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NIRAモノグラフシリーズ:わかる政策、知る課題

非伝統的安全保障問題と援助-国際公共財の視点から

NIRAモノグラフシリーズNo.09 2008/03発行

大岩隆明(国際協力機構調査研究グループ長)

冷戦終結以降、新たなグローバル・ガバナンスのあり方が模索されつづけている。近年の急速なグローバリゼーションの進展によって、 それはさらに、第二次世界大戦後に構築された既存のグローバル・ガバナンスの運営、 既存の国際的な制度構築と現実との間にある深刻なミスマッチとして一層意識されるようになってきた。国連の報告書でも世界が直面し、また、 今後直面するであろう脅威のクラスターとして、国家間戦争と並んで、国内暴力(含む内戦、大規模な人権侵害及び大量虐殺)、貧困・感染症・ 環境問題、核・放射性・化学・生物兵器、テロリズム、及び越境組織犯罪があげられ、そうした今日的な脅威の挑戦に対しては、 予防的な措置に真剣に取り組む必要があるとし、予防政策の第一に開発を挙げている。
開発援助は、経済社会開発を促進することによって上に述べた新たな安全保障問題の予防に貢献するとともに、 経済社会開発を進めるためにも脅威の予防や対策に直接寄与する国家能力の強化に貢献することが期待される。また、上に述べた脅威への対応は、 後述するように国家をまたがる対応を必要とする。従来、開発援助は、途上国国内の開発問題に貢献するものであったが、果たして、 国境をまたぐ脅威に対して開発援助に期待される役割はどのようなものだろうか。
ここでは、冷戦下で長らく唯一の安全保障上の問題と考えられてきた国家間の軍事対峙による伝統的な脅威に対して、 冷戦終結とグローバリゼーションの進展によって注目されるようになった新しい脅威を扱う非伝統的安全保障という考え方に着目して援助の役割を議論する。 そうして、国際公共財援助の視点から非伝統的安全保障と人間の安全保障の考え方の関係の整理を試みる。

目次
1. はじめに
2. 非伝統的安全保障と国際公共財
3. 国際公共財の供給問題としての非伝統的安全保障
(1)対策の地理的範囲を考える―補完性の原則
(2)公共財の種類に応じた対策
(3)公共財の集合財としての特徴の差異による対策
4. 非伝統的安全保障問題に対する援助の取り組みの現状
(11国際公共財援助の現状
(2)我が国における取り組み
5. 今後の方向性

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