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NIRAオピニオンペーパー

不安定な海外経済動向とマクロ政策運営

NIRAオピニオンペーパーNo.23 2016/5発行
宮尾龍蔵 東京大学教授

 今年に入り、海外経済をめぐる不確実性はより高まり、金融市場は不安定な動きが続いている。中国経済の減速長期化、中東情勢や原油安の長期化などの要因がよく指摘されるが、その底流には、米国経済の回復ペースをめぐる不確実性と、そこから生じる今後の利上げ見通しをめぐる不確実性の問題がある。
 日本経済は海外リスク要因からの影響を免れない。米国の中央銀行F R B は将来にわたる利上げ見通しを公表しており、グローバル経済に従来よりも強い金融引き締め効果をもたらす可能性がある。新興国・資源国の減速長期化への懸念も継続するだろう。変動激しい金融市場動向なども加わり、日本の企業や家計のマインドを抑制し続けるリスクがある。
 一方で、堅調な面、潜在的なプラス面を認識しておくことも重要だ。世界的にみて、消費・サービス業関連の回復は総じて堅調である。また、仮に海外発の下振れリスクが長期化・顕現化してわが国の民間貯蓄が増加する場合には、経常収支の黒字基調が強まり、対外純資産を増加させる。それは日本経済全体に対する中長期的な信認の確保に寄与するだろう。
 わが国のマクロ政策運営にとって必要なことは、海外要因がもたらす様々な影響を見極め、また内外の経済構造が変化してきている可能性を十分考慮することである。未踏の領域での政策運営が続くなか、専門的な知見と判断がこれまで以上に求められる。

○米国経済の回復ペースをめぐる不確実性と「長期停滞論」
○米国金融政策の正常化をめぐる不確実性
○FRBの利上げ見通しと市場の見方とのギャップ
○日本経済も海外リスク要因からの影響を免れない
○ただし堅調な面や潜在的なプラス面も認識すべき
○マクロ政策運営に必要な視点

<関連研究>
マクロ経済政策運営と財政規律に関する研究

<関連記事>
2016年6月号 月刊誌『Voice』(PHP研究所)「世界経済の停滞をどう読むか-不安定な海外経済動向とマクロ政策運営」を公表。

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