利用方法

日本を動かす知をつなぎ、政策課題を論じ、ビジョンを提示するシンクタンク

トップ > 研究の成果と課題の発信 > NIRA政策提言ハイライト > テクノロジーによる信頼の確保が明日のFinTechへつながる

NIRA政策提言ハイライト

テクノロジーによる信頼の確保が明日のFinTechへつながる

NIRA政策提言ハイライト 2017/10発行

金融サービスへの満足度が高い日本
 FinTechハブの地位を巡る競争が世界で激化している。ヨーロッパではロンドンが、アメリカではシリコンバレーが、アジアではシンガポールが数歩先を行く中、わが国においても「未来投資戦略2017」の戦略分野の1つとしてFinTech推進を掲げ、取り組みを加速させている。金融サービスの利便性を飛躍的に向上させ、日本発のFinTechで世界をリードしていこう、という狙いである。
 「利便性の向上」とあるが、日本の利用者は、現在の金融サービスをどう評価しているのだろうか。全国銀行協会の調査によれば、利用者のおよそ9割が現在の銀行サービスに満足しているという。「ATMや店舗が多く、身近な場所にある」ことがその理由の上位にあがる。利用者が、入出金や振込を近隣で手軽におこなえることに満足しているのであれば、将来FinTechによるインターネット上のデジタルな取引が提供されても、さほど魅力的に写らないのではないか、との懸念が残る。

現物の安心感、デジタル取引に対する不安
 しかしながら、この調査結果だけで日本ではFinTechは普及しない、と考えるのは早計だ。銀行窓口やATMでの取引を好む一方、日本人のクレジットカードや電子マネーの保有率は80%(2016年度時点)を超えている。利用者は必ずしも現金取引に固執しているわけではなく、使い勝手がよいものであれば積極的に利用する。
 現金、クレジットカードや電子マネーによる決済と、デジタル取引との間にある差は、紙やカードといった現物を伴うか否かだろう。同調査では、インターネットバンキングを利用しない理由についても集計しているが、半数近くが「インターネットで取引することにセキュリティ面で不安を感じる」と回答している(図参照)。仮に、利用者が現金などを利用する際に現物を手にする感覚によって安心を感じているとすれば、デジタル取引においてはどのように「安心」を確保すればよいのだろうか。

テクノロジーを駆使して利用者の安心を実現する
 NIRA『わたしの構想』「金融大改革、FinTech」でも、日本でFinTechがより普及していくには、電子決済への信頼性を高めることがカギであると指摘している。そして、テクノロジーを駆使することでセキュリティ面を強化し、利用者にとっての安心、安全を確保することを提言している。デジタル取引における安心は、テクノロジーによって得るしかない。
 デジタルに裏付けされた「安心・安全」を利用者が実感し、デジタル取引の利点が活かされる新しい機会を創出することができれば、日本でもFinTechの活用が急速に広がる見込みはあるだろう。


<参考文献>
わたしの構想『金融大変革、FinTech
全国銀行協会(2016)「よりよい銀行づくりのためのアンケート 第1章個人における金融機関や銀行の利用実態と評価」
JCB(2016)「クレジットカードに関する総合調査2016年度版 調査結果レポート」

羽木千晴(研究コーディネーター・研究員)

このページのトップへ