[ゲスト]
北岡伸一
東京大学大学院法学政治学研究科教授

[聞き手]
伊藤元重
総合研究開発機構理事長
          

 対談シリーズNo.57  2010.11

東アジアの連携に向けて日本がなすべきこと

概要

 東アジアの地域連携を考える場合、急速に拡大している中国とどう関わっていくかということは、これからの日本の大きなテーマになるだろう。日本の外交はどうあるべきで、日本はどのような役割を果たすべきか。東京大学大学院法学政治学研究科教授の北岡伸一氏にお聞きした。

対談のポイント

●中国の行動様式の背景には、ガバナンスの問題や、最盛期の領土をもとにした「領土回復」の主張など、国際法とは異なったルール意識がある。
●日本は静かな外交を貫くこと、確固とした安全保障政策をベースにあるべきシナリオについて検討しておくこと、原則を同じくする国々との連携を強化していくことが大事である。
●東アジア地域連携における日本の役割は、「人権尊重、法の支配、民主主義」を中核とする先進的な原則を打ち立てていくことである。
●大きく動いているアジアに対して、日本はリスクをとっても行動していくよう、日本の政治やメディアを変えていく必要がある。

北岡伸一(きたおか しんいち)
東京大学法学部卒。1976年東京大学大学院博士課程修了。法学博士。専攻は日本政治外交史。立教大学教授を経て、1997年より東京大学法学部教授。2004~2006年国連次席大使。2006年東京大学法学部教授に復職。(特非)ミレニアム・プロミス・ジャパン会長。主な著書に『清沢冽』[1987]中公新書(サントリー学芸賞受賞)、『日米関係のリアリズム』[1991]中央公論社(読売論壇賞受賞)、『自民党―政権党の38年』[1995]読売新聞社(吉野作造賞受賞)、『国連の政治力学―日本はどこにいるのか』[2007]中央公論新社等多数。

ⓒ公益財団法人NIRA総合研究開発機構
※本誌に関するご感想・ご意見をお寄せください。E-mail:info@nira.or.jp