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対談シリーズ

高齢化社会を見据えた財政のあり方

対談シリーズ第49回 2009/07発行
井堀利宏(東京大学大学院教授)、伊藤元重(NIRA理事長)

「財政破綻」はまだ表面化していない

伊藤 今日は、財政、税制の専門家の井堀さんに来ていただいたので、 ぜひお聞きしたいと思っていることがあります。いま、政府の借金はどんどん増えていて、過去10年以上、財政赤字が25~30兆円と、 GDPの5~6%で推移しています。これから少子高齢化がさらに進むと、常識的に考えても社会保障費がどんどん膨らんでいきます。 そういう状況の中でみんなが漠然と心配しているのは財政破綻だと思います。これから先、抜本的な改革がないままに財政赤字・ 債務が積み上がってしまうと、どういう形で経済の綻びが出てくるのでしょうか。あるいはすでに出ているのかもしれませんが、 そういうことからお話いただけますか。

井堀 財政がマクロ経済に悪い影響を与えるのは、短期的には金利の上昇です。 財政赤字というのは国債を出すことですが、市場で引き受けられる以上に国債が供給されると、金利を上げないと消化できません。ですから、 典型的に財政が悪い状況においては、金利が高くなってきます。


議論のポイント

● 日本で財政破綻が起きていないのは、消費税の水準が諸外国と比較して低く、増税の余地を残しているからだ。また、 社会保障についても、団塊世代が後期高齢者になるまでに若干の時間があるため、それまでに本格的な改革をすることは可能だ。

● フローベースでの財政再建を2~3年で行うことは不可能ではないが、望ましい社会保障水準を維持しつつ、社会が「回っていく」 ような財政の健全性を取り戻すためには、消費税のアップが必要で、その税率は25~30%になるであろう(井堀教授の試算)。

● また、歳出面では、量的には社会保障の支出額がもっとも大きく、年金・医療制度に手をつけられないとすると、 全体的な財政改善の規模は限定的なものとなろう。

<関連報告書>
研究報告書「財政再建の道筋― 震災を超えて次世代に健全な財政を引継ぐ―」 (2011年4月)

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