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NIRA政策提言ハイライト

フリーランスという働き方を政策的に支える

NIRA政策提言ハイライト 2019/10発行

■フリーランス人口の増加が期待される
 働き方改革のもと、柔軟で多様な働き方の実現が求められる中、フリーランスという働き方への関心が高まっている。
 そもそもフリーランスとは何か。一般社団法人プロフェッショナル&パラレルキャリア・フリーランス協会は、「特定の企業や団体、組織に専従しない独立した形態で、自身の専門知識やスキルを提供して対価を得る人」と定義している。さらに、図にあるように、広義では、独立系フリーランスと副業系フリーランスに分けられるという。前者は、企業や組織と雇用関係を持たず仕事を請け負う者で、後者は主となる企業や組織と雇用関係を持ちながら、空いた時間を活用してフリーランスとして活動する者のことだ。
 2019年7月に内閣府が初めて公表した推計によると、フリーランスとして働く人は国内に306万〜341万人(本業では228万人、副業では112万人)、就業者全体の約5%を占めるという(注1)。米国の34%と比べると、少ない印象だ。しかし、働き方改革で副業・兼業が推進されていることや、クラウドソーシングの市場規模が右肩上がりに拡大していることなどを考慮すれば、今後、フリーランスという働き方が一層定着する余地はある。
 この点に関し、神戸大学の大内伸哉教授は、今後の傾向について、デジタル化の進展を見据え、ICT(情報通信技術)を活用しながら創造性と専門性を強みとして、特定の企業に帰属せず、フリーワーカーとして働くプロ人材が増えると指摘している(NIRAオピニオンペーパーNo.44「『フリーワーカー』に対する法政策はどうあるべきか」)。つまり、独立系フリーランスが増加する可能性があるとみている。

■雇用労働者を中心に構築されている社会のあり方を再考する
 しかし、フリーランスという働き方が広まる上で課題もある。例えば、フリーランスに対する社会保障の手薄さだ。万一、病気やけがで働けなくなった場合、雇用されていれば社会保険から休業補償や傷病手当金を受けられるが、フリーランスではそれがないため無収入となってしまう。
 あるいは、収入が不安定なことや、企業に属していないことにより、社会的信用が得にくいことも挙げられる。そのため、ローンが組めなかったり、賃貸契約が難しかったり、企業によっては取引を敬遠することもある。
 こうした課題の背景にあるのは、大内教授が指摘するように、従来の法制度が雇用労働者を中心に構築されてきたことだと考えられる。それゆえに、「企業や組織等に属さずに働くことは経済的にも社会的にも不安定な身分に置かれる」という考えが社会全体で共有され、フリーランスという道を選ぶ上での阻害要因となっているのだろう。
 しかし、企業に縛られないこの様な働き方は、地方での就業、仕事と育児・介護等との両立、シニア層の活躍など、今日の日本が抱える課題の解決の糸口をもたらす可能性があるだけに社会で広く受容されることが望まれる。
 そのための対策として、まず、フリーランスに対する政策的サポートを充実させることが必要不可欠だ。さらに、当面は、副業・兼業を引き続き推進し副業系フリーランスの増加を目指す。人々が抱く懸念を取り除き、段階的にフリーランスに従事する人口を増やすことができれば、フリーランスという生き方を考慮に入れやすい社会を作れるのではないか。なお、独立系フリーランスについては、まだ環境が整備されていないため、慎重な対応が求められるだろう。フリーランスとしての活動が副業であるにせよ本業であるにせよ、個人の状況に合わせた多様性ある働き方をより多くの人が実現できるよう、社会のあり方を見直すことが重要だ。

図1 フリーランスのタイプ


(出所)一般社団法人プロフェッショナル&パラレルキャリア・フリーランス協会「プロフェッショナルな働き方・ フリーランス白書 2018」より

注1:国内のフリーランス人口は1,087万人(就業者全体の17%)とする結果もある(クラウドソーシング大手ランサーズ調べ)。

<参考文献>
内閣府政策統括官(経済財政分析担当) (2019)「政策政策課題分析シリーズ17 日本のフリーランスについて ―その規模や特徴、競業避止義務の状況や影響の分析―
NIRAオピニオンペーパーNo.44(2019)「『フリーワーカー』に対する法政策はどうあるべきか

羽木千晴(在外嘱託研究員)

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