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NIRA政策提言ハイライト

女性も活躍する社会へ

NIRA政策提言ハイライト 2016/04発行

求められる女性就労
 女性活躍推進法が4月1日施行された。301人以上の大企業は、女性の採用比率や管理職比率、勤続年数の男女差などの自社の課題を分析し、それを踏まえた行動計画を策定、公表しなければならない(中小企業は努力義務)。
 法律制定の背景には、男女の格差是正という目的に加え、少子高齢化が進み、働き手が減少していく中で、女性の労働参加が要請されているという経済的な理由がある。既に2012年にはIMFから、働く女性が増えることが日本経済立て直しの切り札になるという提言も出されている(注1)。今般、政府が主導しているのも、「新三本の矢」の実現を目的とする「一億総活躍社会」のためにも重要なステップの一つと認識しているからだろう。

オランダのパートタイム雇用モデル
 近年、わが国の女性の就業率は漸増してはいるものの、おおむね6割程度であり、7割超の北欧に及ばない。まだまだ、わが国での女性活躍の余地は大きいとみるべきだろう。
 では、女性の就業を促進するために、何が必要なのか。前述のIMFの提言には、「パートタイムとフルタイムの労働者間の格差是正」が含まれ、その参考例としてオランダがあげられていた。オランダでは、パートタイム労働とフルタイム労働の待遇を均等化し、労働時間の選択の自由度を高めたことが女性の就業率アップに貢献してきたとされる。
 オランダのパートタイム雇用モデルはわが国にも有効なのだろうか。

    女性の就業率推移(15-64歳)                  (%)

    2007
    2008
    2009
    2010
    2011
    2012
    2013
    日本
    59.5
    59.8
    59.8
    60.1
    60.2
    60.7
    62.4
    オランダ
    67.5
    69.3
    69.6
    69.4
    69.9
    70.4
    69.9
    出所:独立行政法人労働政策研究・研修機構『データブック国際労働比較2015』

注目される同一労働・同一賃金の議論のゆくえ
 こうした問題意識により特集されたのが、NIRAわたしの構想No.5「女性就労とオランダモデル」である。権丈英子教授や水島治郎教授というオランダ研究の第一人者から、管理職を含めた多様な仕事がパートタイムで行われるなど、オランダでパートタイムという働き方が広く受け入れられている状況を伺うことができた。女性の就業率がアップしただけでなく、男女ともに、ワーク・ライフ・バランスをとりながら、キャリア形成もでき、社会全体の満足度も高いという。ただし、日本にそのまま当てはめるのは難しいことも指摘された。欧米では同一労働・同一賃金の原則が確立し、この原則がオランダでもパートタイムとフルタイムの均等待遇を支えている。しかし日本型雇用システムにおいては、正社員(フルタイム)と非正規雇用(パートタイムなど)は採用、待遇、働き方など異なる体系におかれ、事実上、両者の「均等」をはかる基準がない。
 折しも、政府では同一労働・同一賃金に関する議論がはじまっている。労働市場のあり方や雇用慣行を根本から変える可能性を含む大きなテーマだ。女性就労の促進という観点からも、議論のゆくえが注目される。

注1. チャド・スタインバーグ、中根誠人「女性は日本を救えるか?」IMFワーキングペーパーWP/12/248、2012年

榊麻衣子(NIRA研究コーディネーター・アシスタント)

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