[ゲスト]
水野弘道
コラーキャピタルパートナー

[聞き手]
柳川範之
総合研究開発機構理事/東京大学大学院経済学研究科准教授
          

 対談シリーズNo.56  2010.06

海外投資家の目から見た日本の「成長」

概要

 日本の状況は、「アジアの成長」からはあまりにもかけ離れている。長期的展望に基づく経済成長へのコンセンサスもなく、マクロレベルで日本の成長を投資対象としている投資家はほとんどいない。日本は世界からどのように見えているのか、どのようなポジションにあるのか、また、その問題点について、コラーキャピタルパートナーの水野弘道氏にお聞きした。

対談のポイント

●日本の状況は「アジアの成長」からは、あまりにもかけ離れている。日本の成長をマクロレベルで投資の対象とする投資家はほとんどいない。長期的展望に基づく経済成長へのコンセンサスが日本政府にも日本国民にもないように見えるからである。コンセンサスがないので政策に整合性がない。
●国民の貯蓄の大半は国債保有に回さざるをえない状況であるから、成長のためには、日本はより積極的に海外からリスク・キャピタルを呼び込まなければならない。
●日本の投資家も企業もリスクとリターンのバランスが取れていない。低収益で長期間事業を続けることのリスクを認識し、素早く事業の見切りをつけることが、高成長のベンチャーを生み出す原動力になる。
●グローバルな競争の中で成長するために、全ての企業が生き残るのではなく、競争力のある企業を伸ばしていく政策を選択すべきである。

水野 弘道(みずの ひろみち)
大阪市立大学法学部卒業。ノースウェスタン大学ケロッグ経営大学院よりMBA取得。日系信託銀行で、航空機ファイナンス、海外融資案件審査を担当後、シリコンバレー、ニューヨーク支店にて日系企業融資業務及びプライベートエクイティ投資責任者を歴任。2003年より、英国のプライベートエクイティ投資顧問会社コラーキャピタルのパートナー。投資審議会および経営会議メンバー、アジア統括責任者。日本を含むアジアとシリコンバレーの投資案件を主に担当。日本、アジアの投資会社等のアドバイザー及びラクオリア創薬株式会社(愛知県)の取締役を務める。

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