[ゲスト]
井堀利宏
東京大学大学院経済学研究科教授

[聞き手]
伊藤元重
総合研究開発機構理事長
          

 対談シリーズNo.49  2009.07

高齢化社会を見据えた財政のあり方

概要

 これから少子高齢化がさらに進むと、社会保障費が膨らむことは自明であり、多くの人が漠然と財政破綻を懸念している。今後、抜本的な改革がないままに財政赤字・ 債務が積み上がっていくとどうなるのか。財政、税制の専門家である、東京大学大学院経済学研究科教授の井堀利宏氏にお聞きした。

対談のポイント

●日本で財政破綻が起きていないのは、消費税の水準が諸外国と比較して低く、増税の余地を残しているからだ。また、社会保障についても、団塊世代が後期高齢者になるまでに若干の時間があるため、それまでに本格的な改革をすることは可能だ。
●フローベースでの財政再建を2~3年で行うことは不可能ではないが、望ましい社会保障水準を維持しつつ、社会が「回っていく」ような財政の健全性を取リ戻すためには、消費税のアップが必要で、その税率は25〜30%になるであろう(井堀教授の試算)。
●また、歳出面では、量的には社会保障の支出額がもっとも大きく、年金・医療制度に手をつけられないとすると、全体的な財政改善の規模は限定的なものとなろう。

井堀利宏(いほり としひろ)
東京大学大学院経済学研究科教授。東京大学経済学部卒。ジョンズホプキンス大学Ph.D。専門は財政学、公共経済学。東京都立大学経済学部助教授、大阪大学経済学部助教授、東京大学経済学部助教授、同教授を経て、1996年より現職。主要著書に『小さな政府の落とし穴』(2007年)日本経済新聞社、『「歳出の無駄」の研究』(2008年)日本経済新聞出版社ほか。

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