伊藤元重総合研究開発機構理事長 岩武俊広社団法人日本自動車工業会参与・国際統括部長 今野正弘全国農業協同組合中央会農政部長 椋寛学習院大学経済学部准教授 政策レビューNo.20 2007.10日豪EPAへの期待と不安概要 日豪EPA/FTA(経済連携協定/自由貿易協定)に関する論議の最大のポイントが農業問題である。今回の日豪EPA締結を実現できるか否かは、日本の今後のEPA戦略の試金石となる。主要国が積極的にFTAの交渉に取り組んでいる一方で、日本は農業問題での調整を成功させないかぎり、EPA/FTA戦略は頓挫する。従来通り農業を保護し続けるだけでは、日本の農業はますます競争力を失うだろう。日本の市場を開放していくことは、日本が持続的繁栄を続けていくために必須の条件である。日豪EPAの課題について、議論する。 全文を読む ■問題提起 日豪EPAへの期待と不安 伊藤元重 総合研究開発機構理事長 ■視点・論点 1.日・豪経済連携協定への期待 岩武俊広 社団法人日本自動車工業会参与・国際統括部長 2.日豪EPAの問題点 今野正弘 全国農業協同組合中央会農政部長 ■論点の背景 FTA締結競争下の日豪FTAの役割 椋寛 学習院大学経済学部准教授 伊藤元重(いとう もとしげ) 東京大学経済学部卒。米国ロチェスター大学Ph.D.。専攻は国際経済学、流通論。1993年東京大学経済学部教授、96年同大学大学院経済学研究科教授、現在に至る。2006年2月よりNIRA理事長。最新刊『日本の空を問う―なぜ世界から取り残されるのか』(下井直毅との共著)[2007]日本経済新聞出版社。 岩武俊広(いわたけ としひろ) 1971年東北大学卒業後、(社)日本自動車工業会入会。国際部副部長、ワシントン事務所長、国際統括部長を経て、2004年より現職。専門分野は通商・国際関係で最近では各国との経済連携交渉に係わる傍ら、「APEC自動車ダイアログ」、安倍前首相提唱の「アジア・ゲートウェイ戦略会議」、経済産業省・国土交通省の「国際物流競争力パートナーシップ」等での政策検討にも参加している。 今野正弘(こんの まさひろ) 国際基督教大学卒業、1980年4月全国農業協同組合中央会(JA全中)入会。役員室長、広報部長、WTO・EPA対策室長を経て、2006年8月より農政部長。 椋寛(むくのき ひろし) 1997年横浜国立大学経済学部卒業。2002年東京大学大学院経済学研究科博士課程単位取得退学。東京大学博士(経済学)。日本学術振興会特別研究員、学習院大学専任講師、同助教授を経て現職。専門は国際貿易論。 ⓒ公益財団法人NIRA総合研究開発機構※本誌に関するご感想・ご意見をお寄せください。E-mail:info@nira.or.jp