English version 論文NIRAモノグラフシリーズNo.04 2008.03.01 北上市における経営改革の取組み戦略的な行政経営への転換の試み この記事は分で読めます シェア Tweet 高橋謙輔 北上市商工部商工課商業係長 概要 岩手県北上市では、行政評価と戦略目標の管理を有機的に政策の意思決定に繋げる、行政経営によるマネジメント改革に取り組んでいる。 1991(平成3)年の合併以降継続して行革に取り組んでおり、職員数の削減等で大きな成果をあげてきた。しかし、現在では経営資源が継続的に縮減し、行財政運営に構造的な財源不足を生じている。このことから節減型の従来の行革だけでは運営を維持することが難しくなっており、構造改革の実行と、それに相応しい実効的な経営改革の実現が必要となっている。 構造的な財源不足への対応は、従来の事務事業の視点だけですべて整理することは難しく、行政の担うべき役割を見直し、政策や施策におけるまちづくり上の優先度や重要度を総合的に勘案することが求められている。また、施策一事務事業と予算の関係を可視化し、施策ごとの「強み」と「弱み」を確認のうえ、戦略的な意思決定(5W2Hの明確化)が必要であり、その結果を明らかにすることが、市民との対話や市民との協働も生むものと考えられる。 現在の基礎自治体は、国・都道府県等行政間での役割見直しと、行政・民間及び住民(国民)との役割見直しが同時に進行していて、役割や使命が大きく揺れている。多くの団体がそうであるように、北上市においても試行錯誤で対応している部分は否定できず、ノウハウを確立していかなければならない。 経営資源の縮小に対する対応を検討する中で、経営資源投入総額を決定するための中長期の財政見通しや資金計画の策定に当たって、少子高齢化の進行と経営資源の縮小を織り込んで、社会資本の維持費用と更新費用を資産ごとのライフサイクルコストとして積算し、資産の有効活用等「アセット・マネジメント」の必要性も認識している。課題は多いが経営改革を定着させなければならない。 全文を読む INDEX 目次第1章 北上市における経営改革への取組みの背景 はじめに 1 北上市の沿革 2 財政状況 3 行財政改革の経緯第2章 運営の課題認識と取組み方針 1 全庁で「従来の手法による課題」を論議する 2 取組み方針 3 技術的に対応を求められたこと第3章 行政経営への転換 1 経過 2 取組開始時の重要性 3 マネジメントフロー 4 個別各項目の概要 5 経営資源配分 6 施策評価第4章 これからの取組み 1 これまでの検証 2 組織行動の整合性 3 Ping! Pong! Pang!運動 4 市民参画と協働及び市民の意向把握おわりに図表図表1 北上市の製造品出荷額等図表2 北上市における最近の企業誘致数図表3 北上市普通会計決算状況、職員数推移図表4 北上市における普通交付税の推移図表5 北上市における改革の経緯図表6 マネジメント改革の庁内初期共有イメージ図表7 目標管理イメージ図表8 経営改革の経過図表9 北上市の「行政経営システム・マネジメントフロー」図表10 責任と役割図表11 事業類型図表12 改革体系図表13 業務棚卸表/上下に分割しているが、実際は連続している図表14 業務量算定表サンプル図表15 事業費算定表サンプル図表16 SWOT分析図表17 北上市のミッション管理概念図表18 資源配分の検討図表19 単年度資源投入額図表20 施策評価図表21 組織行動の整合性モデル図表22 北上市の施策に対する市民の意向調査結果の一部図表23 公益性の分析の基礎的な考え方 引用を行う際には、以下を参考に出典の明記をお願いいたします。(出典)高橋謙輔(2008)「北上市における経営改革の取組み-戦略的な行政経営への転換の試み-」NIRAモノグラフシリーズNo.04 ※本誌に関するご感想・ご意見をお寄せください。E-mail:info@nira.or.jp シェア Tweet ⓒ公益財団法人NIRA総合研究開発機構※本誌に関するご感想・ご意見をお寄せください。E-mail:info@nira.or.jp 研究の成果一覧へ