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対談シリーズ第63回 | 2011/08発行 | |
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八田達夫(大阪大学招聘教授)、伊藤元重(NIRA理事長) |
伊藤 3月11日の福島第一原子力発電所の事故以来、 日本の電力政策が大きな争点となっていますが、電力を巡りいろいろな問題が起こっている今こそ、 中長期的なあるべき姿を考えることが必要ではないか。こうした観点から、5年後、 10年後に電力制度を望ましい方向に導くための根幹となる政策について、本日は、長年、 電力問題に取り組んで来られた八田先生にお話を伺いたいと思います。八田先生は、中長期的に電力制度を改革していく上でのポイントは、 どこにあるとお考えでしょうか。
八田 いまの電力の供給体制の基本的な問題は、いくつもの要因によって、 電力価格が歪められていることです。第1の要因は、不適切な「補助金」です。これが価格を歪めています。例えば、 温暖化対策のためには原子力が必要だという理由で原発に補助金を与えてきましたが、 今度は自然エネルギーの全量買い取り制度にしようとしています。しかし、私は、温暖化対策としては、 このように特定の業種に補助金を与える政策は、間違い だと思います。<続く>
議論のポイント
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