伊藤元重
総合研究開発機構理事長

小塩隆士
神戸大学大学院経済学研究科教授

駒村康平
慶應義塾大学経済学部教授

中嶋邦夫
(株)ニッセイ基礎研究所副主任研究員

 政策レビューNo.17  2007.07

年金制度への信頼・安心

概要

 社会保険庁による記載ミスや記載漏れなどで、年金制度が大きく揺れている。今、国民的な論議になっているのは、持続的な年金制度の確立についての前向きの政策論議ではない。まともに機能してこなかった社会保険庁のシステムを、国民の信頼を得られるものに構築する問題に焦点が当たっている。今回の一連の年金騒動をきっかけに、国民全体が冷静に年金のあるべき姿が論議できるように、現在の年金の姿ができるだけ分かりやすく正確に国民に伝えられなくてはいけない。年金制度の課題について、議論する。

■問題提起
 年金制度への信頼・安心
 伊藤元重 総合研究開発機構理事長

■視点・論点
 1.年金制度改革の新たな課題
 小塩隆士 神戸大学大学院経済学研究科教授

 2.年金改革に関する情報の重要性
 駒村康平 慶應義塾大学経済学部教授

■論点の背景
 持続可能性からみた2004年改正
 中嶋邦夫 (株)ニッセイ基礎研究所副主任研究員

伊藤元重(いとう もとしげ)
東京大学経済学部卒。米国ロチェスター大学Ph.D.。専攻は国際経済学、流通論。1993年東京大学経済学部教授、96年同大学大学院経済学研究科教授、現在に至る。2006年2月よりNIRA理事長。著書に『はじめての経済学(上・下)』[2004]日本経済新聞社等多数。

小塩隆士(おしお たかし)
東京大学教養学部卒。大阪大学博士(国際公共政策)。専攻は社会保障、公共経済学。2005年4月より神戸大学大学院経済学研究科教授。著書に『人口減少時代の社会保障改革』[2005]日本経済新聞社等。

駒村康平(こまむら こうへい)
慶應義塾大学大学院経済学研究科博士課程単位取得退学、博士(経済学)。国立社会保障・人口問題研究所研究員、東洋大学経済学部教授を経て2007年より現職。社会保障審議会福祉部会委員など。著書に『年金と家計の経済分析』[2000](共著)(東洋経済新報社)、『福祉の総合政策』[2005](創成社)、『年金はどうなる』[2003](岩波書店)、『社会保障の新たな制度設計 セーフティ・ネットからスプリング・ボードへ』[2005](編著)(慶應義塾大学出版会)

中嶋邦夫(なかしま くにお)
東京大学経済学部卒。2007年博士(東洋大学・経済学)取得。2002年より現職。専門は年金。主な論文に「マクロ経済スライド下における積立金運用でのリスク」[2006]『経済分析』No.178(共著)等。

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