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NIRA政策提言ハイライト

18歳への選挙権年齢への引き下げをテコに日本の民主主義を立て直せ

NIRA政策提言ハイライト 2015/03発行

 自民党、公明党や民主党、維新の党、次世代の党、生活の党と山本太郎となかまたちの与野党6党が今月5日、選挙権年齢を現在の20歳以上から18歳以上に引き下げる公職選挙法改正案を衆院に提出したことで、選挙権年齢の引き下げが事実上決定した。

 日本での選挙権年齢の引き下げは70年ぶりとなるが、すでに世界の9割以上の国地域で18歳に選挙権が与えられており、特に、先進国では日本以外のすべての国、OECDでも日本と韓国(19歳)以外のすべての国で18歳に選挙権が保障されている。さらに、オーストリアでは16歳以上に選挙権が付与されているし、イギリスなどでも18歳から16歳への引き下げの議論が行われている。また昨年のスコットランド独立に関する住民投票では16歳からの投票が認められていた。こうした状況に鑑みると、そもそも、1945年の選挙法改正で20歳以上の男女に選挙権が与えられた時点では世界でも画期的だったものの、いつのまにか世界の潮流に乗り遅れてしまっており、日本における選挙権年齢の引き下げの動きは遅きに失したとも言える。

 ただし、日本の選挙権年齢引き下げに意味が無いかといえばそうではない。なぜなら、選挙権年齢が18歳へと引き下げられれば、当然若い世代の政治参加が促進されるからだ。事実、今回の引き下げ措置により新たに240万人もの若年有権者が誕生することになる。すなわち、NIRA対談シリーズ第62回『「ドメイン投票法」の衝撃』(2011年4月)やNIRAモノグラフシリーズNo.33『次世代へのコミットメントに国民的合意を-世代間資源配分の公平を目指す選挙制度の改革-』(2011年8月)、NIRAモノグラフシリーズNo.34『社会保障制度を通じた世代間利害対立の克服-シルバー民主主義を超えて-』(2012年7月)でも取り上げられているように、現在日本では高齢世代の政治的インパクトが徐々に大きくなり、政治が高齢者の「声」を重視するシルバー民主主義の弊害が指摘されている中、若い世代の政治的影響力を拡大することになる。

 さらに、NIRAオピニオンペーパーNo.13『社会保障改革しか道はない-今こそ、財政健全化への決意を示すとき-』(2015年1月)及びNIRAオピニオンペーパーNo.14『社会保障改革しか道はない(第2弾)-財政健全化に向けた具体策はここにある-』(2015年2月)でも指摘されている通り、日本の深刻な世代間格差の元凶は人口減少・低成長にも関わらず右肩上がりの人口・経済構造を前提に作られた社会保障制度を高齢者の意向を忖度して政治が抜本的な改革を行えないことにある。

 18歳への選挙権年齢への引き下げをテコに若い世代の政治的影響力を増すことで日本の民主主義を立て直すことで、抜本的な社会保障制度改革への道筋を確かなものとし、財政規律を取り戻すことが可能となる。

島澤諭 NIRA主任研究員

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