伊藤元重
総合研究開発機構理事長

福田慎一
東京大学大学院経済学研究科教授

嘉治佐保子
慶應義塾大学経済学部教授

勝悦子
明治大学政治経済学部教授

比嘉正茂
総合研究開発機構リサーチフェロー

 政策レビューNo.29  2008.08

新しい通貨制度へ向けて

概要

 サブプライムショックに端を発した世界的な金融危機の中心に、米国経済の減速の問題がある。基軸通貨であるドルの暴落が起きれば、世界の金融システムが揺らぐことになりかねない。通貨制度が大きく揺れる中で、各国は新たな通貨制度の模索を行っている。アジア域内の通貨協力の展望はどうか。ユーロの台頭で、世界はドルとユーロの2つの基軸通貨の制度に移行するのか。通貨制度が今後どう変化しうるのか、議論する。

■問題提起
 新しい通貨制度へ向けて
 伊藤元重 総合研究開発機構理事長

■視点・論点
 1.基軸通貨ドルと東アジアの国際資金フローの将来
 福田慎一 東京大学大学院経済学研究科教授

 2.為替レート体制の選択と現実
 嘉治佐保子 慶應義塾大学経済学部教授

■論点の背景
 国際通貨制度の現状とドル体制の行方
 勝悦子 明治大学政治経済学部教授

■政策研究の最前線
 包絡分析法を用いた政策評価
 比嘉正茂 総合研究開発機構リサーチフェロー

伊藤元重(いとう もとしげ)
東京大学経済学部卒。米国ロチェスター大学Ph.D.。専攻は国際経済学、流通論。1993年東京大学経済学部教授、96年同大学大学院経済学研究科教授、現在に至る。2006年2月よりNIRA理事長。最新著書は『キーワードで読み解く経済』[2008]NTT出版。

福田慎一(ふくだ しんいち)
1989年8月イェール大学大学院経済学部博士課程修了(Ph.D.)。横浜国立大学経済学部助教授、一橋大学経済研究所助教授、東京大学大学院経済学研究科助教授を経て、2001年12月より、現職。現在の研究分野は、金融論、マクロ経済学、国際金融。

嘉治佐保子(かじ さほこ)
慶應義塾大学経済学部卒。1992年米国ジョンズ・ホプキンス大学大学院経済学博士号(Ph.D.)取得。専攻は国際マクロ経済学、欧州経済。2007年より慶應義塾大学経済学部Professional Career Programme Co-ordinator。著書に『国際通貨体制の経済学』[2005]日本経済新聞社等多数。

勝悦子(かつ えつこ)
慶應義塾大学経済学部卒。(株)日本総合研究所調査部、茨城大学人文学部社会科学科助教授などを経て、2003年より現職。専門は国際金融,金融経済,経済政策。著書に『金融のメカニズム』(共著)[2006]中央経済社、『国際金融理論』(共著)[2008]有斐閣ほか。

比嘉正茂(ひが まさしげ)
2005年明治大学大学院政治経済学研究科博士後期課程修了、博士(経済学)。明治大学政治経済学部助手を経て、2005年より現職。専攻は地域経済学。東京電機大学非常勤講師、日本女子大学非常勤講師。沖縄国際大学産業総合研究所特別研究員。

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