NIRA総合研究開発機構

概要

 近年の先進各国の政治状況をみると、既成政党への否定的な動きが相次いでいる。その背景には、中間層が経済的に不安定化し、社会やエリート層への信頼が毀損したことがあると言われている。
従前より、NIRA総研は、自らの生き方を主体的に選択し、かつ積極的に社会を支えようとする自負と責任感を持った人々を「中核層」と名付け、日本社会の将来を担う新しい人々として育成することが重要であるとしてきた。
 中核層の意識はエリート層や一般層の意識とどのように異なるのであろうか。中核層は社会の担い手として期待できるのであろうか。中核層の意識を把握するためアンケート調査を実施した。

INDEX

目次

1. 調査の目的と概要
2. 中核層・エリート層の定義
3. 中核層・一般層・エリート層の属性
4. 家族・地域・政府への信頼度
5. 財政への意識
6. 消費増税への意識
7. 社会保障等の給付と負担への意識
8. 中核層の属性・信頼データ
9. 付録データ

図表

エリート以外の中核層に着目
中核層と他の層で年齢差はない
中核層と一般層の世帯年収の分布は類似
中核層と一般層の階層意識の分布は類似
全体的に、家族への信頼は高い
中核層は地域への信頼が高め
中核層は政府への信頼が高め
中核層は国家財政への理解が高い
いずれも過去10年間の財政状況が悪くなったという認識が強め
いずれも財政健全化は重要な課題であると認識
中核層は「予定通り引き上げ」が最も多い
国家財政への理解がある人は、「予定通り引き上げ」が多め
年齢の高い人のほうが「予定通り引き上げるべき」が多い
政府を信頼しているほうが「予定通り引き上げるべき」が多い
社会保障:現状維持が最多 給付充実、負担減少の希望も多い
現状維持が最も多く、次いで「給付充実、負担減少」を望む人が多い
負担減少の希望は、特に若い世代に
保育無償化:賛成が多い(全体割合)
保育無償化に20、30、60代が賛成
高等教育無償化:反対が多い(全体割合)
高等教育無償化はどの年代も反対が多い
中核層は男性がやや多め
中核層は一般層よりも学歴は高めだが満遍なく分布
中核層は一般層より正社員が多め
中核層と一般層は世帯年収の分布は類似
中核層と一般層の階層意識の分布は類似
中核層は自民党支持が多め
全体的に、家族への信頼は高い
一般層:給付の引き下げを容認する回答は少ない
中核層:給付の引き下げを容認する回答が相対的に多い
エリート層:負担増を容認する回答が他の層と比べてやや多め
3層とも、保育無償化は賛成が多め
3層とも、高等教育無償化は反対が多い

調査概要

調査対象:日本国内在住の20歳~69歳の男女
有効回答者数:5,420人
調査方法:インターネットを通じてアンケートに回答
調査期間:2017年9月19日~22日
結果は人口の性別・年代構成にあわせてウェイト補正を実施

研究体制

谷口将紀 東京大学大学院法学政治学研究科教授/NIRA総研理事
宇野重規 東京大学社会科学研究所教授/NIRA総研理事
柳川範之 東京大学大学院経済学研究科教授/NIRA総研理事
牛尾治朗 NIRA総研会長
神田玲子 NIRA総研理事・研究調査部長
尾崎大輔 NIRA総研研究コーディネーター・研究員
川本茉莉 NIRA総研研究コーディネーター・研究員

引用を行う際には、以下を参考に出典の明記をお願いいたします。
(出典)NIRA総合研究開発機構(2017)「中核層調査」

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