English version 研究報告書 2020.11.01 どうすれば、日本企業がDX競争に勝てるのかDXならびにポストコロナ時代に向けた新経営戦略の実践 この記事は分で読めます シェア Tweet ウリケ・シェーデ カリフォルニア大学サンディエゴ校教授 概要 ポストコロナの世界でDX(デジタル変革)の必要性が高まる中、日本企業が競争力を高めるための経営戦略とは何か。今後、鍵となるのは、既存の中核事業を成長させながら、既存の事業とは全く質の異なる新しい事業を開拓する「両利きの経営」だ。その実現には、「社内のやり方(企業文化)」の変革と、人事改革が必須である。また、日本企業は、DXにおいて世界で後れを取っていると言われる中で、製造業などの例を通じて、競争優位に立つ企業が存在することを示す。 全文を読む PDF(English) INDEX ポイント●ポストコロナの世界でDX(デジタルトランスフォーメーション、デジタル変革)の必要性が高まる中、大きなビジネスチャンスをものにするためには、新しい戦略が必要となる。新しい意味での「選択と集中」を行う手法の一つが「両利きの経営」だろう。●両利きの経営の実践に役立つツールを3つ紹介する。1つ目は、「適合モデル」(アラインメント・モデル)である。戦略を実行するためには、成果の鍵(KSF)、人材 、人事システム、および「社内のやり方」(企業カルチャー)が緊密に適合している必要がある。適合モデルは、その適合性を判定するために活用できる。●2つ目は「DISCCモデル」である。これは「社内のやり方」の変化と捉え、変革を促す5段階のプログラムである。DISCCモデルを通じて、業務プロセス改革には人事改革が必要となることが明らかとなる。●3つ目は「9ボックス・グリッド」である。これは、評価と人材育成をリンクさせる1つの手法である。人材育成は従業員それぞれの目標に応じてカスタマイズされる。このような「社内のやり方」の変革と人事改革を組み合わせることで、両利きの経営を実現し、イノベーションを起こすことができるだろう。●「80 対 20 の法則」を考えると、20%の企業が、日本経済の活力・成功・効率・革新の 80%を占めている。本レポートでは、その 20%に焦点を当て、その一部が 21 世紀に競争するために「社内のやり方」と人事を変えるために何をしているかを説明する。 目次1. はじめに: 2つの衝撃 – デジタル変革とコロナ危機2. デジタル変革への戦略転換 1. デジタル変革の定義 2. インダストリー 4.0: 生産自動化ピラミッドの崩壊 3. 製造のデジタル化におけるグローバル競争3. 戦略実践:両利きの経営と「適合モデル」 1. 両利きの経営:事業の3つの「地平線」を一度に管理する 2. 戦略の実行: 「KSF・人材・人事システム・やり方」 の適合モデル4. 「社内のやり方」(企業カルチャー)変革のためのDISCCモデル 1. 「企業カルチャー」とは? 2. DISCCモデル: 「社内のやり方」変革のマネジメント 3. 効率性・生産性向上に向けた職場行動の変革 例:「イノベーション・ツーリズム」・ワークスペースリメーク・時間の価値5. 人材マネジメント改革: 新しい人事機能に向けて 1. 終身雇用の功罪 2. 働き方改革 3. 人事制度改革 4. 例: 9ボックス・グリッド 5. テレワークによってイノベーションを起こすための考え方6. 結論: デジタル変革とリーダーシップ図表図表1: 製造のデジタル化時代の価値創造 図表2: デジタル製造における競合状況 (例) 図表3: AI分野の主要な出願者(パテントファミリー数) 図表4: イノベーション戦略マップ 図表5: 事業の3つの「地平線」 図表6: モノづくり事業の適合モデル 図表7: 新イノベーション事業の適合モデル 図表8: 「社内のやり方変革」のDISCCモデル 図表9: パフォーマンス評価のための9ボックス・グリッド研究体制ウリケ・シェーデ カリフォルニア大学サンディエゴ校教授 引用を行う際には、以下を参考に出典の明記をお願いいたします。(出典)ウリケ・シェーデ(2020)「どうすれば、日本企業がDX競争に勝てるのかーDXならびにポストコロナ時代に向けた 新経営戦略の実践ー」NIRA研究報告書 シェア Tweet ⓒ公益財団法人NIRA総合研究開発機構※本誌に関するご感想・ご意見をお寄せください。E-mail:info@nira.or.jp 研究の成果一覧へ