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PAPERS研究の成果

ARTICLE 論文(ワーキングペーパー/モノグラフ)

日本が直面する課題について、多角的に調査・分析を行い、今後の議論に役立つ知見を提供します。

NIRAワーキングペーパー:ISSN 2758-2183
NIRAモノグラフシリーズ:ISSN 2758-2175

勤労者世帯の負担と給付の国際比較―OECD tax-benefit model(TaxBEN)を用いたアプローチ

家計はどれほどの税や社会保険料を負担し、手当などの給付を受けているのか。本稿では、OECDのシミュレーションモデルを用いて国際比較を行い、勤労世帯における負担と給付の特徴を整理した。日本は低中所得層の社会保険料の負担割合が高いことや、諸外国と比べて負担率の累進度が低く、高所得層ほど相対的に負担率が低くなることが確認された。また、現行の児童手当等に所得制限や所得上限があることで起きている負担率のジャンプを可視化した。

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政治不信と「ズルさ」の感覚―ポストトゥルース時代の政策理解に向けて

日本の政治不信にはどのような特徴があるのか。NIRA基本調査をもとに、政治不信の内包する「ズルさ」の感覚と、政治的有効感覚や政策選好との関連を明らかにした。「ズルさ」を感じやすい人ほど、政府への信頼が低く、低負担低福祉の社会を求めていた。その一方で、一定の高負担高福祉を求める意見もあった。その背景として「ズルさ」に敏感で、かつ階層意識が低い人ほど、格差是正を求めており、政府への不信と同時に期待も抱いていることが明らかとなった。

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受益と負担をめぐる世代間の分断と政府への信頼

本稿は、政府への信頼の高まりが税など公共サービスのための負担の受けいれにつながるという関係が、高齢世代よりも現役世代において強いことを明らかにした。特に介護や年金の分野では、現役世代にとっては将来自分が負担に見合う給付を受けられるかという、「受益の不確実性」があるといえる。そのため、今すぐ負担するという意思決定をするためには、政府への信頼が重要になる。本稿の知見は、比較的若い世代における政府への信頼を高めることの重要性を示唆する。

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技術革新と政策需要との関連性―失業不安と就業期待に着目して

技術革新はどのような政策需要と関連するのか。NIRA基本調査によれば、技術革新による失業不安を有する人は46%、就業期待を有する人は30%だった。また前者は所得再分配や雇用支援、生活支援を支持し、平等社会を望み、ポピュリスト態度が強い傾向がみられ、後者の人々は雇用支援を支持し、競争社会を望み、学習や転職に積極的で、政府不信や投票棄権意思は弱い傾向があった。こうした政策需要に適切に対応し、政治的分断を回避することが重要だ。

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社会調査における投票率のバイアス

インターネット上で回答を行うインターネット調査の登場は、その利便さによって社会調査のスタンダードな方法を変えつつある。本稿では、社会調査における投票率を取り上げ、インターネット調査において測定するときにどのようなバイアスが考えられるのかを考察し、インターネット調査データを用いて、各種の補正を試みた。結果、インターネット調査で計測した投票率は、社会的望ましさバイアスによって大きく歪められていることが分かった。

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財政赤字と国債発行をめぐる熟慮・熟議型調査

経済・社会に関するテーマについての調査のうち、本稿では「財政赤字と国債発行」に関して報告する。調査の結果、政府債務に対し危機意識を持っている人は少なくないが、それは反対の立場の意見を読むことにより揺らぎやすいものであることが分かった。また、財政赤字を心配していない人と危機的と感じている人では、専門家の論考のうち参考とする論点が異なっていた。さらに自由記述回答から、専門家の論考が人々の考えに影響を与えていることが分かった。

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政府規模と国民負担をめぐる熟慮・熟議型調査

NIRA総研では、経済・社会に関するテーマに関する調査を実施した。本稿では、そのうちの1つである「政府規模と国民負担」に関して報告する。調査の結果、国民負担を減らすべきか増えるのはやむを得ないかと、税金など各項目に対する考え方がおおむね整合的であったのに対し、行政サービスについて簡素化すべきか手厚くすべきかは、必ずしも社会保障費など政府支出の具体的な項目ごとへの考えと結び付いていないことが分かった。

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後期高齢者医療をめぐる熟慮・熟議型調査

日本が直面する課題について解決策を探るためには、政策に関心を持つ人々の意見を集約し、それを踏まえた政策ビジョンを構築することが必要だ。今回の調査では、後期高齢者を対象とした医療費の窓口負担割合の引き上げに対する賛否に注目した。賛成・反対派ともに、個人の負担能力に応じた負担をする「応能負担」が多く支持されていることが判明した。また、専門家の論考を読み、熟議や熟慮によって人々の考えがどのように変化するかを検証した。

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インターネット調査のサンプル特性―国勢調査・面接調査との比較

一般的な社会調査法の1つとなったインターネット調査には「バイアス」があり、目標母集団との「ズレ」が問題となる。この実態を明らかにするため、同一の質問項目によって構成される、面接調査とインターネット調査を同時に実施し比較した。結果として、インターネット調査の回答者は大都市居住者、高学歴が多かった。また、パーソナリティ的な特徴等も見出された。社会調査データの収集・分析・解釈には、調査のモードを考慮する必要がある。

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医療保険者による病気予防・健康づくりの実態―ばらつき目立つ保険者の取組

生活習慣病の予防を目的として行う特定健康診査・特定保健指導の保険者別の実施率が初めて公表された。特定健診は国保の実施率の方が健保より低く、また被扶養者の実施率が低いなど保険者間のばらつきが浮き彫りになった。個々の保険者の意識向上が課題だ。国民全体の健康増進を図るためには、保険者の予防への取り組みに対するインセンティブ付与や予防医療を担う保健師等の専門人材の配置など、保険者機能が一層発揮される工夫が望まれる。

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