利用方法

日本を動かす知をつなぎ、政策課題を論じ、ビジョンを提示するシンクタンク

トップ > 研究の成果と課題の発信 > NIRA政策提言ハイライト > 東日本大震災復旧・復興インデックス 震災後3年目の被災地の姿をデータからみる

NIRA政策提言ハイライト

東日本大震災復旧・復興インデックス 震災後3年目の被災地の姿をデータからみる

NIRA政策提言ハイライト 2014/09発行

大震災から3年半
 東日本大震災が発生してから3年半が過ぎた。そして今から3年前、NIRAは大震災から半年を期に、東日本大震災後の復旧・復興状況を総合的に把握するため、「東日本大震災復旧・復興インデックス」を開発した。その後、同インデックスは6回にわたり公表され、被災地の状況を県別に示すとともに、データを活用した復旧・復興施策のあり方についての提言を行ってきた。今回は、震災発生から2014年3月までの3年間の推移をみるために、データの更新および指数の内容の変更を行った。
 「東日本大震災復旧・復興インデックス」は、岩手県、宮城県、福島県の被災3県についてみたもので、2種類の指数から構成される。被災地での生活を支えるインフラについて震災前の状況を100としたときの総合的な復旧度を示す「生活基盤の復旧状況」指数、そして、被災地域の生産・消費・流通などがどの程度影響を受け、その後、復旧・復興が順調に進んでいるのかを、時系列で把握できるようにした「人々の活動状況」指数である。

生活基盤の復旧は緩やかに進む
 「生活基盤の復旧状況」指数は、鉄道復旧度や瓦礫撤去率など、被災地での生活を支えるインフラ関連の14項目で構成されている。前回の公表時は、17項目で指数を構成していたが、今回は、復興の進展とともにデータの公表がなくなったものなど3項目を除いた。

 生活基盤の復旧は、岩手県と宮城県では引き続き緩やかに進んでいる。福島県は、福島第一原子力発電所の事故の影響でいまだに復旧活動には大きな制約があり、岩手県と宮城県に比べ、復旧は遅れている。
 内訳をみると、3県全てで瓦礫処理が大幅に改善した。特に、岩手県と宮城県では瓦礫撤去、瓦礫処理の両分野で2014年3月までに全ての作業が完了した。他方で、鉄道の運行再開のペースは非常に緩やかであり(注)、3県ともに完全復旧が達成されていない。被災した医療施設の復旧度は、廃止を決めた施設の影響もあり、3県ともに震災前水準に達しないまま、数値が横ばいとなっている。避難者数も、大震災から3年目でも解消されるまでには至っていない。

(注)今回の指数は2014年3月までのデータをみているので、2014年4月5日、6日にあった三陸鉄道の運行再開は、指数に反映されていない。

活動状況は岩手県、宮城県で震災前水準を回復
 「人々の活動状況」指数は、鉱工業生産指数や大型小売店販売額など、被災した人々やその地域の生産・消費・流通などの地域の活動について、被害と復旧・復興の状況を時系列で把握するための12項目で構成されている。



 人々の活動状況については、岩手県と宮城県で震災前水準に回復した。岩手県は、指数としては震災の影響が3県の中で最も小さく、比較的早期に震災前の水準に回復した。宮城県は、沿岸部に大都市や大規模な生産拠点があったことが影響し、最も大きな指数の落ち込みをみせたが、その後は着実な回復をみせ、2014年に入り震災前水準に回復した。福島県は、福島第一原子力発電所の事故の影響が大きく響き、震災前の水準の8割程度の回復にとどまっている。
 内訳を見ると、3県ともに水揚量の動向が、数値の押し下げ要因として大きい。また、宮城県と福島県では大口電力使用量が押し下げている。鉱工業生産指数については、2013年末から数値が改善し、宮城県と福島県で2014年3月に震災前を上回るまでになった。また、宮城県の仙台空港で乗降客数が2013年央に震災前の水準を回復した。

生活の復興の遅れ
 「生活基盤の復旧状況」指数でみたように、生活インフラの復旧段階は福島県を除きほぼ完了段階に近づいている。しかし、その次のステップである復興段階への速やかな移行ができていない。例えば、高台移転地の整備や復興公営住宅の建設は、建設資材の高騰の影響などもあり遅れ気味であるため、仮設住宅からの退去は既に始まっているものの、大震災から3年経っても依然として多くの被災者が仮設住宅での生活を余儀なくされている。
 現在の「東日本大震災復旧・復興インデックス」では、生活の質的な復興状況を把握することは難しい。よりカバレッジの広いデータを利用することで被災地の生活の復興状況をより適切に把握できるように工夫することが今後の課題であろう。

森 直子 NIRA研究コーディネーター


<関連頁>
東日本大震災復旧・復興インデックス ―データが語る被災3県の現状と課題Ⅳ
 (研究報告書/2013年7月)

データが語る被災3県の現状と課題Ⅲ―東日本大震災復旧・復興インデックス(2013年3月更新)
 (研究報告書/2013年3月)

データが語る被災3県の現状と課題Ⅱ―東日本大震災復旧・復興インデックス(2012年6月更新)
 (研究報告書/2012年 6月)

データが語る被災3県の現状と課題 ―東日本大震災復旧・復興インデックス(2012年3月更新)
 (研究報告書/2012年3月)

東日本大震災復旧・復興インデックス-2011年12月更新-(研究報告書/2011年12月)

東日本大震災復旧・復興インデックス(研究報告書/2011年9月)

このページのトップへ