利用方法

日本を動かす知をつなぎ、政策課題を論じ、ビジョンを提示するシンクタンク

トップ > 研究の成果と課題の発信 > NIRAモノグラフシリーズ:わかる政策、知る課題 > FTAのアジア発展への貢献と我が国のFTA戦略

NIRAモノグラフシリーズ:わかる政策、知る課題

FTAのアジア発展への貢献と我が国のFTA戦略

NIRAモノグラフシリーズNo.12 2008/03発行

木村福成(慶応義塾大学教授)

アジアでは、国際的生産・流通ネットワークが「事実上の」経済統合の不均一性を背景に発達した。こうしたアジアでは、 内部に不均一性と曖昧性を抱えた統合形態であるASEANがFTA締結のハブとなり、「政策上の」 経済統合のダイナミズムを生み出すハブになるという、欧州とは全く異なる状況が発生している。
アジアでは、国際的包括協議であるWTOが現在の貿易自由化を牽引したとはいえない。例外・ 差別性を前提とした消極的な貿易自由化ツールとみなされてきたFTAsは、その柔軟性を活かし、多様な政策モードを取り込み、 さらにはFTA網のもたらすドミノ効果を発揮させることによって、WTOよりも高い貿易自由化促進効果を生み出している。 特にモノの貿易の自由化度の高いFTAsの締結は「新オープン・リージョナリズム戦略」と呼んでもよいものである。
日本は、FTAsの内容にビジネス環境整備を含めるなど、FTAsを経済のダイナミズムを生み出すツールへと変革する動きの一翼を担った。 現在、日本のFTA戦略は資源確保など第2段階を迎えているが、大きな問題を抱えている。ボトルネックとなっている農業保護問題に関し、 国内での政策対応を早急にする必要がある。日豪FTAが一つの試金石となる。2010年のAPEC日本開催を一つの契機として、 日本が国際通商政策の大きな枠組み作りの先頭に立つことができるよう、国内改革が急がれる。

目次
1. 「事実上の」経済統合と「政策上の」経済統合の相互作用
国際的生産・流通ネットワークの形成とそれを支えた政策環境
FTAによる経済活性化効果
より広くより深い経済統合への志向
2. 新たな国際通商政策体系の萌芽
開かれた経済統合の進展
新オープン・リージョナリズムの含意
3. 日本のFTA戦略
日本のFTA戦略の展開
国内問題への対処の必要性
日豪FTA交渉の重要性
来るべき新・国際通商政策体系に向けて

このページのトップへ