『日本の空を問う―なぜ世界から取り残されるのか』(共著)[2007]ほか多数。 西條辰義(さいじょう たつよし) ミネソタ大学大学院Ph.D.。オハイオ州立大学、カルフォルニア大学サンタバーバラ校、ワシントン大学(セントルイス)、筑波大学を経て大阪大学社会経済研究所教授、現在に至る。CASSEL at UCLAの研究員を兼務。専門は制度設計工学。特定領域研究「実験社会科学」の代表者。 杉山大志(すぎやま たいし) 東京大学工学系研究科物理工学専攻修了。(財)電力中央研究所勤務、研究プロジェクト「温暖化防止政策の分析と提言」課題責任者。IPCC第4次評価報告書第3部会および統合評価書主著者。著書に『これが正しい温暖化対策』[2007]エネルギーフォーラム(編集)等。 若林雅代(わかばやし まさよ) 上智大学経済学部卒。(財)電力中央研究所勤務、研究プロジェクト「温暖化防止政策の分析と提言」に従事。著書に“Reality Check :The Nature And Performance of Voluntary Environmental Programs in the United States, Europe, And Japan”[2007]RFF Press(共著)、『これが正しい温暖化対策』[2007]エネルギーフォーラム(共著)等。 小川順子(おがわ じゅんこ) 青山学院大学大学院国際政治経済学専攻修了。国際経済学修士。(財)日本エネルギー経済研究所地球環境ユニット研究員。専門は地球温暖化関連政策分析、エネルギー需給分析。 平井照水(ひらい てるみ) 津田塾大学卒業。スウェーデン・ウプサラ大学平和紛争学部ディプロマ。関心領域は、予防外交、人間の安全保障、国際関係など。主要著書(共著)として、『人間の安全保障の射程―アフリカにおける課題』日本貿易振興機構アジア経済研究所[2006年]、『アフガニスタン―再建と復興への挑戦』日本経済評論社[2004年]、『脱冷戦終結後世界の紛争』南窓社[1998年]、『変容する日米安保政策コミュニティー第2回読売論壇新人賞入選論文集』読売新聞社[1997年]、『予防外交』国際書院[1996年]など。 ⓒ公益財団法人NIRA総合研究開発機構※本誌に関するご感想・ご意見をお寄せください。E-mail:info@nira.or.jp