研究報告書 2017.10.13 中核層調査 この記事は分で読めます シェア Tweet NIRA総合研究開発機構 概要 近年の先進各国の政治状況をみると、既成政党への否定的な動きが相次いでいる。その背景には、中間層が経済的に不安定化し、社会やエリート層への信頼が毀損したことがあると言われている。従前より、NIRA総研は、自らの生き方を主体的に選択し、かつ積極的に社会を支えようとする自負と責任感を持った人々を「中核層」と名付け、日本社会の将来を担う新しい人々として育成することが重要であるとしてきた。 中核層の意識はエリート層や一般層の意識とどのように異なるのであろうか。中核層は社会の担い手として期待できるのであろうか。中核層の意識を把握するためアンケート調査を実施した。 全文を読む INDEX 目次1. 調査の目的と概要 2. 中核層・エリート層の定義 3. 中核層・一般層・エリート層の属性 4. 家族・地域・政府への信頼度 5. 財政への意識 6. 消費増税への意識 7. 社会保障等の給付と負担への意識 8. 中核層の属性・信頼データ 9. 付録データ 図表エリート以外の中核層に着目中核層と他の層で年齢差はない中核層と一般層の世帯年収の分布は類似中核層と一般層の階層意識の分布は類似全体的に、家族への信頼は高い中核層は地域への信頼が高め中核層は政府への信頼が高め中核層は国家財政への理解が高いいずれも過去10年間の財政状況が悪くなったという認識が強めいずれも財政健全化は重要な課題であると認識中核層は「予定通り引き上げ」が最も多い国家財政への理解がある人は、「予定通り引き上げ」が多め年齢の高い人のほうが「予定通り引き上げるべき」が多い政府を信頼しているほうが「予定通り引き上げるべき」が多い社会保障:現状維持が最多 給付充実、負担減少の希望も多い現状維持が最も多く、次いで「給付充実、負担減少」を望む人が多い負担減少の希望は、特に若い世代に保育無償化:賛成が多い(全体割合)保育無償化に20、30、60代が賛成高等教育無償化:反対が多い(全体割合)高等教育無償化はどの年代も反対が多い中核層は男性がやや多め中核層は一般層よりも学歴は高めだが満遍なく分布中核層は一般層より正社員が多め中核層と一般層は世帯年収の分布は類似中核層と一般層の階層意識の分布は類似中核層は自民党支持が多め全体的に、家族への信頼は高い一般層:給付の引き下げを容認する回答は少ない中核層:給付の引き下げを容認する回答が相対的に多いエリート層:負担増を容認する回答が他の層と比べてやや多め3層とも、保育無償化は賛成が多め3層とも、高等教育無償化は反対が多い 調査概要調査対象:日本国内在住の20歳~69歳の男女有効回答者数:5,420人調査方法:インターネットを通じてアンケートに回答調査期間:2017年9月19日~22日結果は人口の性別・年代構成にあわせてウェイト補正を実施研究体制谷口将紀 東京大学大学院法学政治学研究科教授/NIRA総研理事宇野重規 東京大学社会科学研究所教授/NIRA総研理事柳川範之 東京大学大学院経済学研究科教授/NIRA総研理事牛尾治朗 NIRA総研会長神田玲子 NIRA総研理事・研究調査部長尾崎大輔 NIRA総研研究コーディネーター・研究員川本茉莉 NIRA総研研究コーディネーター・研究員 引用を行う際には、以下を参考に出典の明記をお願いいたします。(出典)NIRA総合研究開発機構(2017)「中核層調査」 シェア Tweet 関連公表物 第3回中核層調査 NIRA総研 中核層が活躍できる社会の構築 牛尾治朗 宇野重規 ⓒ公益財団法人NIRA総合研究開発機構※本誌に関するご感想・ご意見をお寄せください。E-mail:info@nira.or.jp 研究の成果一覧へ