[ゲスト]
松井孝典
千葉工業大学惑星探査研究センター所長/東京大学名誉教授

[聞き手]
伊藤元重
総合研究開発機構理事長
          

 対談シリーズNo.51  2009.10

日本の「科学技術政策」を問い直す

概要

 これまでの「科学技術政策」は富国強兵時代の発想を引きずっており、イノベーションの時代に向けて、抜本的な見直しと体制作りが喫緊の課題だ。広く日本の科学技術政策の問題や課題について、 千葉工業大学惑星探査研究センター教授、東京大学名誉教授の松井孝典氏にお聞きした。

対談のポイント

●これまでの「科学技術政策」は富国強兵時代の発想を引きずっておリ、新たなイノベーションの時代に向けて、抜本的な見直しと体制作リをする必要がある。
●基礎研究としての「科学」と、実用性に軸足をおいた「技術」を切リ離し、双方をバランスよく振興していくための戦略的な政策が不可欠。各省庁に分散した機能の一元化や、政策形成に科学者の専門的な知見が十分に反映されるしくみづくリ、大学の役割とあリ方の見直しなどが早急に求められる。
●科学と技術の領域で優れた人材を育成するためには、理科の魅力が伝わるような教育内容に工夫していく必要がある。科学政策は、研究を通じて若者に夢を与えるとともに、夢のゴールを示していくべきである。

松井孝典(まつい たかふみ)
千葉工業大学惑星探査研究センター所長、東京大学名誉教授。1946年静岡県生まれ。72年、東京大学大学院修了。NASA客員研究員、東京大学大学院教授などを経て、2009年4月から現職。理学博士。専門は地球惑星物理学。86年に科学雑誌『ネイチャー』に海の誕生を解明した「水惑星の理論」を発表し、世界的に注目された。最近はアストロバイオロジーに関する研究を実施。主要著書に『水惑星はなぜ生まれたか』、『地球・宇宙・そして人間』、『宇宙誌』、『宇宙人としての生き方』、『松井教授の東大駒場講義録』、『コトの本質』、『地球システムの崩壊』、『新版 地球進化論』、『再現!巨大隕石衝突―6500万年前の謎を解く』など多数。

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