[ゲスト]
ムン・ウシク
ソウル大学国際大学院教授

[聞き手]
伊藤元重
総合研究開発機構理事長
          

 対談シリーズNo.60  2011.02

キャンパス・アジア―日中韓の学生交流が新時代の人材を育てる―

概要

 今後の東アジアの地域連携において、 国境を越えたグローバルな活動を担う新たな人材をいかに育成していくかが新たな課題となっている中で「キャンパス・アジア(CAMPUS Asia)」についての議論が、日中韓3カ国で開始されている。同プロジェクトの取組や課題について、韓国側の代表者の1人である、ソウル大学国際大学院教授のムン・ウシク氏にお聞きした。

対談のポイント

●グローバルな人材育成の1つとして、日中韓3力国の学生交流の推進を目的とする「キャンパス・アジア」についての議論が進んでいる。
●「キャンパス・アジア」は複数の大学の学位を同時に取得できるダブルディグリーやジョイントディグリーの導入など、これまでにない特色を打ち出そうとしている。
●そのためには参加大学の教育の質を向上させ、レベルを保証していくことが不可欠である。
●「キャンパス・アジア」では共通語である英語も重要だが、むしろ各国が自国語で行うプログラムに力を注ぐ必要がある。それによって日中韓の複数の国を同時に経験できるユニークな機会を創出していくべきである。
●「キャンパス・アジア」は日中韓の相互理解を深めるだけにとどまらず、最終的にはアジア以外の学生も組み入れ、様々な文化を学び経験する場として大学を国際化していくことが期待される。

ムン・ウシク(Moon Woosik)
ソウル大学国際経済学部卒。1990年パリ第1大学(パンテオン・ソルボンヌ)経済学博士(Ph.D.)取得。韓国開発研究院(KDI)リサーチフェローとして勤務後、1997年よりソウル大学国際大学院経済学教授。韓国の外交通商部諮問委員会委員、教育科学技術部諮問委員会委員、企画財政部政策評価委員の他、ジャン・モネ・チェア(EU)、欧州統合センター上級研究員(独)、日中韓大学間交流・連携推進会議の大学間交流プログラム・ワーキンググループの共同議長も務める。研究テーマは、地域金融統合・協力。主な著書として、『地域統合:欧州とアジアの比較』(共編)[2005]をはじめ、「1997年韓国通貨危機:市場介入の現状と将来」[2006]、「通貨統合と東アジアの現状」[2006]、等論文多数。

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