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日本の「ユニコーン」不足はバッドニュースか?―歴史的な制度発展の観点から考察―

NIRAオピニオンペーパーNo.39 2018/11発行
櫛田健児(スタンフォード大学アジア太平洋研究所リサーチスカラー)


 日本のスタートアップエコシステムはこれまでにない関心を広く集めている。トップクラスの人材を惹きつけ、大企業との提携に積極的なスタートアップの躍進が目立ち、一流大学発の技術も活用されている。他方で、「ユニコーン」不足、すなわち評価額が10億ドルを超える非上場企業が日本にはほとんどないことが、国内外から懸念される材料となっている。アメリカの調査会社であるCB Insightsによると、アメリカには117社、中国には73社、イギリスには15社、インドには11社のユニコーン企業があるのに対して、日本ではこれまでのところ2社にすぎなかった。
 日本にユニコーン企業が少ないことは、スタートアップのエコシステムが発展していないことを示しているのだろうか。歴史的な観点からみると、ユニコーン企業の少なさは、実は、1990年代後半からの重要な制度変更が奏功し、日本のスタートアップの環境が改善していることを示している。現在、日本のユニコーン企業が1社になっているのも、2018年6月、メルカリが東京証券取引所の小型株取引所「マザーズ」で過去最大の600億円の新規株式公開(IPO)を行ったためである。つまり、日本ではスタートアップのIPOがより容易となり、ユニコーンになる前に上場する環境が整備されているといえる。現在の状況は、ベンチャーキャピタリストが複数の戦略を取ることで、ユニコーンのような成長企業を育てることが可能となるまでに、日本のエコシステムが成長したと考えるべきであろう。

○日本のスタートアップエコシステムと「ユニコーン」
○シリコンバレーのエコシステムの特徴
○着実に進化している日本のエコシステム
○日本の小型株市場の創設が契機となった
○過去からの大きな進歩としてみる現状の評価

<関連頁>
「日本型イノベーション政策の検証」(NIRAオピニオンペーパーNo.19)

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