伊藤元重総合研究開発機構理事長 土居丈朗慶應義塾大学経済学部准教授 林宜嗣関西学院大学経済学部教授 比嘉正茂総合研究開発機構リサーチフェロー 辻明子総合研究開発機構リサーチフェロー 政策レビューNo.27 2008.06地方債発行に市場規律を概要 夕張市の財政再建団体への転落は、地方財政のガバナンスを考え直す重要な契機となった。地方財政は国に頼りすぎた結果、通常の組織では考えられないような放漫な財政運営が行われてきた。地方政府運営の健全性を確保するために、市場の規律というガバナンスメカニズムを活用することが、地方債の改革のもっとも重要な目的ではないだろうか。地方政府のガバナンスはどう確保したらよいか、議論する。 全文を読む ■問題提起 地方債発行に市場規律を 伊藤元重 総合研究開発機構理事長 ■視点・論点 1.地方債をめぐる最近の動向 土居丈朗 慶應義塾大学経済学部准教授 2.地方債制度の問題点と改革の方向 林宜嗣 関西学院大学経済学部教授 ■論点の背景 地方財政の現状と地方債制度 比嘉正茂 総合研究開発機構リサーチフェロー ■政策研究の最前線 公的政策情報を読み解く:将来推計、将来予測を理解するためのヒント 辻明子 総合研究開発機構リサーチフェロー 伊藤元重(いとう もとしげ) 東京大学経済学部卒。米国ロチェスター大学Ph.D.。専攻は国際経済学、流通論。1993年東京大学経済学部教授、96年同大学大学院経済学研究科教授、現在に至る。2006年2月よりNIRA理事長。最新著書は『キーワードで読み解く経済』[2008]NTT出版。 土居丈朗(どい たけろう) 大阪大学経済学部卒。1999年東京大学博士(経済学)取得。専攻は公共経済学、財政学。2002年より現職。著書に『三位一体改革ここが問題だ』[2004]東洋経済新報社、『地方債改革の経済学』[2007]日本経済新聞出版社等多数。 林宜嗣(はやし よしつぐ) 1978年関西学院大学大学院経済学研究科博士課程修了。関西学院大学経済学部助手を経て、1988年より同教授、現在に至る。著書に、『都市問題の経済学』(日本経済新聞社)、『新・地方分権の経済学』(日本評論社)、『財政危機の経済学』(日本評論社)他多数。政府税制調査会委員、地方制度調査会委員、国土審議会委員他を務める。 比嘉正茂(ひが まさしげ) 2005年明治大学大学院政治経済学研究科博士後期課程修了、博士(経済学)。明治大学政治経済学部助手を経て、2005年NIRA研究員、07年より現職。専攻は地域経済学、日本経済論。東京電機大学非常勤講師、日本女子大学非常勤講師。沖縄国際大学産業総合研究所特別研究員。 辻明子(つじ あきこ) 2001年早稲田大学大学院人間科学研究科博士課程修了。博士(人間科学)。早稲田大学人間科学部助手を経て2007年より現職。専門分野は社会学、人口学。 ⓒ公益財団法人NIRA総合研究開発機構※本誌に関するご感想・ご意見をお寄せください。E-mail:info@nira.or.jp