利用方法

日本を動かす知をつなぎ、政策課題を論じ、ビジョンを提示するシンクタンク

トップ > 研究の成果と課題の発信 > NIRAオピニオンペーパー > 感染症対策か経済対策か ―国民はコロナ対策の現状をどう考えているのか?-

NIRAオピニオンペーパー

感染症対策か経済対策か ―国民はコロナ対策の現状をどう考えているのか?-

NIRAオピニオンペーパーNo.56 2021/1発行
大久保敏弘(慶應義塾大学経済学部 教授)

 2021年1月、緊急事態宣言の下、新型コロナ感染症の感染者数が急増しており医療体制は逼迫し混乱が続いている。本稿では就業者実態調査を基に、国民がコロナ対策の現状をどう考えているのかについて、以下の3点を明らかにした。
 第1に、感染症への恐怖といった感情は、感染症対策を重視すべきという考え方に直結する。一方で、所得、業種、就業形態といった客観的な要素は、経済対策を重視すべきかに影響を与えている。特に飲食業・宿泊業では、所得がコロナ禍で減少し続けており経済的な打撃は大きいが、感染症対策の強化を望む傾向にある。飲食業・宿泊業で働く人は、経済対策の効果に限界を感じており、対面サービスによる感染症への恐怖感は大きく、徹底した感染症対策を重視する傾向にあるものと思われる。
 第2に、感染症対策の徹底を喚起するには、政府による丁寧な情報の提供や感情に届く説明が必要であり、これが一致団結した感染症対策につながる。さらに重要なのはテレワークの推進である。感染症対策を行いつつ経済を動かせるテレワークをもう1段階推進すべきである。
 第3に、コロナ禍での精神的な疲弊は大きく、自殺や精神疾患につながっている可能性が高い。男女問わず40代以下の人々の状況が深刻であり、SNSなどを駆使してプッシュ型のアプローチで自殺防止対策・社会対策を講じていく必要がある。

○はじめに
○テレワーク率の推移:業種によって実施率に大きな違い
○飲食・宿泊業を中心に減り続ける所得―経済対策の効果
○経済対策か感染症対策か―業種、就業形態や所得による意見の差
○飲食業・宿泊業における意見:同業種内でも立場による違い鮮明に
○経済的困窮への不安と、経済対策重視の割合は比例しない
○日常生活での感染症対策の取り組み
○経済対策と感染症対策をこえて―社会対策・自殺防止対策の必要性
○むすび:対策について国民的な議論が求められる
○補遺:「ポストコロナ経済」への兆候

<関連研究>
Tele-migrationに関する研究(2019年5月~2021年3月)

<関連頁>
NIRA総研 第3回テレワークに関する就業者実態調査(速報)
NIRA総研 第2回テレワークに関する就業者実態調査報告書
NIRA総研 第2回テレワークに関する就業者実態調査(速報)
NIRA総研 第1回テレワークに関する就業者実態調査(詳細版)「新型コロナウイルスの感染拡大がテレワークを活用した働き方、生活・意識などに及ぼす影響に関するアンケート調査」に関する報告書
NIRA総研 第1回テレワークに関する就業者実態調査(速報)「新型コロナウイルスの感染拡大がテレワークを活用した働き方、生活・意識などに及ぼす影響に関するアンケート調査」
コロナショックが加速させる格差拡大―所得格差とデジタル格差の「負の連鎖」―(NIRAオピニオンペーパーNo.53)
テレワークを感染症対策では終わらせない―就業者実態調査から見える困難と矛盾―(NIRAオピニオンペーパーNo.47)

※本誌に関するご感想・ご意見をお寄せください。E-mail:info@nira.or.jp

このページのトップへ