[ゲスト]
村井純
慶應義塾大学環境情報学部長 教授/政策・メディア研究科委員

[聞き手]
伊藤元重
総合研究開発機構理事長
          

 対談シリーズNo.52  2009.12

「何のために」が問われる日本の情報基盤

概要

 これまでは、ITには「何が出来るか」が追い求められてきた。しかし、これからは、われわれはITで「何をするのか」が問われる。社会インフラとしてのネットワークで何を共有するのか、慶應義塾大学環境情報学部長・教授、政策・メディア研究科委員の村井純氏にお聞きした。

対談のポイント

●「IT」という道具は、すべてのものを数字で扱えるツールである。これによって知識から芸術に至るまで、あらゆる分野の異なる物事を情報基盤という同じ社会インフラで共有することが可能となった。
●クラウド・コンピューティングの出現は、企業経営や行政の真の能力が問われる厳しい時代の幕開けである。これまでは、ITに「何が出来るか」が追い求められてきた。これからは、われわれは「何をするのか」という「戦略」こそが先になければならない。
●情報テクノロジーを評価する物差しは「人」と「社会」にある。人間の本質としての創造性や知性を支えるという意味においては、コンピュータの進化はこれからも決して止まることはない。

村井純(むらい じゅん)
慶應義塾大学卒。工学博士。専門はコンピュータコミュニケーション、オペレーティングシステム。1997年より慶應義塾大学環境情報学部教授、99年から 2005年、同大学 SFC研究所所長、2009年より同大学環境情報学部長。1984年に国内のインターネットの祖となった日本の大学間ネットワーク「JUNET」を設立、88年にはインターネットに関する研究プロジェクト「WIDEプロジェクト」を設立し、今日までその代表として指導にあたる。また、高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部(IT戦略本部)有識者本部員など各省庁の委員・委員長等多数を歴任するほか、国際学会などでも活動。主な著書に『インターネット』(1995年)岩波書店、『インターネットII』(1998年) 岩波書店、『日本でインターネットはどのように創られたのか?』(2009年)インプレスR&D、ほか多数。

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