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対談シリーズ第66回 | 2011/11発行 | |
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森田長太郎(バークレイ・キャピタル証券ディレクター/チーフ・ストラテジスト)、伊藤元重(NIRA理事長) |
財政問題と通貨システムの問題
伊藤 いま、いわゆるソブリンリスクへの関心が高まっています。今日は、
ソブリンリスクについての本も書かれている森田さんに、いまヨーロッパで何が起きているか、そこから日本が学ぶべきことは何かについて、
いろいろとお話を伺いたいと思います。最初に、ヨーロッパの最近の動きをどのようにみていらっしゃるか、お話しいただけますか。
森田 ヨーロッパの問題について、最近書いた本『日本のソブリンリスク』の中で強調しているのは、
ギリシャの問題と日本の問題の違いです。本質的な違いは、通貨システムの問題だと考えています。
ギリシャには自国の通貨を持たないという意味での特殊性がありますが、これはアジア通貨危機で起きた状況と非常に似ています。
アジア通貨危機において、アジアの国々は独立した金融政策をとっていましたが、通貨に関してはドルペッグ制をとっていた。これと同様に、
ヨーロッパにおいてもユーロという共通通貨の枠組の中で、実際の資金フローとしては、過去10
年間に短期の資金移動が頻繁に起こっていたのです。ギリシャの財政問題は確かに非常に深刻ですが、財政問題だけでなく、
通貨システムの問題でもあるということを認識すべきだと思います。<続く>
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議論のポイント
《関連頁》
「歪みが制御不能になる前に財政の再建を」
(オピニオンペーパーNo.5/2011年10月)
「ユーロ危機の行方」
(NIRA政策レビューNo.54/2011年12月初旬)
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